ヘルシンキのアラビア工場 — フィンランドを代表する陶磁器ブランドの歴史

アラビア(ARABIA)食器の魅力|人気シリーズ一覧・歴史・なぜ人気なのか

北欧食器タックショミュッケ編集部

ARABIA(アラビア)のヴィンテージ食器を多数そろえています。

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アラビア(ARABIA)は、1873年にフィンランド・ヘルシンキ郊外で創業した、北欧を代表する陶磁器ブランドです。150年以上の歴史の中で、数々の名作を生み出してきました。

特に1950〜70年代の作品は、温かみのある作風と北欧モダンの洗練されたデザインが融合した黄金期とされ、世界中のコレクターに愛されています。

この記事では、アラビア社の歴史から代表シリーズ、皿のサイズ、選び方の目安までを、当店で撮影した実物写真とともに解説します。

この記事の要点

  • アラビア(ARABIA)は、1873年にフィンランド・ヘルシンキ郊外で創業した陶磁器ブランド。当初はスウェーデン・ロールストランド社の子会社として始まった
  • 1916年にフィンランド資本へ移り、独自のデザイン哲学を確立した
  • 1932年に芸術部門が設立され、カイ・フランク(Kaj Franck)、ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen)、ウラ・プロコッペ(Ulla Procopé)らが在籍した
  • 1950〜70年代が黄金期とされ、パラティッシ、ルスカ、バレンシアなどの名シリーズが生まれた
  • 王冠(クラウン)マークは1949年から使われ、刻印から年代をある程度たどれる
  • ヴィンテージ品は生産を終えており、状態の良い一点は年々入手が難しくなっている

目次

  1. アラビアはどこの国のブランド?
  2. アラビアの歴史
  3. 代表的なシリーズ
  4. アラビアの皿・プレート
  5. アラビアの人気デザイナー
  6. アラビアはなぜ高い・なぜ人気なのか?
  7. ヴィンテージと現行品
  8. よくある質問

アラビアはどこの国のブランド?

アラビアの基礎知識

アラビアはどこの国のブランド?
フィンランド・ヘルシンキ発祥の陶磁器ブランドです。1873年にスウェーデンのロールストランド社の子会社として設立され、1916年にフィンランド資本へと移り、フィンランドを代表する窯へと成長しました。

アラビアとイッタラの違いは?
アラビアは陶磁器(食器)、イッタラはガラス製品が祖業です。両社は2007年にイッタラブランドとして統合され、現在はフィスカース・グループ傘下です。1950〜70年代のヴィンテージは別ブランドとして製造されていました。

なぜ「アラビア」という名前?
創業地ヘルシンキ郊外の地区名「アラビアンランタ(Arabianranta=アラビアの岸辺)」に由来します。中東のアラビアとは無関係で、19世紀の地名にちなんで命名されました。

アラビアの歴史

1873年、スウェーデンのロールストランド社の子会社としてフィンランドに設立されたアラビアは、やがてフィンランド資本のもとで独自のデザイン哲学を確立していきます。

アラビア工場の絵付け部門で装飾をほどこす職人

アラビア工場の絵付け部門。職人の手で一点ずつ装飾がほどこされていた

1932年に芸術部門(Art Department)が設立されると、カイ・フランク、ビルガー・カイピアイネン、ウラ・プロコッペといった才能あるデザイナーが集まり、「用の美」と「芸術性」を兼ね備えた唯一無二のブランドへと成長しました。

アラビア社のあゆみ(簡易年表)

  • 1873年 — ヘルシンキ郊外で創業(ロールストランド社の子会社として)
  • 1916年 — フィンランド資本へ移行
  • 1932年 — 芸術部門が設立され、名デザイナーが集う
  • 1949年 — 王冠(クラウン)マークの刻印が始まる
  • 1950〜70年代 — パラティッシ、ルスカ、バレンシアなどが生まれた黄金期
  • 2007年 — イッタラブランドへ統合、現在はフィスカース・グループ傘下

代表的なシリーズ

アラビア(ARABIA)を代表する人気シリーズを、デザイナーとモチーフとともに一覧にまとめました。気になるシリーズの商品一覧へは、各行のリンクからご覧いただけます。

シリーズ デザイナー 発表年 モチーフ・特徴
パラティッシ(Paratiisi) ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen) 1969年 果実とすみれ、ブラックカラント(黒すぐり)を極彩色で描いた「楽園」を意味するシリーズです。
バレンシア(Valencia) ウラ・プロコッペ(Ulla Procopé) 1960年 コバルトブルーの手描き装飾を特徴とし、一点ずつ筆致が異なります。
ルスカ(Ruska) ウラ・プロコッペ(Ulla Procopé) 1960年 茶色のまだら模様のマット釉をまとったストーンウェアで、アラビアが量産実用品に初めてマット釉を用いたシリーズとされます。
クロッカス(Krokus) エステリ・トムラ(Esteri Tomula) クロッカスの花を繊細な線で描いたシリーズです。白地に映える黒の線画が特徴です。
コラーリ(Koralli) ライヤ・ウオシッキネン(Raija Uosikkinen) 1983〜1987年 「珊瑚」を意味し、植物のモチーフを配したシリーズです。
フローラ(Flora) エステリ・トムラ(Esteri Tomula) フィンランドの春の野草を描いたボタニカルなシリーズで、繊細な花柄を特徴とします。
アネモネ(Anemone) ウラ・プロコッペ(Ulla Procopé) 1962年頃 コバルトブルーの花を描いたシリーズで、青の名作として知られます。
コスモス(Kosmos) グンヴォル・オリン=グレンクヴィスト(Gunvor Olin-Grönqvist) 1960年代 エアブラシによる放射状の意匠が特徴のシリーズです。
ピルッティ(Pirtti) ライヤ・ウオシッキネン ほか 1970年代 フィンランドの民家を思わせる素朴な絵付けのシリーズです。
スンヌンタイ(Sunnuntai) ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen) 「日曜日」を意味し、花を散らした明るい絵柄のシリーズです。
ヴァナモ(Vanamo) エステリ・トムラ(Esteri Tomula) リンネソウ(vanamo)を繊細に描いたボタニカルなシリーズです。

※ 発表年は資料により諸説あるシリーズについて、確実な年のみを記載しています。クロッカスとフローラは複数の資料で年代が一致しないため、年の記載を控えています。

人気の目安(編集部の見立て)

当店の販売実績と、検索で探されている数をもとにした人気の目安です。初めての方は、このあたりから見ていくと選びやすいと思います。

  1. パラティッシ — 果実と花の極彩色。アラビアの代名詞です
  2. クロッカス — 白地に黒の線画。どんな空間にもなじみます
  3. バレンシア — コバルトブルーの手描き。一点ごとの筆致の違いも魅力です
  4. ルスカ — 茶のマット釉。素朴で力強い風合いです
  5. コラーリ — 落ち着いた色調で、そろえやすいシリーズです

雰囲気で選ぶなら、華やかさならパラティッシ、落ち着いた佇まいならルスカ、植物の線画ならクロッカスやヴァナモ、深い青ならバレンシアやアネモネです。飾る場所との相性から選ぶ考え方は、北欧ヴィンテージ食器の選び方で詳しく解説しています。

パラティッシ(Paratiisi)

ビルガー・カイピアイネンがデザインした「楽園」を意味するシリーズ。大胆な果実と花のモチーフは、発売から50年以上経った今もアラビアを代表するアイコン的存在です。

ARABIA パラティッシ 1971年製 オーバルプレート(大皿)29.5cm。青いぶどうとパンジー、黄色いりんごの絵柄
ARABIA(アラビア)パラティッシ(Paratiisi)1971年製 オーバルプレート(大皿)29.5cm

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バレンシア(Valencia)

ウラ・プロコッペによる鮮やかなブルーの手描きシリーズ。地中海のタイルを思わせるエキゾチックなデザインは、北欧とは思えない温かみを持っています。

ARABIA バレンシア(Valencia)デミタスカップ&ソーサー。コバルトブルーの釉薬と白の文様
ARABIA(アラビア)バレンシア(Valencia)デミタスカップ&ソーサー

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クロッカス(Krokus)

エステリ・トムラがデザインした、素朴で愛らしいクロッカスの花のシリーズ。白地に黒の線で花を描いた意匠で、ヴィンテージならではの味わいがあります。

アラビア クロッカス 17cmプレート。白地に黒の線画で描かれた花と葉
アラビア(ARABIA)クロッカス(Krokus)17cmプレート

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シリーズ以外の定番:スパイスジャー

シリーズ名では語られない定番として、かつて台所で使われていたスパイスジャー(香辛料入れ)やキャニスターがあります。Kanel(シナモン)、Kaffe(コーヒー)など中身の名前が記された姿が愛らしく、小さな棚の飾りとして人気があります。当店でも常時数点を取り扱っています。

ARABIA(アラビア)スパイスジャー Kanel(シナモン)。クリーム色の陶製ジャーにピンクの花柄
ARABIA スパイスジャー Kanel(シナモン)

アラビアの商品一覧で、現在ご用意のあるジャー類をご覧いただけます。

アラビアのヴィンテージを選ぶポイント

裏面のバックスタンプ(刻印)で製造年代を推定できます。王冠マーク、ARABIA FINLANDの文字、デザイナーのサインなどを確認しましょう。1960〜70年代のものは一点ごとの表情の違いも見どころです。年代の読み方は刻印(バックスタンプ)年代別ガイドで詳しく解説しています。

アラビア クロッカスの絵柄ディテール。白地に黒い線で描かれた花と葉
クロッカス(Krokus)の絵柄ディテール

アラビアの皿・プレート

「アラビア 食器」と並んで探されることが多いのが皿(プレート)です。当時のアラビア社の皿は、ケーキ皿にあたる17cm前後、デザート皿にあたる19〜20cm、メインの盛り付けを想定した23〜26cmといったサイズ展開で設計されていました。

アラビア コラーリ(Koralli)24cmディナープレート。ベージュの縁取りとブラウンのライン
アラビア コラーリ(Koralli)24cmディナープレート

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壁に掛けたり、プレートスタンドに立てたりと、絵柄を見せて飾る楽しみ方が広がるのもアラビアの皿の魅力です。

ARABIA パラティッシ オーバルプレートをプレートスタンドに立てて飾った様子
プレートスタンドに立てたパラティッシ・オーバルプレート

在庫のある皿は入れ替わりがあります。クロッカスの19.5cmプレートのような定番も含め、最新の在庫はアラビアの商品一覧皿・プレートの一覧でご確認ください。

アラビアの人気デザイナー

ビルガー・カイピアイネン — アラビアを代表する芸術家、作品に囲まれたアトリエにて

ビルガー・カイピアイネン(1915-1988)。「装飾家の王(Koristelijoiden Kuningas)」と称され、パラティッシをはじめ芸術的な作品群を残した

カイ・フランク — フィンランドデザインの良心、ろくろに向かう姿

カイ・フランク(1911-1989)。「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ/テーマで食器の民主化を実現した

デザイナー 代表作 特徴
ビルガー・カイピアイネン パラティッシ 大胆な色彩と装飾性
ウラ・プロコッペ バレンシア、ルスカ 機能美とあたたかみの融合
エステリ・トムラ クロッカス、フローラ 繊細な線描の花柄
ライヤ・ウオシッキネン エミリア 民芸的な温かみ
カイ・フランク キルタ/テーマ 究極のシンプリシティ
ARABIA パラティッシ(Paratiisi)オーバルプレート 青と黄の果実・花柄
パラティッシ
アラビア バレンシア(Valencia)コバルトブルーのカップ&ソーサー側面
バレンシア
アラビア クロッカス(Krokus)19.5cmプレート。白地に黒線画の花
クロッカス
ライヤ・ウオシッキネン — アラビア工場で絵付けに集中する姿

ライヤ・ウオシッキネン(1923-2004)。「エミリア」シリーズなど、民芸的な温かみのあるデザインで知られる

ルート・ブリュック — 巨大なモザイク壁画の前に立つ姿、1961年

ルート・ブリュック(1916-1999)。陶板アートの先駆者として、アラビアの芸術部門で独自の世界を築いた

アラビアはなぜ高い・なぜ人気なのか?

アラビアのヴィンテージが高く評価され、世界中のコレクターに探され続けるのには、いくつかの理由があります。

理由1:生産終了による入手のしづらさ

パラティッシやルスカといった人気シリーズの多くは、すでに生産を終えています。ヘルシンキ工場の製造体制も大きく縮小し、当時の品はもう新たに作られません。流通量が限られるため、状態の良い一点は年々見つけにくくなっています。

理由2:名デザイナーが築いたブランド価値

カイ・フランク(Kaj Franck)、ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen)、ウラ・プロコッペ(Ulla Procopé)など、北欧デザイン史に名を刻むデザイナーが在籍しました。作り手の存在そのものが、作品の価値を支えています。

理由3:一点ごとの個性

同じシリーズでも、製造時期や個体によって発色や質感に違いがあります。その個体差が、ヴィンテージならではの魅力として愛されています。

理由4:北欧デザインへの世界的な評価

ミッドセンチュリーの北欧デザインは、いまも世界的に高い人気を保っています。その中心にいたブランドの一つがアラビアであり、評価は時代を超えて続いています。

理由5:状態の良い個体の少なさ

半世紀を超える時間を経て、当時のまま美しい状態を保つ品は限られます。コンディションの良いものほど入手が難しく、価格にも反映されます。

ヴィンテージと現行品

アラビアのシリーズの一部は、現在もイッタラブランドの現行品として製造が続いています。パラティッシ(カラー・ブラック)やムーミンマグは新品で入手でき、公式ストアや正規取扱店で購入できます。

一方、当店が扱うのは1950〜70年代を中心とするフィンランド製のヴィンテージです。ルスカやバレンシア、クロッカスといった生産終了シリーズは、ヴィンテージでしか出会えません。年代の見分けには刻印の年代別ガイドが手がかりになります。

よくある質問

アラビアはどこの国のブランドですか?

フィンランド・ヘルシンキ発祥の陶磁器ブランドです。1873年にスウェーデンのロールストランド社の子会社として設立され、1916年にフィンランド資本へ移りました。社名は創業地の地区名アラビアンランタに由来します。

なぜアラビアの食器は人気があるのですか?

1932年に設けられた芸術部門のもと、カイ・フランクの簡潔な日用食器から、カイピアイネンの華やかな装飾までが同じ窯で育ちました。用の美と芸術性を併せ持つ作風と、1950〜70年代ならではの一点ごとの個体差が、世界中のコレクターに長く愛されています。

アラビアとイッタラの違いは?

アラビアは陶磁器、イッタラはガラスが祖業です。2007年以降は同じフィスカース・グループ傘下にありますが、ヴィンテージ期は別々のブランドでした。詳しくは イッタラとアラビアの違い をご覧ください。

年代の見分け方は?

裏面のバックスタンプ(刻印)が手がかりになります。1949年に登場した王冠マークが目印です。詳しくは アラビアの刻印(バックスタンプ)年代別ガイド をご覧ください。

シリーズ・作家をさらに詳しく

アラビアの主要シリーズと、それを生んだ作家には、それぞれ詳しいガイドがあります。

シリーズ別ガイド: パラティッシバレンシアクロッカスルスカアネモネコラーリコスモスピルッティスンヌンタイヴァナモ花柄食器の総合ガイド

作家別ガイド: カイ・フランクウラ・プロコッペビルガー・カイピアイネンエステリ・トムラライヤ・ウオシッキネンルート・ブリュック

歴史・年代: アラビア工場の歴史(トウコラ)バックスタンプ年代別ガイド

当店のアラビアコレクション

タックショミュッケでは、スウェーデン・フィンランドで買い付けた上質なアラビアのヴィンテージ食器を多数取り揃えています。

アラビアの商品を見る

アラビア以外の北欧食器ブランドについては → 北欧食器ブランド紹介・選び方ガイド

→ 手のひらにおさまる一品をお探しなら 小さな北欧ヴィンテージ もご覧ください。

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