ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen)
ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen,1915〜1988年)
ボスニア湾沿岸のフィンランド南西部ポリ(Pori)の生まれ。フィンランドを代表するデザイナー、「デコレーターの王」と呼ばれる。幼少の頃に首都ヘルシンキに転居するが、カイピアイネンは毎年夏をロシアのソルタヴァラという町でホームステイをして過ごしている。そこで養われた自然感や芸術性は終生彼に影響を与えることとなる。壮年の頃カイピアイネンは小児麻痺を患い、その影響で生涯杖をついて歩くこととなる。片手が不自由なため自らの力でろくろを回し陶芸をすることが出来なかったが、そのことがかえって独自の芸術的センスを磨くきっかけとなったともいわれる。
カイピアイネンはフィンランドの最高峰の芸術大学であるアールト大学芸術学部を卒業し、1937年にARABIAに就職、1954年から4年間はスウェーデンのロールストランドにも転籍している。シンプルかつ飾らない北欧のモダンアートの全盛期において、カイピアイネンのデザインは装飾性に富み隅々まで描かれた細かい描写に特徴がある。時代の主流とは一線を画する独自の世界観を築いており、1969年にパラティッシュを、1970年にはアピア、1971年にはスンヌンタイをデザインしている。これらはいまなおアラビア社の復刻版で看板商品となっている。