1938年グスタフスベリ。ヴィルヘルム・コーゲと若き日のスティグ・リンドベリが器を検分する白黒写真

北欧アルバム館|古い写真でたどる北欧食器の記録——デザイナー・工場・街角・博覧会

北欧食器タックショミュッケ編集部

北欧アルバム館——古い写真でたどる、器と人の記録

当店のブログでは、北欧の器やデザイナーを紹介するたびに、各国の博物館やアーカイブに残された古い写真を添えてきました。19世紀の港に開けた磁器工場、炉の前に立つ職人、ろくろに向かう作家の横顔、コーヒーテーブルを囲む人々——一枚一枚は記事の脇役でしたが、集めてみると、北欧の器がたどった時代の風景がひとつながりに見えてきます。

この特集は、これまでの記事で紹介してきた記録写真のなかから、白黒写真を中心に41点を選んで一冊のアルバムに仕立てたものです。それぞれの写真には出典記事へのリンクを添えました。気になる一枚から、その器や作家の物語へ進んでいただければと思います。

目次

  1. デザイナーの肖像
  2. 工場と職人——ものづくりの現場
  3. 街角と暮らし——カップが並んだ風景
  4. 博覧会の時代——世界へ出た北欧デザイン

デザイナーの肖像

作品の背後にいた人々の顔を、当時の写真でたどります。

ヴィルヘルム・コーゲとスティグ・リンドベリ 1938年のグスタフスベリ
1938年、グスタフスベリで。左がヴィルヘルム・コーゲ、右が若き日のスティグ・リンドベリ。パブリックドメイン
グスタフスベリの師弟。この6年後、リンドベリはベルサへ続く道を歩み始めます。
→ 出典記事:ブリト・ルイス・サンデル完全ガイド
1955年、自宅の書斎に立つヴィルヘルム・コーゲ
1955年、自宅の書斎に立つヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)。「より美しい日常の器を」という理念を掲げ、グスタフスベリの黄金期を築いた芸術監督。Photo: Public domain
→ 出典記事:アルジェンタとは
自作の器とともに写るデザイナー スティグ・リンドベリ
グスタフスベリの黄金期を率いたデザイナー、スティグ・リンドベリ(1916–1982)。自作の器とともに。撮影:Bent K. Rasmussen/パブリックドメイン
→ 出典記事:アダム(Adam)完全ガイド
リサ・ラーソン本人のポートレート
リサ・ラーソン本人のポートレート(1967年、撮影:Bent K. Rasmussen、パブリックドメイン)。彼女は1954年から1980年までグスタフスベリに在籍した。
→ 出典記事:北欧の壁飾りプレート(陶板)完全ガイド
1940年代、ろくろに向かうカイ・フランク
1940年代、ろくろに向かうカイ・フランク。「フィンランドデザインの良心」と呼ばれた。Photo: Public domain
→ 出典記事:イッタラ ティーマ(Teema)完全ガイド
ろくろに向かうベルント・フリーベリ 1954年
ろくろに向かい、両手で器を成形するベルント・フリーベリ。1954年、背後の棚には完成した作品が並ぶ(雑誌Form 1954掲載 / パブリックドメイン)
→ 出典記事:ベルント・フリーベリ完全ガイド
シモン・ガーテの肖像写真
シモン・ガーテの肖像写真。オレフォースの写真家ヨーン・セルビング(John Selbing)による記録(出典:Wikimedia Commons、Public Domain)
→ 出典記事:オレフォース(Orrefors)完全ガイド
グンネル・ニューマン(Gunnel Nyman)のポートレート
グンネル・ニューマン(旧姓グスタフソン、1909–1948)。画像:Wikimedia Commons/パブリックドメイン
→ 出典記事:グンネル・ニューマン(Gunnel Nyman)完全ガイド
カール=ハリー・ストールハネのポートレート
ロールストランドで活躍した陶芸家カール=ハリー・ストールハネのポートレート(画像:Wikimedia Commons/パブリックドメイン)
→ 出典記事:北欧のフラワーベース(花瓶)完全ガイド
マリアンヌ・ウェストマン
マリアンヌ・ウェストマン(1928–2017)のポートレート。ロールストランドの中心的なデザイナーの一人として知られる(画像:Wikimedia Commons/パブリックドメイン)。
→ 出典記事:マリアンヌ・ウェストマン完全ガイド
マリ・シムルソンのポートレート
ウプサラ・エクビーの陶芸家マリ・シムルソンのポートレート(パブリックドメイン)。エストニア系スウェーデン人の彼女は1949年から1972年までウプサラ・エクビーに在籍した。
→ 出典記事:ゲフレ磁器とは
アトリエで筆を持つマイヤ・イソラの白黒写真
マイヤ・イソラ(Maija Isola、1966年)。アトリエで筆を手にする姿。Photo: Pertti Jenytin / Lehtikuva / パブリックドメイン
→ 出典記事:マリメッコ(Marimekko)完全ガイド
ティモ・サルパネヴァのポートレート、1964年
ティモ・サルパネヴァ(1926–2006)。1964年のポートレート。イッタラの赤い「i」ロゴをデザインした人物。
→ 出典記事:イッタラのロゴ・バックスタンプ年代別完全ガイド
オイバ・トイッカのポートレート、1958年
オイバ・トイッカ(1931–2019)。1958年のポートレート。後にBirdsシリーズで400以上のガラスの鳥を生み出した。
→ 出典記事:カステヘルミとは
タマラ・アラディン 1970年のポートレート
タマラ・アラディン(Tamara Aladin、1932–2019)。1970年、フィンランドの雑誌『Suomen Kuvalehti』に掲載されたポートレート。手前は彼女がデザインしたリーヒマキのガラス。撮影:Pekka Pajuvirta/パブリックドメイン
→ 出典記事:タマラ・アラディン(Tamara Aladin)完全ガイド

工場と職人——ものづくりの現場

港に開けた窯、森のガラス工場。器が生まれた現場の記録です。

1890年代のグスタフスベリの港と工場
1890年代のグスタフスベリの港と工場。水運が原料と製品を運んだ創業期の風景。Sjöhistoriska museet/CC BY-SA
→ 出典記事:ベルント・フリーベリ完全ガイド
1900年頃のロールストランド磁器工場の職人たち
1900年頃のロールストランドの工房。ストックホルム時代の職人たち(Nordiska museet所蔵/パブリックドメイン)
→ 出典記事:グンナー・ニールンド完全ガイド
コスタのガラス工場、1890年代
1890年代のコスタのガラス工場。スモーランドの森のなかで、職人たちが代々ガラスを吹き継いできた。Photo: Public domain
→ 出典記事:オレフォース(Orrefors)完全ガイド
1917年のオレフォース・ガラス工場
1917年のオレフォース・ガラス工場。森と雪に囲まれた、黄金期を迎えつつあった工場の姿。パブリックドメイン / Anna Bloms Ateljé
→ 出典記事:インゲボリ・ルンディン(Ingeborg Lundin)完全ガイド
1930年のリーヒマキ・ガラス工場内部。溶解炉の前で働く職人たち
1930年のリーヒマキ・ガラス工場の内部。溶解炉の前に立つ職人たち。撮影:Aarne Pietinen Oy/CC BY 4.0(フィンランド文化財庁コレクション)
→ 出典記事:アイモ・オッコリン(Aimo Okkolin)完全ガイド
1946年ごろのグスタフスベリ磁器工場
グスタフスベリ磁器工場、1946年ごろ。ストックホルム近郊の入り江に面した窯。パーソンは学生時代にここで釉薬の助手を経験。CC0 / Sune Sundahl(ウィキメディア・コモンズ)
→ 出典記事:ブリト・ルイス・サンデル完全ガイド
オレフォースの親方グスタフ・ベリクヴィスト
オレフォースの親方グスタフ・ベリクヴィスト。熔けたガラスを鉄棒の先で成形する(1940年前後)。アップルのような大きな球体は、こうした熟練の吹き手の技なしには生まれなかった。パブリックドメイン / Kulturparken Småland
→ 出典記事:インゲボリ・ルンディン(Ingeborg Lundin)完全ガイド
イッタラ工場でグラスを光にかざして検品する様子、1950年
1950年、イッタラ工場で仕上がったステムグラスを窓の光にかざして検品する様子。アールネもまた、この工場で生まれた名作。CC BY 4.0 / Herman Alfred Turja(Museovirasto)
→ 出典記事:ゴラン・ホンゲル完全ガイド
1965年のトウコラ地区のARABIA工業エリアの俯瞰
1965年のヘルシンキ・トウコラ地区。中央のレンガ造りの大きな建物がARABIAの工場(Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)。
→ 出典記事:アラビア アネモネ(Anemone)完全ガイド——コバルトブルーの手描き花が咲くストーンウェア
イッタラ工場のガラス吹きの現場、1968年
1968年、イッタラ工場の作業場。吹き竿の先で赤く熔けたガラスを扱う職人たちと、頭上に張り巡らされた配管。CC0 / Szilas
→ 出典記事:アイノ・アアルト完全ガイド
1974年のリーヒマキ・ラシ吹き工房。ガラス器を切り分け徐冷炉へ移す女性たち
1974年、リーヒマキ・ラシの吹き工房でガラス器を扱う女性たち。手仕事によるガラス製造が終わる2年前の記録。撮影:Eeva Rista/CC BY 4.0(フィンランド文化財庁コレクション)
→ 出典記事:アイモ・オッコリン(Aimo Okkolin)完全ガイド
ベーダ・シェーンシャンツ ガラス吹きたち
フィンランドの画家ベーダ・シェーンシャンツ(Beda Stjernschantz)《ガラス吹きたち》(1894年)。炉の光に照らされた工房で職人と少年たちが吹き竿を操る(画像:Wikimedia Commons/パブリックドメイン)
写真ではなく絵画ですが、19世紀の工房の空気を最もよく伝える一枚として収めました。
→ 出典記事:北欧のフラワーベース(花瓶)完全ガイド

街角と暮らし——カップが並んだ風景

器は工場だけでなく、街と暮らしの中にありました。

1912年のエクベリのカフェ旧店舗
1912年、アレクサンテリンカトゥ通り52番地にあったエクベリのカフェ旧店舗。1852年創業のフィンランド最古級のカフェとして知られる。Photo: Signe Brander(ヘルシンキ市博物館)/CC BY 4.0
→ 出典記事:北欧のコーヒーポット・ティーポット完全ガイド
1918年ヘルシンキ鉄道広場での屋外コーヒー提供
1918年、ヘルシンキの鉄道広場で行われた屋外でのコーヒー提供。大きなポットを囲んで人々が集まっている。Photo: Ivan Timiriasev(ヘルシンキ市博物館)/パブリックドメイン
→ 出典記事:北欧のコーヒーポット・ティーポット完全ガイド
1897年スウェーデンの屋外でのコーヒー会
1897年、スウェーデンの屋外で開かれたkafferep(コーヒー会)。手前に民族衣装の少女が立つ。Photo: 北方民族博物館(Nordiska museet)所蔵/パブリックドメイン
→ 出典記事:北欧のコーヒーポット・ティーポット完全ガイド
1909年スウェーデンのコーヒー会カフェレップ、庭に集う人々と帽子の女性たち
1909年、スウェーデンのコーヒー会「カッフェレープ」。庭の素朴な椅子に集い、テーブルにカップが並ぶ(画像:Elin Anrep/北方民族博物館/CC BY-SA 4.0)
→ 出典記事:北欧のカップ&ソーサー完全ガイド
1930年代フィンランドの別荘のベランダのコーヒーテーブル
1930年、フィンランドの別荘のベランダに整えられたコーヒーテーブル。テーブルの脇にキンレンカの花が咲いている。Photo: Albert Theodor Böök(ラハティ市博物館)/CC BY 4.0
→ 出典記事:北欧のコーヒーポット・ティーポット完全ガイド
1942年、戦時下の病院でのコーヒータイム
1942年、戦時下のヘルシンキの病院でのコーヒーの時間。物資が乏しい時代にも、コーヒーを囲むひとときは続いた。Photo: Väinö Kannisto(ヘルシンキ市博物館)/CC BY 4.0
→ 出典記事:北欧のコーヒーポット・ティーポット完全ガイド
1940年代のヘルシンキ中央駅
1940年代のヘルシンキ中央駅。ブリュックが若き日を過ごした街の姿
→ 出典記事:ルート・ブリュック完全ガイド

博覧会の時代——世界へ出た北欧デザイン

北欧の器が世界の視線を浴びた、晴れの舞台の記録です。

1925年パリ万博のスウェーデン館
1925年パリ国際装飾美術博覧会のスウェーデン館。ここでオレフォースのガラスが国際的な脚光を浴びた(出典:Wikimedia Commons、Public Domain)
→ 出典記事:シモン・ガーテ(Simon Gate)完全ガイド
1930年ストックホルム博覧会の会場
1930年ストックホルム博覧会の会場。北欧モダニズムが公に示された場で、リンドストランドが国際的にデビューした場所(CC0)。
→ 出典記事:ルイース・アーデルボリ完全ガイド
ヘルシンキ春の見本市に並んだフィンランドのガラス、1939年
1939年、ヘルシンキの春の見本市に設けられたガラス会社の展示スタンド。ガラスブロックの柱が立つ、1930年代フィンランドのガラス産業の空気を伝える一枚。CC BY 4.0 / Aarne Pietinen Oy(Museovirasto)
→ 出典記事:ゴラン・ホンゲル完全ガイド
1939年ニューヨーク万博へ運ばれる巨大ダーラナホース
1939年ニューヨーク万国博覧会のため、巨大なダーラナホースをトラックで運ぶ様子。スウェーデン館の象徴となった。CC BY-SA 4.0 / Erik Holmén
→ 出典記事:ダーラナホース完全ガイド
1939年ニューヨーク万博フィンランド館
1939年ニューヨーク万博のフィンランド館。アアルト夫妻が設計した波打つ木の壁面が話題を呼んだ(1939年スオメン・クヴァレフティ誌掲載)
→ 出典記事:アイノ・アアルト完全ガイド
1955年ヘルシンボリ博覧会H55の入口
1955年のヘルシンボリ博覧会「H55」の入口。戦後スウェーデンのデザインを国際的に紹介した展覧会。出典: Wikimedia Commons
→ 出典記事:スヴェン=エリック・スカヴォニウス完全ガイド
自作のガラスを手にするティモ・サルパネヴァ、1954年
1954年、自作のガラス作品を手にするティモ・サルパネヴァ。この年のミラノ・トリエンナーレで、フィンランド・ガラスが国際的な脚光を浴びた年。CC BY 4.0 / U. A. Saarinen
→ 出典記事:ゴラン・ホンゲル完全ガイド

おわりに——写真がつなぐ、器の来歴

ここに並べた写真の多くは、フィンランド文化財庁や北方民族博物館、各国の美術館が公開しているアーカイブに由来します。北欧の国々では、工場や暮らしの記録が丁寧に保存され、誰もが参照できるかたちで公開されてきました。一枚のヴィンテージの器の背後には、こうした記録が支える長い来歴があります。

このアルバムは、新しい記事で歴史写真を紹介するたびに、少しずつ増補していく予定です。当店では、こうした歴史とともにある北欧の器を、観賞用としてご紹介しています。

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