ロールストランド モナミのコバルトブルーの花柄ティーカップ&ソーサー

北欧のカップ&ソーサー完全ガイド|コーヒー・ティー・デミタスの違いと、ARABIA・グスタフスベリ・ロールストランドの名作、トリオの揃え方

北欧のヴィンテージ食器のなかで、カップ&ソーサーはもっとも親しみ深く、もっとも雄弁な存在です。一客のカップは、てのひらにおさまる小さな器でありながら、釉薬の色、絵付けの線、持ち手のかたち、そして受け皿との寸法の対話まで、北欧という土地のデザインをまるごと閉じ込めています。コーヒーの国スウェーデンとフィンランドにとって、カップ&ソーサーは暮らしの中心にあった道具立てであり、今日では棚に並べ、光に透かして眺める観賞の対象として静かな人気を集めています。

ストックホルムの老舗カフェ ヴェーテカッテンの店内、ペストリーケースと真鍮の照明
ストックホルムの老舗カフェ「ヴェーテカッテン」。緑のプリンセスケーキが並ぶペストリーケースと真鍮の灯り(画像:DimiTalen/CC0)

この記事では、コーヒーカップ・ティーカップ・デミタスといった「種類とサイズ」の違いをひもときながら、グスタフスベリ、ロールストランド、ARABIA、そしてイッタラとフィンランドのガラスが手がけた代表的なカップ&ソーサーを、各窯の風景とともにたどります。ベルサの緑の葉、モナミの青い花、バレンシアの手描き、ティーマの無装飾——おなじみのシリーズも、カップという小さな画面を通して見ると、また違った豊かさを見せてくれます。

さらに、カップ&ソーサーを揃える「トリオ」という北欧らしい愉しみ方、裏印(バックスタンプ)から年代を読む手がかり、持ち手やソーサーの状態を点検するポイント、そして棚や壁での飾り方まで——一客を選び、迎え、長く愛でるためのヒントをまとめました。読み終えるころには、北欧の小さなカフェの一隅にいるような気持ちになっていただけたら幸いです。

この記事でわかること

  • コーヒーカップ・ティーカップ・デミタス(モカ)・カフェオレボウル・マグ——種類とサイズの目安、そして「トリオ」という揃え方
  • 持ち手・カップのボウル・ソーサーのくぼみという「形」の読み方と、コーヒー用と紅茶用のかたちの違い
  • グスタフスベリ、ロールストランド、ARABIA、イッタラ——各窯を代表する名作カップ&ソーサーと、その背景にある北欧の風景
  • 裏印から年代を読む手がかり、持ち手やソーサーの状態の点検、そしてヴィンテージのカップ&ソーサーを飾って愛でるためのヒント

目次

  1. 北欧の暮らしとカップ&ソーサー——一杯の器がつくる時間
    1. コーヒーカップ・ティーカップ・デミタス——種類とサイズ
    2. トリオ(trio)という揃え方
  2. カップ&ソーサーの「形」を読む——持ち手・ボウル・ソーサー
  3. グスタフスベリのカップ&ソーサー
    1. ベルサとアダム&エヴァ——リンドベリの名作
    2. ピンタとスピサ・リブ——グラフィカルな意匠
    3. リサ・ラーソンの手づくりのカップ
  4. ロールストランドのカップ&ソーサー
    1. モナミとシルビア——青い花と三色すみれ
    2. プリムールとア・ラ・カルト——ペーション=メリンのフォルム
    3. アネモン・ピクニック・コカ・オストインディア
  5. ARABIAのカップ&ソーサー
    1. バレンシアとプロコッペのデミタス
    2. クロッカスとエミリア——絵付けの妙
    3. パラティーシとキルタ/ティーマ——装飾と無装飾
  6. イッタラとフィンランドのガラス——磁器からガラスへ
  7. ヴィンテージのカップ&ソーサーを選ぶ・愛でる
    1. バックスタンプと年代の読み方
    2. コンディションの点検
    3. 飾り方・愛で方
  8. よくある質問
  9. まとめ

北欧の暮らしとカップ&ソーサー——一杯の器がつくる時間

スウェーデンとフィンランドは、世界でも有数のコーヒー消費国です。長く暗い冬を過ごす北欧では、温かい一杯を囲んでひと息つく時間が、暮らしのリズムそのものになってきました。スウェーデンでは、この習慣を「フィーカ(fika)」と呼びます。コーヒーを意味する古い言葉「kaffi」の音を入れ替えた隠語から生まれた言葉で、焼き菓子とともにコーヒーを楽しむ、誰もが大切にする休息の時間を指します。フィンランドにも、職場で一日二回のコーヒー休憩を保障する「カフヴィタウコ(kahvitauko)」という言葉があり、静かに同じ時間を分かち合う習わしが根づいています。

1909年スウェーデンのコーヒー会カフェレップ、庭に集う人々と帽子の女性たち
1909年、スウェーデンのコーヒー会「カッフェレープ」。庭の素朴な椅子に集い、テーブルにカップが並ぶ(画像:Elin Anrep/北方民族博物館/CC BY-SA 4.0)

こうした文化の源流のひとつが、十九世紀末に形を整えた「カッフェレープ(kafferep)」です。女性たちが家庭に集って開いたコーヒーの会で、当時の作法書は「最上等の磁器、カップとソーサー、砂糖入れとクリーマーを使うこと」を説きました。あわせて「七種類の焼き菓子(sju sorters kakor)」を供する決まりがあり、七より少なければ物足りず、多ければ見栄が過ぎるとされたといいます。ここで主役のひとつだったのが、揃いのカップ&ソーサーでした。ホストの審美眼を映す「見せる磁器」として、戸棚のいちばん良い器が選ばれたのです。揃いの器を組で整える——この美意識こそが、今日コレクションとしてカップ&ソーサーを愛でる視点へとつながっています。なお、フィーカやコーヒー文化そのものについては、北欧のコーヒー文化とフィーカの記事で詳しくご紹介しています。本ガイドでは、その器の「形」を選び、集める視点に焦点を当てます。

コーヒーカップ・ティーカップ・デミタス——種類とサイズ

ひとくちにカップ&ソーサーといっても、用途に応じてさまざまな種類があります。ヴィンテージを選ぶうえで、まずは大まかなサイズの目安を知っておくと、戸棚の中の一客が何のためにデザインされたものかを読み解きやすくなります。

白地に淡いブルーの水玉模様、ARABIAの円筒形コーヒーカップとソーサー
ARABIAのコーヒーカップ&ソーサー。1960〜70年代、ヨーラン・ベック(Göran Bäck)のデザイン(画像:フィンランド海事博物館/CC BY 4.0)

コーヒーカップ(kaffekopp)は、容量およそ120〜180ミリリットルが目安です。スウェーデンの伝統的な「kaffekopp」は約15センチリットル=150ミリリットルを基準とし、手で包んで温もりを保ちやすいよう、縦に深く円筒に近いフォルムを取ります。高さはおよそ60〜70ミリ、口径は70〜80ミリ前後が典型です。

ティーカップ(tekopp)は、容量がやや大きく、200〜240ミリリットル前後のものが多く見られます。沸かしたての紅茶が早く飲み頃の温度になるよう、口が広く浅く、背の低い、上に向かって開いた形にデザインされました。同じシリーズでコーヒー用と紅茶用の両方が作られる場合、紅茶用のソーサーのほうが大きくなる傾向があり、北欧の実例では紅茶用ソーサー径16センチに対しコーヒー用13.5センチという差が見られます。

デミタスカップは、フランス語で「半分のカップ」を意味する言葉どおり、標準的なコーヒーカップのおよそ半量、容量60〜90ミリリットルの小型カップです。エスプレッソや濃く淹れたモカのためにデザインされ、専用の小さなソーサーが添えられます。北欧のオークションでは、同型のものが「モカカップ(mockakopp)」と呼ばれ、コーヒーカップ(kaffekopp)とは明確に区別されてきました。小ぶりで愛らしく、コレクションでも人気の高い一群です。

このほか、取っ手を持たず両手で包む広口のカフェオレボウル(bol)や、ソーサーを伴わずたっぷりの容量を持つマグ(mugg)もあります。ただし本ガイドの主役は、受け皿と組になった「カップ&ソーサー」です。受け皿があることで、一客は単体の器を超えて、ひとつの完結した小さな様式になります。

トリオ(trio)という揃え方

北欧のカップ&ソーサーを語るうえで欠かせないのが、「トリオ(trio)」という揃え方です。トリオとは、カップ+ソーサー+ケーキ皿(小皿)の三点を組にしたセットを指します。カップと受け皿の二点に、焼き菓子をのせる小皿を加えた構成で、北欧のヴィンテージ市場でもそのまま「trio」の語で親しまれています。

ロールストランドのプリムールの白磁のティーカップ、ソーサー、ケーキ皿の三点セット
ロールストランドのプリムール(Primeur)のティーカップ&ソーサーとケーキ皿。白磁の三点が揃ったトリオ

このかたちの源流は、英国の喫茶文化にあります。十八〜十九世紀、紅茶とともにケーキやサンドイッチを供する習慣が広がるなかで、カップ&ソーサーに小皿を添えた三点組が一般化しました。北欧では、より大きな「コーヒー・サービス(kaffeservis)」という一式の概念のなかで、カップ&ソーサーと小皿が同じパターンで揃えられ、ロールストランドやグスタフスベリ、ARABIAが同柄のトリオを展開しました。三点が同じ意匠で完結することの様式的な美しさ、そして大・中・小と入れ子になる寸法の調和——トリオは、北欧の「揃える」美意識をもっとも端的に映す単位だといえます。棚に三点を重ねて飾ると、一枚の絵のように絵柄の連続性が立ち上がってきます。

カップ&ソーサーの「形」を読む——持ち手・ボウル・ソーサー

絵柄や色に目を奪われがちなカップ&ソーサーですが、その魅力の半分は「形」にあります。持ち手のかたち、カップのボウル(胴)の輪郭、そしてソーサーのくぼみ——この三つを読み解くと、一客の佇まいがぐっと立体的に見えてきます。

ロールストランドのア・ラ・カルトの白磁のコーヒーカップとソーサー、ループ型の持ち手
ロールストランドのア・ラ・カルト(A La Carte)のコーヒーカップ&ソーサー。深めの円筒に近い、コーヒーカップのフォルム

持ち手(ハンドル)の基本は、親指と人差し指で挟む「ループ型」です。握りやすさと安定を両立する標準的なかたちで、ここから、Cの字を描くカーブ型、渦巻きを思わせるスクロール型、耳のように開いたイヤー型、角ばったスクエア型など、さまざまな変種が生まれました。北欧ミッドセンチュリーの器は、装飾を抑えたシンプルなループ型が多く、持ち手のわずかな反りや断面のかたちに、デザイナーの手つきが表れます。

カップのボウルは、前述のとおりコーヒー用が深い円筒形、紅茶用が浅く口の開いた形を基本とします。同じシリーズでも、コーヒーカップとティーカップでは背の高さと口径が違うため、二客を並べると作り分けの妙がよく分かります。リンドベリやプロコッペら北欧のデザイナーは、絵柄を映えさせるために、あえて装飾のないまっすぐな胴を選ぶことが少なくありませんでした。

ソーサーの見どころは、中央のくぼみ(ウェル)または隆起したリングです。これがカップの底を受けて滑り止めの役割を果たします。このくぼみを持つ受け皿の構造は十七世紀末に登場し、もともとは取っ手のないカップを持つ指を熱から守るリング状の器具が発展したものでした。ソーサーの径はカップに対応して決まり、ティー用がコーヒー用より大きくなる傾向があります。一客を手に取ったら、カップの底がソーサーのくぼみにきちんとおさまるか、対の組み合わせが正しいかを確かめてみてください。ヴィンテージでは、カップとソーサーが別々の組み合わせで流通していることもあります。

グスタフスベリのカップ&ソーサー

グスタフスベリ(Gustavsberg)は、1825年にストックホルム近郊のヴァルムドー島で創業した、スウェーデンで二番目に古い歴史を持つ窯です(最も古いのは1726年創業のロールストランド)。戦後のスウェーデン・モダンを牽引したのが、1949年に芸術監督に就いたスティグ・リンドベリ(Stig Lindberg)でした。リンドベリの明るく機知に富んだ意匠は、グスタフスベリのカップ&ソーサーに数々の名作を残しています。

スウェーデン グスタフスベリの磁器工場、煉瓦造りの工場棟と高い煙突
スウェーデン・グスタフスベリの磁器工場。煉瓦造りの工場棟と煙突が連なる名窯(画像:Mangan02/CC BY-SA 4.0)

ベルサとアダム&エヴァ——リンドベリの名作

グスタフスベリでもっとも有名な絵柄が、1961年にリンドベリが手がけたベルサ(Berså)です。白地に鮮やかな緑の葉を連続させたボーダー柄で、カップの側面にもソーサーの縁にも、葉が一周します。コーヒーカップ(やや小ぶり)とティーカップ(背が低く口径が広い)の二サイズがあり、シンプルな円筒に近いフォルムに、緑のリーフが主役として映えます。ベルサについては、ベルサ(Berså)完全ガイドでその全容を詳しくご紹介しています。

眼鏡をかけスーツを着たスティグ・リンドベリが自作の陶器に手を添える白黒写真
グスタフスベリの黄金期を築いたスティグ・リンドベリ(Stig Lindberg)。自作の器に手を添えて(画像:パブリックドメイン)

1959年に発表されたアダム(Adam)とエヴァ(Eva)は、対をなす一組のデザインです。アダムは白磁に濃いブルーの連珠(つながった水玉)が、下にいくほど小さくなるように描かれます。エヴァはその色反転版で、朱色の地に白い水玉を散らし、アダムと同じフォルムを共有します。青のアダムと赤のエヴァを並べると、補色の対照が美しく響き合います。いずれも1959年から1974年にかけて製造され、2005年に復刻版も登場しました。

グスタフスベリのエヴァの赤地に白い水玉のヴィンテージ版コーヒーカップとソーサー
グスタフスベリのエヴァ(Eva)のヴィンテージ版コーヒーカップ&ソーサー。赤地に白い水玉、アダムと対をなす意匠

ピンタとスピサ・リブ——グラフィカルな意匠

ピンタ(Pynta)は、1962年にリンドベリがデザインしたシリーズです。ティーカップ&ソーサーが知られ、カップ口径は約8.5センチ、ソーサー径は約15.5センチと、背が低く口の広いティーカップらしいフォルムを持ちます。生産期間がおよそ三年と短かったため、現存数が限られる希少な一群です。

グスタフスベリのピンタの背が低く口の広いティーカップとソーサー
グスタフスベリのピンタ(Pynta)のティーカップ&ソーサー。背が低く口の広いティーカップのフォルム

1955年、ヘルシンボリで開かれたH55博覧会で発表されたスピサ・リブ(Spisa Ribb)は、白地に茶と黒の細いストライプ(縦縞)を配したグラフィカルな意匠です。フリント(陶器)の素材に縦縞が映え、ミッドセンチュリーのモダンな暮らしを象徴しました。同時に発表された褐色の耐熱シリーズテルマ(Terma)とは、互いに組み合わせることを前提にデザインされた姉妹的な関係にあります。テルマは耐熱性の高い素材を用い、温かみのある褐色の単色釉をまとった、調理とサーブのための器が中心でした。

リサ・ラーソンの手づくりのカップ

グスタフスベリといえば、リサ・ラーソン(Lisa Larson)の名も忘れられません。当初は一年の予定で入社したラーソンは、結果として1954年から1980年まで在籍し、愛らしい動物像や陶板で世界的な人気を得ました。量産のパターンとは別に、グスタフスベリの工房(Gスタジオ)では、ラーソン自身の手による一点もののカップも生まれています。シャモットを含むストーンウェアの素地、釉薬の濃淡、ろくろや手の痕跡——量産品にはない手づくりの温度が宿る、彫刻的な器です。

リサ・ラーソン Gスタジオのユニークピース、手づくりの大型ティーカップ
リサ・ラーソン(Lisa Larson)Gスタジオのユニークピース、大型のティーカップ。シャモットを含むストーンウェアに手業の痕跡が残る

ラーソンは1980年にグスタフスベリを離れたのち、自身の工房を構えてフリーランスとして制作を続けました。当店には、その時期の青釉ストライプのカラフとカップのセットなど、希少な手づくりの作品も届いています。リサ・ラーソンの歩みについては、リサ・ラーソン完全ガイドで詳しくご紹介しています。

ロールストランドのカップ&ソーサー

ロールストランド(Rörstrand)は1726年に創業した、スウェーデンで最も古い歴史を持つ窯です(ヨーロッパでもマイセンに次ぐ古さを誇ります)。二十世紀前半に本拠地をリードヒェーピング(Lidköping)へ移し、数々の名作を世に送り出しました。2005年にスウェーデン国内での生産を終えましたが、ブランドは現在もフィスカース(Fiskars)グループのもとで続いています。ロールストランドのカップ&ソーサーは、花を描いた絵柄の豊かさで知られます。

リードヒェーピングのロールストランド・センター、煉瓦造りの旧工場建築と歩行者広場
リードヒェーピングのロールストランド・センター。旧工場の煉瓦建築が今も街に残る(画像:I99pema/CC BY-SA 4.0)

モナミとシルビア——青い花と三色すみれ

ロールストランドを代表する青い花の器が、モナミ(Mon Amie)です。マリアンヌ・ウェストマン(Marianne Westman)が1952年に発表した、白〜卵殻色の地にコバルトブルーの花を散らしたシリーズで、語末にeの付く「Mon Amie」は「私の恋人」を意味します。丸みのある実用的なフォルムに青花が映え、長く愛され続けました。当店在庫のモナミのBVモデルのティーカップ&ソーサーも、その青の深みが見どころです。デザイナーのウェストマンについては、マリアンヌ・ウェストマン完全ガイドで詳述しています。

マリアンヌ・ウェストマンの白黒のポートレート写真
ロールストランドを代表するデザイナー、マリアンヌ・ウェストマン(Marianne Westman)(画像:パブリックドメイン)
ロールストランドのモナミ BVモデルのコバルトブルーの花柄ティーカップとソーサー
ロールストランドのモナミ(Mon Amie)BVモデルのティーカップ&ソーサー。コバルトブルーの青い花

シルビア(Sylvia)は、ロールストランド創業250周年を記念して1976年に生まれたシリーズです。丸みのあるフォルムはマリアンヌ・ウェストマンが設計し、そこにシルビア・レウショヴィウス(Sylvia Leuchovius)が三色すみれ(パンジー/ビオラ)を手描き調で配しました。緑・青・黄を基調とした花柄が白釉に映える、祝祭的な一群です。当店在庫には、希少なサイズのティーカップ&ソーサーも届いています。シルビアの物語はロールストランドのシルビア完全ガイドでご覧いただけます。

ロールストランドのシルビアの三色すみれを描いたティーカップとソーサー
ロールストランドのシルビア(Sylvia)のティーカップ&ソーサー。三色すみれを配した手描き調の花柄

プリムールとア・ラ・カルト——ペーション=メリンのフォルム

1980年、シグネ・ペーション=メリン(Signe Persson-Melin)がデザインしたプリムール(Primeur)は、ボーンチャイナの「PM」フォルムを用いた、丸みのある近代的なカップ&ソーサーです。白磁に細いテラコッタ色のリムを巡らせた基本型は、ロールストランドの古典オストインディアへの現代的なオマージュとも読めます。デミタスからコーヒー、ティーまで多機能に展開され、金彩を効かせた「グルド」のバリエーションも生まれました。当店在庫のデミタスカップ&ソーサーや、金彩の「バグダッド」のトリオは、その端正なフォルムを伝えてくれます。

ロールストランドのプリムールの白磁にテラコッタ色のリムのデミタスカップとソーサー
ロールストランドのプリムール(Primeur)のデミタスカップ&ソーサー。白磁にテラコッタ色のリムを巡らせた一客

同じ1980年デザインのア・ラ・カルト(A La Carte)は、プリムールと同じPMボーンチャイナのフォルムを共有する姉妹的なシリーズで、白磁に縁取り装飾を施した端正な意匠です。プリムールが1980年から1984年と短命だったのに対し、ア・ラ・カルトは1981年から1996年まで、より長く作られ続けました。ペーション=メリンの仕事については、シグネ・ペーション=メリン完全ガイドでご紹介しています。

ロールストランドのプリムール グルド バグダッドの金彩を効かせたカップとソーサーとケーキ皿
ロールストランドのプリムール「グルド・バグダッド」(Guld Bagdad)。金彩を効かせたカップ&ソーサーとケーキ皿

アネモン・ピクニック・コカ・オストインディア

ロールストランドのカップ&ソーサーには、ほかにも魅力的なシリーズが揃います。アネモン(Anemon)は、アネモネの花を大胆に描いた人気作で、ブルー系とブラウン系が知られます。ただし、その作者や年代については複数の説があり、確定が難しいシリーズでもあります。詳しくはロールストランド「アネモン」は誰のデザインかをご覧ください。

マリアンヌ・ウェストマンが1956年に手がけたピクニック(Picknick)は、玉ねぎや人参、ビーツといった野菜を黒い輪郭線のなかに陽気な色で描いた、耐熱フリント陶器のシリーズです。同じ1950年代には、ヘルタ・ベングトソン(Hertha Bengtson)のコカ(Koka)が市場に登場しました。施釉ストーンウェアに茶や青の縞を配した素朴な器で、「Koka」はスウェーデン語で「煮る」を意味します。ベングトソンの仕事はヘルタ・ベングトソン完全ガイドに詳しくまとめています。さらに、ニルス・エミール・ルンドストローム(Nils Emil Lundström)が1932年に発表したオストインディア(Ostindia)は、十八世紀の東インド貿易でもたらされた中国磁器に着想した、白磁に青い草花文の古典で、今も作られ続けています。

ARABIAのカップ&ソーサー

ARABIAは1873年、スウェーデンのロールストランドがヘルシンキ北部の「アラビア」地区に設立した工場として始まりました。1916年にフィンランド資本へ移り、やがてフィンランド・デザインの一大拠点へと成長します。ウラ・プロコッペ、ビルガー・カイピアイネン、ライヤ・ウオシッキネン、エステリ・トムラ——綺羅星のような作家たちが、ARABIAのカップ&ソーサーに豊かな絵付けの世界を残しました。フィンランドは一人あたりのコーヒー消費量が世界最大級で、その文化がARABIAの器を育てたのです。

ヘルシンキ アラビアンランタに建つARABIA工場の高層レンガ建築、壁面に縦書きのARABIA
ヘルシンキ・アラビアンランタに建つARABIAの工場。壁面に縦書きの「ARABIA」が刻まれる(画像:Matthias Süßen/CC BY-SA 3.0)

バレンシアとプロコッペのデミタス

ウラ・プロコッペ(Ulla Procopé)が1960年にデザインしたバレンシア(Valencia)は、「ARABIA最後の名作」とも称される、コバルトブルーの手描きの器です。縞と点で構成された抽象的な唐草風のパターンは、すべて手描きのため一客ずつ表情が異なります。コーヒーカップ&ソーサーのほか、容量およそ0.1リットルの小ぶりなデミタス(モカ)カップ&ソーサーが、当時のエスプレッソやモカの文化のためにデザインされました。当店在庫のデミタスカップ&ソーサーも、その手描きの濃淡が見どころです。バレンシアの詳細はアラビアのバレンシア完全ガイドでご覧いただけます。

アトリエの机で器を検分するウラ・プロコッペの白黒写真
ARABIAの器を数多く手がけたウラ・プロコッペ(Ulla Procopé)。アトリエで器を検分する姿(画像:Pietinen/パブリックドメイン)
ARABIAのバレンシアのコバルトブルー手描きのデミタスカップとソーサー
ARABIAのバレンシア(Valencia)のデミタスカップ&ソーサー。コバルトブルーの手描きで、一客ずつ表情が異なる

プロコッペは、同じ1960年に褐色のストーンウェアルスカ(Ruska)も生み出しました。深い焦げ茶のマット釉が斑に溶け、一点ずつ釉調の異なる手仕事感が魅力で、「Ruska」はフィンランド語で秋の紅葉を意味します。1960年から1999年まで、およそ四十年にわたって作られた息の長い名作です。ルスカはアラビアのルスカ完全ガイドで、プロコッペの生涯はウラ・プロコッペ完全ガイドで詳しくご紹介しています。

クロッカスとエミリア——絵付けの妙

エステリ・トムラ(Esteri Tomula)が手がけたクロッカス(Krokus)は、白地にクロッカスの花を描いた装飾です。シルクスクリーンで黒い輪郭線を刷り、その上に手で彩色する技法で、緑と青で彩ったカラー版と、黒一色のモノクロ版があります。フォルムは、ペーテル・ヴィンクヴィスト(Peter Winqvist)が1971年のファエンツァ国際陶芸ビエンナーレで金賞を受けたEHモデルを用います。生産はわずか二年ほどと短く、コレクターの注目を集めるシリーズです。当店在庫には、コーヒーカップ&ソーサーとケーキ皿が揃ったトリオが届いています。クロッカスの全種類はアラビアのクロッカス完全ガイドに、トムラの仕事はエステリ・トムラ完全ガイドにまとめています。

ARABIAのクロッカスのコーヒーカップ ソーサー ケーキ皿の三点トリオ
ARABIAのクロッカス(Krokus)のコーヒーカップ&ソーサーとケーキ皿。クロッカスの花を描いたトリオ

ライヤ・ウオシッキネン(Raija Uosikkinen)が1959年に手がけたエミリア(Emilia)は、白地に黒一色のプリントで人物や情景を描いた、素朴な線画装飾が印象的です。皿やボウル、カップ、花瓶など多くのアイテムから成り、黒地に金彩のバリエーションも存在します。当店在庫の縦長のコーヒーカップは、経年による釉薬の貫入(クレイジング)が見られ、時代を経た北欧ヴィンテージらしい表情をたたえています。ウオシッキネンの代表作はライヤ・ウオシッキネン完全ガイドでご覧いただけます。

ARABIAのエミリアの白地に黒い線画装飾の縦長コーヒーカップ
ARABIAのエミリア(Emilia)の縦長のコーヒーカップ。ライヤ・ウオシッキネンによる黒い線画装飾

パラティーシとキルタ/ティーマ——装飾と無装飾

ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen)が1969年頃にデザインしたパラティーシ(Paratiisi)は、果実やすみれ、ブラックカラントを大胆に描いた豊穣な装飾で知られます。「楽園」を意味するこのシリーズは、黄と青を基調とした色版と黒白のモノクロ版があり、シンプルな器形に絵画のような密度の高い装飾が映えます。「装飾の王」と称されたカイピアイネンらしい一作です。詳しくはパラティッシ完全ガイドビルガー・カイピアイネン完全ガイドをご覧ください。

絢爛な装飾の対極にあるのが、カイ・フランク(Kaj Franck)のキルタ(Kilta)と、その後継ティーマ(Teema)です。フランクは、多ピースの仰々しい食器セットを否定し、積み重ねのできるモジュール式の日用の器を構想しました。1948年に設計され1953年に発売されたキルタは、円・四角・長方形という基本形に、白・黒・緑・青・黄の無地の色釉だけをまとった、機能主義の到達点でした。色そのものが装飾だったのです。キルタは1981年、より基本形に近づいたティーマとして再登場し、今日まで作られ続けています。カイ・フランクの思想はカイ・フランク完全ガイドに、ティーマの歴史はイッタラのティーマ完全ガイドに詳しくまとめています。

玄関の前に腰掛けるカイ・フランクの白黒のポートレート写真
「フィンランド・デザインの良心」と称されたカイ・フランク(Kaj Franck)(画像:パブリックドメイン)

イッタラとフィンランドのガラス——磁器からガラスへ

「イッタラのカップ&ソーサー」と聞いて、まず思い浮かぶティーマやキルタは、実はガラスではなく磁器であり、製造を担ったのはARABIA窯でした。カイ・フランクは1950年前後からヌータヤルヴィ(Nuutajärvi)ガラス工房のアートディレクターも務め、磁器とガラスの両分野で北欧デザインを刷新した人物です。イッタラとヌータヤルヴィは1988年に統合され、フランクの器は今、イッタラのブランドのもとで受け継がれています。

カイ・フランクが設計した黄色いティーマのマグと取り皿のセット
カイ・フランクが設計したティーマ(Teema)。キルタの思想を受け継ぐ無装飾の磁器で、製造はARABIA窯(画像:Nasjonalmuseet/CC BY-SA 4.0)

純粋なガラスのカップ&ソーサーとして名高いのが、オイヴァ・トイッカ(Oiva Toikka)が1964年にデザインしたカステヘルミ(Kastehelmi)です。フィンランド語で「露のしずく」を意味し、表面に同心円状に並ぶ小さなガラスの粒が、朝露のようにきらめきます。この粒模様は、プレスガラスの型の継ぎ目を目立たなくする技術的な役割も兼ねていました。ガラス製のカップ&ソーサーが作られた数少ないシリーズのひとつで、光を透かして眺める愉しみは格別です。トイッカの仕事はオイバ・トイッカ完全ガイド、カステヘルミはカステヘルミとはでご覧いただけます。

イッタラのガラスを20世紀の北欧を代表する造形へと高めたのが、タピオ・ヴィルカラ(Tapio Wirkkala)やティモ・サルパネヴァ(Timo Sarpaneva)といった巨匠たちでした。氷や自然を思わせる彫刻的なガラスは、無地の器を旨とするカイ・フランクの仕事とともに、フィンランド・ガラスの豊かな二つの極をなしています。ヴィルカラの仕事はタピオ・ヴィルカラでご紹介しています。

イッタラのガラス工房で青いガラス器を検分するタピオ・ヴィルカラ
イッタラのガラスを手に取るタピオ・ヴィルカラ(Tapio Wirkkala)。陳列棚を背に完成作を検分する一場面(1950〜60年代)(画像:Herman Alfred Turja/フィンランド遺産庁/CC BY 4.0)

なお、フランクが1958年に手がけたカルティオ(Kartio)は、円錐を基調とした極めてシンプルなガラスで、こちらは受け皿のないタンブラー(コップ)です。キルタやティーマの磁器に合わせる飲みものの器として企画されました。カップ&ソーサーではありませんが、無地の磁器とガラスを組み合わせる、フランクらしい食卓の思想を物語る一品です。カルティオはカイ・フランクのカルティオ完全ガイドでご紹介しています。

ヴィンテージのカップ&ソーサーを選ぶ・愛でる

気に入ったシリーズが見つかったら、次は一客ずつのコンディションと年代を読み解く番です。カップ&ソーサーは、皿よりも構造が複雑なぶん、点検すべき箇所も少し増えます。ここでは、裏印・状態・飾り方の三つの観点から、長く付き合うためのポイントを整理します。

バックスタンプと年代の読み方

カップ&ソーサーは、裏印(バックスタンプ)から年代の手がかりが読めます。ソーサーは裏面が平らで印が大きく残るため判読しやすく、カップは高台の内側に小さく入ることが多い箇所です。

白い陶器の裏面にコバルトブルーで手描きされたARABIA FINLANDの裏印と絵付け職人のサイン
ARABIAの手描きの裏印。「ARABIA」「FINLAND」の文字の下に、絵付け職人の手描きサインが添えられる(画像:Jorunn/CC BY-SA 3.0)

ロールストランドは、三つの王冠(スリークラウン)の社名印を1884年以降に使い、1937年からはテーブルウェアに三桁の数字印を導入しました。最初の二桁が製造年、三桁目がその年の四半期を示すため、具体的な年が読める数少ない例です。グスタフスベリは、社名の下に錨(いかり)を配した印が基本で、印の様式から年代の目安をつけます。ARABIAは、図柄の変遷で時期帯を絞れます。窯を象った印は1932〜1949年、輸出向けの印は1949〜1964年、王冠を配した印は1964年以降、といった具合です。手描き作品では、スラッシュで区切られた頭文字の前半がデザイナー、後半が絵付け職人を示すことがあります。なお、印のなかの数字は型番や生産コードであることが多く、それ自体は製造年月を示さない点に注意してください。裏印の総合的な読み方は、北欧食器のバックスタンプ総合ガイドにまとめています。

コンディションの点検

ヴィンテージのカップ&ソーサーで、まず確かめたいのが持ち手の付け根です。持ち手と本体の接合部は応力が集中するため、カップ最大の弱点になります。素地を貫く細い線(ヘアライン)が入っていないか、光に透かして暗い線が見えないか、指先を当てて段差や引っかかりがないかを確かめます。経年でこの線が茶褐色に着色して目立ってくることもあります。

次に、カップの内側とソーサーの見込みに走る貫入(クレイジング)です。これは釉薬の層に生じる細かな網目状のひびで、ヴィンテージらしい味わいでもありますが、線が暗く着色していれば釉薬を越えて浸透したサインと読めます。さらに、縁や持ち手、高台の金彩やリムの擦れ、高台の欠け(チップ)、ソーサーの見込みに残る金属のこすれ跡(シルバーマーク)も点検します。平らな面で軽く弾いたとき、健全な磁器は澄んだ高い音、ひびがあると鈍い音になります。これは見落としを防ぐ補助になりますが、最終的な判断は目視と指先で行ってください。当店ではこうした状態を一点ずつ確認し、コンディションを星評価でお伝えしています。

飾り方・愛で方

カップ&ソーサーは、飾って観賞することで、その造形美がいっそう引き立ちます。もっとも基本的なのは、カップ&ソーサースタンドです。ソーサー(やケーキ皿)を後ろに立て、手前にカップを置くと、一客を絵画のように正面から見せられ、トリオなら絵柄の連続性も伝わります。棚に飾るときは、台座や厚い本で高低差をつけ、奥にソーサー、手前にカップを配すると立体的に見えます。複数のシリーズを並べるなら、色調や年代でグルーピングすると、作家・窯・時代の文脈が一目で読み取れる陳列になります。

夏のストックホルム群島、松の生えた岩礁の小島と霞む島影
夏のストックホルム群島。松の岩礁と霞む島影に満ちる、北欧の短い夏の光(画像:Konstantin/CC BY-SA 3.0)

壁面に皿掛けでソーサーを掛けたり、ガラスのドーム(クローシュ)を被せて一客を特別な観賞対象として際立たせるのも、北欧らしい愉しみ方です。北欧のトリオは、シリーズにより異なりますが、おおむねカップ径8センチ前後、ソーサー径14センチ前後、ケーキ皿径17センチ前後で、三点が少しずつ大きさを違えて重なる様子も見どころになります。北欧の市場を経て日本へ届いた一客を、暮らしの風景のなかに静かに置いてみてください。

よくある質問

Q. コーヒーカップとティーカップは、どう違いますか?

A. 一般に、コーヒーカップは縦に深く円筒に近い形で、容量はおよそ120〜180ミリリットルです。手で包んで温もりを保ちやすいよう設計されています。ティーカップは口が広く浅く、背が低い、上に向かって開いた形で、容量は200〜240ミリリットル前後とやや大きめです。これは、熱い紅茶が早く飲み頃の温度になるための形です。同じシリーズでは、ティー用のソーサーのほうがコーヒー用より大きい傾向があります。ただし、ヴィンテージは窯やシリーズで形が異なるため、最終的には実物の寸法でご確認ください。

Q. デミタス(モカ)カップとは何ですか?

A. デミタスは、フランス語で「半分のカップ」を意味し、標準的なコーヒーカップのおよそ半量、容量60〜90ミリリットルの小型カップです。エスプレッソや濃いモカのためにデザインされ、専用の小さなソーサーが添えられます。北欧のオークションでは同型のものが「モカカップ(mockakopp)」と呼ばれ、コーヒーカップとは区別されてきました。小ぶりで愛らしく、コレクションでも人気があります。

Q. トリオとは何ですか?

A. トリオとは、カップ+ソーサー+ケーキ皿(小皿)の三点を同じ意匠で揃えたセットを指します。英国の喫茶文化に源流があり、北欧では「コーヒー・サービス(kaffeservis)」という一式の概念のなかで親しまれてきました。三点が同じパターンで完結することの様式的な美しさと、大・中・小と入れ子になる寸法の調和が魅力です。

Q. ヴィンテージのカップ&ソーサーは、どこを見て選べばよいですか?

A. まず持ち手の付け根に、素地を貫く細いヒビ(ヘアライン)がないかを、光に透かし、指先で触れて確かめます。次に、カップ内側やソーサーの貫入(クレイジング)の着色、縁や金彩の擦れ、高台の欠けを点検します。あわせて裏印を見て、ブランドや年代の手がかりを読みます。カップとソーサーが正しい組み合わせか、底がソーサーのくぼみにおさまるかもご確認ください。当店では一点ずつ状態を確認し、星評価でお伝えしています。

まとめ

この記事のまとめ

  • 北欧のカップ&ソーサーには、コーヒーカップ・ティーカップ・デミタス(モカ)など用途に応じた種類とサイズがあり、カップ・ソーサー・ケーキ皿を揃える「トリオ」という飾り方が親しまれてきた
  • 持ち手・カップのボウル・ソーサーのくぼみという「形」を読むと、コーヒー用と紅茶用の作り分けや、デザイナーの手つきが見えてくる
  • グスタフスベリはベルサやアダム&エヴァ、ロールストランドはモナミ・シルビア・プリムール、ARABIAはバレンシア・クロッカス・パラティーシと、各窯が個性的なカップ&ソーサーを残した
  • イッタラのティーマやキルタは実はARABIA製の磁器で、純粋なガラスのカップ&ソーサーはトイッカのカステヘルミに代表される
  • 裏印から年代を読み、持ち手のヒビや貫入・金彩の擦れを点検し、スタンドや高低差で飾ることで、一客を長く観賞して愛でることができる

小さなカップ&ソーサーには、北欧の窯の歴史、デザイナーの思想、そしてコーヒーを囲む暮らしの時間が、ひとつの完結したかたちとして凝縮されています。お気に入りの一客を見つけ、棚に並べ、光に透かして眺める——その静かなひとときが、日本にいながら北欧の午後とつながる入口になれば幸いです。

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