ベルサ(Bersa)完全ガイド — グスタフスベリの名作、緑葉の食器の全て
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ベルサ(Bersa)完全ガイド — グスタフスベリの名作、緑葉の食器の魅力
ベルサ(Bersa)は、スウェーデンの陶磁器メーカーグスタフスベリ(Gustavsberg)を代表する食器シリーズです。スティグ・リンドベリ(Stig Lindberg)がデザインした鮮やかな緑の葉柄は、北欧ミッドセンチュリーデザインの象徴として、世界中のデザイン愛好家に愛されています。

(グスタフスベリ ベルサ モーニングカップ&ソーサー — スティグ・リンドベリのデザイン)
ベルサの誕生 — 1960年代のスウェーデン
ベルサは1961年にスティグ・リンドベリによってデザインされました。リンドベリはグスタフスベリのアートディレクターとして、1940年代から1980年代にかけて北欧デザインをリードした天才デザイナーです。
「ベルサ」はスウェーデン語で「葉のある東屋」を意味します。白い器に大胆にあしらわれた緑の葉のモチーフは、1960年代のスウェーデンの自然への憧憬と、モダンデザインの精神が見事に融合した傑作です。

(ベルサ 大サイズスクエアプレート — 1960年代のミッドセンチュリーデザイン)
ベルサが人気の理由
1. 北欧ミッドセンチュリーの象徴
1960年代のスカンジナビアンデザインを体現するベルサは、ミッドセンチュリーモダンの象徴的存在です。グリーンの葉柄はスウェーデンの自然への憧れを表現したデザインとして高く評価されてきました。
2. 日本でも愛されるデザイン
ベルサの緑と白のコントラストは、北欧だけでなく日本のコレクターにも広く愛されてきました。シンプルながら存在感のある葉柄が、世代を超えて人々を惹きつけています。
3. コレクションする楽しさ
ベルサはカップ&ソーサー、プレート、ピッチャー、シュガーポット、バターケース、エプロンまで、非常に幅広いアイテム展開がされていました。少しずつ集めていく楽しさがあります。
ベルサのアイテム一覧

(ベルサ ピッチャー — 水差しとしてデザインされたアイテム)
- コーヒーカップ&ソーサー — 最も人気が高く、入門におすすめ
- モーニングカップ&ソーサー — 大きめカップ。希少アイテム
- プレート — 17cm、21cm、24cmの各サイズ
- スクエアプレート — 正方形のユニークなデザイン
- 大サイズスクエアプレート — シリーズ中最大のプレート
- ピッチャー — コレクターに人気のアイテム
- シュガーポット — フタ付きの小ぶりなポット
- バターケース — ヴィンテージならではのアイテム
- エプロン — グスタフスベリの工場の職人が合間に製造している現行品。現地でしか入手できず、ヴィンテージは存在しない

(ベルサ ソルトボックス — コレクター垂涎の希少アイテム)
ベルサの価格相場とコンディション
ベルサは1960年代〜1970年代に製造されたため、すべてがヴィンテージです。そのため、コンディション(状態)が価格に大きく影響します。
ミントコンディション
使用感がほとんどなく、絵柄のスレや欠けがない状態。最も価値が高い。
美品
わずかな使用感はあるが、絵柄の状態が良く、目立つダメージがないもの。
良好な使用感あり
当時の日常使いによる軽微なスレがあるが、全体の状態は良好。
ダメージあり
ヒビ、欠け、絵柄の大きなスレがある状態。ディスプレイ用に。
グスタフスベリが高い理由
グスタフスベリ、特にベルサの価格が近年上昇している理由は以下の通りです。
- 生産終了 — オリジナルは1974年に製造終了。2005年に復刻版が発売されたが、ヴィンテージとは品質が異なるため市場に出回る数が減少
- 世界的な需要増 — 北欧ヴィンテージブームにより、日本だけでなく世界中からの需要が増加
- スウェーデン国内でも希少化 — 現地のフリーマーケットやセカンドハンドでも見つかりにくくなっている
ベルサと一緒に揃えたいグスタフスベリの食器
- プルーヌス(Prunus) — プラムの実の上品な青柄。ベルサと同時期に製造されたシリーズ
- Gスタジオ作品 — リンドベリのアート作品。飾り皿として
- リサ・ラーソン — 同じグスタフスベリのアーティスト。動物フィギュアで知られる
まとめ
ベルサは、北欧デザインの歴史において特別な位置を占める食器です。60年以上前のデザインとは思えないモダンさと、手に取ったときの温もりは、デジタル時代の今だからこそより一層輝きを増しています。
当店北欧食器タックショミュッケでは、スウェーデンから直接買い付けた本物のヴィンテージ・ベルサを取り扱っています。
→ ベルサの全商品を見る | グスタフスベリの全商品を見る | 北欧食器の基礎知識
ヴィンテージと復刻版の違い
(新旧ベルサの比較 — 上がヴィンテージ、下が復刻版。色味や葉脈の描写に違いがあり、ヴィンテージのほうがわずかに小ぶり)
復刻版とヴィンテージでは色味が明らかに異なります。ヴィンテージは葉っぱの柄が青々としており、葉脈の黒い線もはっきりと出ています。
ここ数年で復刻版の色彩は改善の傾向にありますが、古い時代の作品のほうが色つややフォルムの面で優れています。1974年に製造が終了してから復活するまでの四半世紀で、グスタフスベリの内部ではベルサを製造するノウハウが失われてしまったようです。
復刻版・ヴィンテージの見極め方
両者の違いを見極めるには、カップの底面にあるバックスタンプを確認するのが最も確実です。
復刻版には錨マークが描かれています。一方、ヴィンテージにはベルサシリーズ専用に描き起こされた葉っぱのマークがあります。
よく見ると社名のアルファベットのつづりも"Gustafsberg"と"Gustavsberg"という違いがあります("f"と"v"の違いです)。
この葉っぱロゴがあるかないかで見る人の心も踊ります。ヴィンテージのほうが細部まで作り込まれており、手間暇をかけて製作されていた時代であったことが伝わってきます。
(復刻版のバックスタンプ — 錨マークが特徴)
(ヴィンテージのバックスタンプ — 葉っぱロゴが特徴)
(ヴィンテージのベルサの製作風景 — 葉っぱロゴのバックスタンプが見える)
製造中止の背景 — オイルショックと北欧食器
ベルサの製造が中断した1974年は、第四次中東戦争をきっかけとするオイルショック(石油危機)の影響を受けた年です。オイルショック自体は前年の1973年に発生しましたが、この大きな出来事は北欧食器界に深刻な影響を与えました。
製造年を記したカタログを見ると、グスタフスベリにとどまらず、アラビアやロールストランドなどの他の有名北欧食器メーカーでも、人気のあった食器シリーズの製作が軒並み1974年に中止となっています。たとえばアラビアの名作パラティッシも1974年で生産を終了しています。
人気があるのに製造を中止せざるを得ないほど深刻な物価高騰や燃料不足に陥っていたことが伺えます。
オイルショックの年を境として、北欧食器には全盛期のような華々しさやディテールへのこだわりに陰りが見えるようになります。それまでの手仕事による国内産の食器から、シンプルな装飾やデコレーションのない無地の食器が増えていきました。
現在「北欧デザイン」というと、シンプルな配色でフォルムで勝負するイメージがありますが、1974年以前の北欧食器にはそうした特徴はほとんど見られません。あくまで「今ある環境で勝負した結果」として北欧デザインが形作られてきたのです。
(グスタフスベリの倉庫に積まれたベルサ)
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