ロールストランド シルビア 24cmディナープレート|青いパンジーが咲く北欧ヴィンテージ食器

ロールストランド創業300年|2026年、スウェーデン最古の窯が迎えた記念の年——花柄でたどる300年

北欧食器タックショミュッケ編集部
ロールストランド モナミの青い小花のカップとプレート|マリアンヌ・ウェストマンの代表柄
ロールストランドのモナミ(Mon Amie)。青い小花が連なる1952年の名作で、300周年の記念の缶にもこの柄が選ばれた。写真: Wikimedia Commons/Gotogo/CC BY-SA 4.0

2026年、スウェーデンの窯ロールストランド(Rörstrand)が創業300年を迎えました。1726年にストックホルムで生まれた、スウェーデンでもっとも古い窯です。ヨーロッパでも長い歴史をもつ陶磁器ブランドのひとつに数えられます。

この節目に合わせて、本拠地であるリドショーピン(Lidköping)のロールストランド美術館や、ヴェーネルン湖に浮かぶレッコー城で記念展が開かれました。なかでもロールストランド美術館が300年を振り返る主題に選んだのが、器を彩りつづけてきた「花」でした。

この記事では、2026年という記念の年にスウェーデンで何が行われたのか、そしてなぜ花柄が300年の窯を象徴するのかを、当店の器とともにたどります。窯の通史は別の記事にゆずり、ここでは「記念の年」と「花」に焦点をあてて見ていきます。300年という節目は、ふだん何気なく眺めている一枚の器を、少しちがった目で見させてくれます。

この記事でわかること

  • ロールストランドが2026年に創業300年を迎えたこと(1726年・ストックホルム創業)
  • 記念の年にスウェーデンで開かれた展覧会やできごと
  • 記念展が「花柄」を主題に選んだ理由と、モナミ・シルビア・アネモンとのつながり
  • 当店で出会える在庫のロールストランド
目次
  1. 2026年、ロールストランドは創業300年を迎えた
  2. 記念の年にスウェーデンで行われたこと
  3. 記念展の主題は花柄——300年をつなぐ花の器
  4. 300年の歩みを、ひとめだけ
  5. 当店で出会えるロールストランド
  6. まとめ

2026年、ロールストランドは創業300年を迎えた

ロールストランドの歴史は、1726年のストックホルムから始まります。王立の特許のもとに設けられたこの窯は、スウェーデンでもっとも古い窯として知られ、やがて国を代表するものづくりの担い手になりました。2026年は、その最初の一歩から数えて300年目の年にあたります。

設立の背景には、当時のスウェーデンが抱えていた事情がありました。マイセンに始まるヨーロッパの磁器や、各地のファイアンスは、宮廷をわかせた高価な輸入品でした。その輸入に頼らず、国内でうつわをつくろうという機運のなかで、ロールストランドは産声をあげます。創業の地は、ストックホルム市街の北側にあったロールストランド城(館)の敷地で、窯はその名を受け継ぎました。

18世紀ストックホルムの彩色銅版画|ロールストランドが創業した水の都
18世紀のストックホルムを描いた彩色銅版画。王宮や教会の尖塔が水辺に連なる。ロールストランドはこの都で1726年に生まれた。写真: Wikimedia Commons/Kungliga Biblioteket/パブリックドメイン

創業したばかりの窯が最初に手がけたのは、磁器ではなくファイアンス(錫釉の陶器)でした。初期のロールストランドには、バロックの気分をまとった華やかな器が残されています。錫の釉薬で白く覆った生地に、花や果実、動物をかたどった立体的な装飾をのせた器は、当時のヨーロッパの宮廷文化と地続きのものでした。

1760年代ロールストランドの黄釉ファイアンスの蓋物|創業初期のバロック様式の器
1760年代のロールストランドによる黄釉のファイアンスの蓋物。立体的な薔薇やザリガニの装飾がのる。所蔵: Nordiska museet。写真: Wikimedia Commons/Daderot/CC0

6月13日という記念日

記念の催しの多くは、6月13日に合わせて行われました。6月13日は、ロールストランドが「誕生日」としている日です。1726年6月13日は、ドイツから来たヨハン・ヴォルフ(Johann Wolff)が集めた出資者たちの間で設立の契約が結ばれ、最初の試し焼きが始まった日です。それからちょうど300年となる2026年6月13日、リドショーピンでは記念展の開幕やさまざまな催しが行われました。その一日を起点に、2026年の夏はスウェーデン各地で記念の行事が重なりました。

記念の年にスウェーデンで行われたこと

300周年のいちばんの舞台になったのは、現在の本拠地リドショーピンにあるロールストランド美術館でした。この美術館自体も2026年に開館50年を迎え、窯の300年と美術館の50年が同じ年に重なりました。

リドショーピンのロールストランド・センターの建物|煉瓦の旧工場とガラスの入口
リドショーピンのロールストランド美術館が入る建物。煉瓦づくりの旧工場にガラスの入口が添えられている。写真: Wikimedia Commons/AleWi/CC BY-SA 4.0

美術館の記念展は「Rörstrand 300 år – ett blomstrande jubileum(花ひらく記念の年)」と名づけられ、6月13日に幕を開けて12月27日まで続きました。1700年代の青い花から近代デザインの名作、そして現代の解釈までを、花という一本の糸でつなぐ構成でした。

並んだのは、藍色の絵付けがほどこされた古い器から、マリアンヌ・ウェストマンやシルビア・レウショヴィウス、ジャッキー・リンド(Jackie Lynd)といった作り手の花、さらに現代の作家による新しい解釈までです。時代も作り手も異なる器が、「花」という一点で静かにつながる展示でした。美術館のある煉瓦づくりの建物は、かつての工場の面影を残す場所で、器と土地の記憶が重なります。

ヴェーネルン湖畔に広がるリドショーピンの街の空撮
ヴェーネルン湖の南岸に開けたリドショーピンの街。ロールストランドが20世紀に根をおろした土地。写真: Wikimedia Commons/Doc Searls/CC BY-SA 2.0

同じ6月13日には、スウェーデン国立美術館(Nationalmuseum)が、湖に臨むレッコー城(Läckö Slott)で「Rörstrand 300 år」展を開きました。国立美術館の所蔵品から選ばれた名品が並び、会期は9月13日までで、すでに終了しています。展示にはマリアンヌ・ウェストマン(Marianne Westman)、グンナー・ニールンド(Gunnar Nylund)、シグネ・ペション=メリン(Signe Persson-Melin)らの仕事が含まれていました。バロックの城を舞台に、国の美術館が所蔵する三百年分の器が里帰りする——それ自体が記念の年らしい趣向でした。

9月3日には国王夫妻がレッコー城とリドショーピンを訪れ、二つの記念展を見たあと、旧工場の前に「ロールストランドの梨」と呼ばれる品種の梨の木を植えました。

ヴェーネルン湖に臨む白亜のレッコー城|記念展の会場のひとつ
ヴェーネルン湖に臨む白亜のレッコー城。赤い屋根の塔が湖面に映える、西スウェーデンを代表する城。写真: Wikimedia Commons/Bjoertvedt/CC BY-SA 4.0

街をあげての記念日

6月13日の当日は、リドショーピンの街そのものが会場になりました。街なかで展示やステージ、陶磁器のマーケットが開かれ、骨董の専門家リ・パンプ(Li Pamp)の開会のあいさつで一日が始まりました。工場の街として歩んできたリドショーピンにとって、300年という節目は、街そのものの記念日でもありました。

記念の年の新作

記念の年には、新しい器も登場しました。コーヒー焙煎所ゼーガス(Zoégas)と組んだ記念の缶にはモナミ(Mon Amie)の柄があしらわれ、数日で完売しました。コーヒーの缶に食器の柄を重ねるという取り合わせに、花柄が暮らしの道具として親しまれてきたことがうかがえます。

定番シリーズにも、記念色がまとわされました。「ジュビリー」と名づけられたあたたかなキャラメル色で、スウェディッシュ・グレース(Swedish Grace)とフォーゲル(Fågel)が装いを新たにしています。スウェディッシュ・グレースは、麦の穂を思わせる浮き彫りで知られる、ルイース・アーデルボリ(Louise Adelborg)が1930年に手がけたシリーズで、2001年にこの名で再導入されました。

記念展の主題は花柄——300年をつなぐ花の器

ロールストランド美術館が300周年記念展の主題に花を選んだのには、理由があります。ロールストランドの器には、1700年代の青い花の装飾から20世紀の大胆な花模様まで、どの時代にも花が咲いてきました。花は、300年の歩みを一本につなぐことのできる、数少ないモチーフでした。ここでは、その花の系譜を、当店にゆかりの深い三つのシリーズでたどります。

花の歴史をさかのぼると、19世紀末から20世紀初頭には、アルフ・ヴァランダー(Alf Wallander)がアール・ヌーヴォーの草花をロールストランドにもたらしました。釉薬にやわらかく溶け込む、輪郭のあいまいな花です。こうした世紀転換期の花が、やがて20世紀半ばのモナミやシルビアへと、形を変えながら受け継がれていきました。

モナミ——青い小花と、マリアンヌ・ウェストマン

マリアンヌ・ウェストマンの肖像写真|モナミを手がけたデザイナー
マリアンヌ・ウェストマン(Marianne Westman)。ロールストランドの戦後を代表するデザイナー。写真: Wikimedia Commons/Allhems Svenskt konstnärslexikon/パブリックドメイン

記念の缶にも選ばれたモナミ(Mon Amie)は、マリアンヌ・ウェストマンが1952年に生み出した青い小花の柄です。フランス語で「わたしの友だち」を意味する名のとおり、親しみやすくも凛とした表情をもち、ロールストランドを象徴する柄として長く愛されてきました。花は型紙を使ったステンシルで表されています。発表から70年以上を経てもなお作られ、窯の顔といえる柄になりました。ウェストマンの歩みはマリアンヌ・ウェストマン完全ガイドでくわしく紹介しています。

シルビア——パンジーの花と、創業250周年の記憶

草原に咲く野生のサンシキスミレ(パンジー)
北欧の草原に咲く野生のサンシキスミレ(Viola tricolor)。パンジーの原種のひとつ。写真: Wikimedia Commons/Jörg Hempel/CC BY-SA 2.0 DE

花の系譜のなかでも、300周年と特別に響き合うのがシルビア(Sylvia)です。シルビアは、ロールストランドが創業250周年を迎えた1976年に発表されました。50年前の記念の年に生まれた花のシリーズが、300周年の記念展でふたたび光を当てられたことになります。やわらかなパンジーの花を描いたのは、ロールストランドで長く花を描きつづけたシルビア・レウショヴィウス(Sylvia Leuchovius)でした。レウショヴィウスは、この窯で20年以上にわたって花と向き合った作り手で、その歩みの集大成のひとつがシルビアだったといえます。

ロールストランド シルビアのコーヒーカップとソーサー|青いパンジーの花
ロールストランド シルビアのコーヒーカップ&ソーサー。白磁に青いパンジーと若葉が描かれている。

シルビアの裏には「250 år Jubileumsservis(250周年記念食器)」の刻印が入り、記念の年の器であることを今に伝えています。製造されたのは1976年から1982年までで、250周年という出自とあいまって、特別な一群として知られています。シルビアが生まれた経緯は、ロールストランド シルビア完全ガイドにまとめています。あわせて読むと、1976年と2026年という二つの記念の年のつながりが見えてきます。

アネモン——アネモネの花をうつした、スクリーンの花模様

北欧の春の森に咲くヤブイチゲ(森のアネモネ)の白い花
北欧の春の森に咲くヤブイチゲ(Anemone nemorosa)。森の地面を白く覆うように咲くアネモネの一種。写真: Wikimedia Commons/Pierre-Jacques DESPA/CC BY-SA 4.0

アネモン(Anemon)は、その名のとおりアネモネの花をモチーフにしたシリーズです。森の地面を白く覆うように咲くアネモネは、北欧に春を告げる花として親しまれています。花を型どった模様はスクリーン印刷で表され、茶色の花が連なるものと、青い花のものとが知られています。花のデザインを誰が手がけたのかについては、はっきりした記録が残っていません。この帰属をめぐる話はロールストランド「アネモン」は誰のデザインかでたどっています。

ロールストランド アネモン 24cmディナープレート|茶色の花が連なる北欧ヴィンテージ食器
ロールストランド アネモンの24cmディナープレート。茶色の花と白抜きの花が交互に並び、縁を濃い茶の帯が締める。

花が主役という点では同じでも、同じ名前の器が別の窯にもあります。ARABIAのアネモネ(Anemone)はコバルトブルーの花が咲くまったく別のシリーズで、両者はよく混同されます。ちがいはアラビア アネモネ完全ガイドで整理しています。

300年の歩みを、ひとめだけ

窯の通史はロールストランド(Rörstrand)入門にゆずり、ここでは大きな流れだけを押さえます。ストックホルムで生まれた窯は、1926年にヨーテボリへ、1930年代にリドショーピンへと拠点を移しました。スウェーデン国内での生産は2005年に終わりましたが、ブランドはフィスカース(Fiskars)グループのもとで続いています。

19世紀ストックホルムのロールストランド工場|水辺に建つ煉瓦の工場と煙突
19世紀のストックホルムにあったロールストランド工場。水辺に建つ煉瓦の建物から煙突が立ちのぼる。写真: Wikimedia Commons/Nordiske Billeder (1870)/パブリックドメイン

長い歴史をもつ窯だけに、裏に押された印は時代によって姿を変えてきました。王冠を三つ重ねた「三つの王冠」のマークは、ロールストランドを見分けるときの大きな手がかりになります。印の読み方はロールストランドのバックスタンプ完全ガイドでくわしく解説しています。

ロールストランドの三つの王冠のバックスタンプ|Rörstrand SWEDENの印
ロールストランドの裏印。三つの王冠と「Rörstrand SWEDEN」、シリーズ名「Orion」が読み取れる。写真: Wikimedia Commons/Vogler/CC BY-SA 4.0

当店で出会えるロールストランド

記念の年に改めて光が当たった花の名作は、当店でも手に取ることができます。花の器は、料理を引き立てるだけでなく、壁や棚に立てかけて絵のように眺めても美しいものです。ここでは、在庫のあるシリーズをいくつかご紹介します。

シルビアとアネモン——花の二大シリーズ

シルビアは、パンジーの花が咲くプレートやカップのほか、コーヒーポットもそろっています。花がぐるりと立ちあがる姿は、棚に飾っても静かな存在感を放ちます。

ロールストランド シルビアのコーヒーポット|青いパンジーの花
ロールストランド シルビアのコーヒーポット。ふっくらとした白磁の胴に青いパンジーが一輪咲く。

在庫のシルビアは、24cmディナープレートやコーヒーカップ&ソーサー、コーヒーポットなどがあります。アネモンは、茶色の花が連なる24cmディナープレートや、サイズの大きなティーカップ&ソーサーが届いています。

ロールストランド アネモンのティーカップとソーサー|茶色の花模様
ロールストランド アネモンのティーカップ&ソーサー。茶色の花が胴をめぐり、ソーサーは濃い茶で縁取られている。

プリムール——花柄とは対照的な、白い余白

花模様が続いたあとに、対照的な一群も見ておきたいところです。プリムール(Primeur)は、シグネ・ペション=メリンが手がけた白い磁器のシリーズで、細い線の縁取りだけをまとった静かな姿が特徴です。花の饒舌さとは逆の、余白の美しさがあります。花柄の器と白い器を一枚ずつ並べてみると、300年という時間が育てたロールストランドの幅の広さが見えてきます。

ロールストランド プリムール 21cmプレート|白磁に細い縁の線
ロールストランド プリムールの21cmプレート。白磁に細い線の縁取りだけが引かれた、ミニマルな一枚。

プリムールは21cmプレートやデミタスカップ&ソーサーなどがそろっています。デザイナーのシグネ・ペション=メリンについてはプリムール完全ガイドでも紹介しています。

ロールストランド プリムールのデミタスカップとソーサー|白磁に細い縁の線
ロールストランド プリムールのデミタスカップ&ソーサー。小ぶりの白磁に、縁の細い線だけが引かれている。

まとめ

要点の整理

  • ロールストランドは2026年に創業300年を迎えました(1726年・ストックホルム創業、スウェーデン最古の窯)。
  • リドショーピンのロールストランド美術館(開館50年)は、300周年記念展で花を主題に300年の装飾史を振り返りました。レッコー城では国立美術館(Nationalmuseum)の所蔵品による300周年展が開かれました。
  • 花はモナミ・シルビア・アネモンへと受け継がれ、300年をつなぐモチーフになっています。
  • 当店でも、花の名作シルビア・アネモンや、白い余白のプリムールを手に取ることができます。

300年という時間は、ひとつの窯がヨーロッパの磁器の歴史とほぼ同じ長さを歩んできたということでもあります。その節目に選ばれたのが豪華な晩餐の器ではなく、野に咲く花であったところに、スウェーデンの器らしい静けさを感じます。記念の年をきっかけに、花の器を一枚、暮らしの風景に迎えてみるのもよいものです。

あわせて読みたい関連記事
関連商品をチェック

参考資料

  • Rörstrand Museum「Rörstrand 300 years」 en.rorstrand-museum.se
  • Nationalmuseum「300 years of Rörstrand – treasures from Nationalmuseum collections」 nationalmuseum.se
  • Visit Sweden プレスリリース(2026-04-29)press.visitsweden.com
  • SLA / vastsverige.com(6月13日の記念行事)
  • ELLE Decoration / iittala.com(ジュビリー記念色コレクション)
コラムに戻る