
スウェーデンの国民的作家が生んだ 手のひらに宿る北欧の物語
リサ・ラーソンが手掛けたカロリンのユニークピース一点ものフラワーベースです。カロリンの量販品は青を基調とした表情で知られますが、本作はそこから大きく外れ、茶色の釉薬でまとめられた特別な個体です。落ち着いた飴色と深いブラウンの揺らぎが、土の温度感を伴って立ち上がり、ヴィンテージ陶芸ならではの景色を見せてくれます。
さらに本作の決定的な魅力は装飾にあります。通常版では整った幾何学模様が印象的ですが、こちらは意図的に描かれたモチーフが入っています。規則性に収まらない線や配置には、作り手の呼吸やリズムがそのまま残り、量産品では得られない躍動が感じられます。リサ・ラーソン自身が遊び心をもって制作したことが伝わる、まさに作家の手の跡が主役のカロリンです。
側面には文字としてDressinGの綴りが描き込まれています。末尾のGだけが大文字になっているのが特に印象的で、おそらくGustavsbergの頭文字を意識した遊び心によるものと考えられます。器の用途表示のようでありながら、作家の洒落が仕込まれている点も、量販品にはない魅力です。
形は端正で、花を少量挿すだけでも絵になり、花を挿さずともオブジェとして成立します。釉薬の濃淡や筆致の表情は一点ごとに異なり、同じものは二つとありません。カロリンの枠組みを借りながら、作家自身の自由な実験精神が凝縮された、コレクターズピースと呼ぶにふさわしい逸品です。
リサ・ラーソン — 北欧の愛すべき陶芸家
師匠スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン。1年の試用期間が26年に。
リサ・ラーソン(1931-2024)。スウェーデン南部スモーランド地方エルムフルトに生まれ、ヨーテボリの工芸学校でテキスタイルから陶芸に転向。1954年、学生コンペの審査員を務めたグスタフスベリの巨匠スティグ・リンドベリに才能を見出され、「1年の試用期間」で工場に招かれました。その1年は、やがて26年間の創作活動へと続いていきます。
リンドベリが「レクストゥーガ(遊び小屋)」と呼んだ工房で、リサは「リッラ・ズー(小さな動物園)」「ABCガールズ」「アフリカ」など数々の名作を生み出しました。ある日、暗褐色のシャモット陶土でしっぽを立てた猫を作ったことが、生涯で約30種もの猫の陶器を生むきっかけとなります。
日本とリサ・ラーソン
ABCガールズの「ドーラ」に命を吹き込むリサ。1950年代の痩身美の風潮に対し、古代の豊穣の女神に着想を得たふくよかな女性像を創りました。
一つひとつ手描きで絵付けされるリサ・ラーソンの陶器。職人の手仕事ゆえの個体差が、ヴィンテージ品の魅力です。
1970年、リサは大阪万博を訪れ、益子焼の人間国宝濱田庄司と出会います。民藝運動に触れたこの体験が、彼女の手仕事への信念をさらに深めました。2010年には日本の絵本のために赤い縞模様の猫「マイキー」を描き、やがてこの猫は日本中で愛されるキャラクターに。2014-15年の日本巡回展には21万人以上が来場しました。
ヴィンテージと復刻版の見分け方
リサ・ラーソン作品の制作時期は、バックスタンプで判別できます。
- グスタフスベリ工場時代(1954-1980) — 錨マークに「GUSTAVSBERG」「LISA L.」「SWEDEN」の刻印。最もコレクター価値が高いヴィンテージ品。
- フリーランス時代(1980-1992) — ロールストランド、イエ・ガントフタなど各メーカーの刻印。
- ケラミックストゥディオン時代(1992年〜) — 「K-Studion」の刻印。リサが共同設立した工房で、ヴィンテージの名作を手作りで復刻。高品質ですがオリジナルとは異なります。
当店で取り扱うリサ・ラーソン作品は、スウェーデンから直接買い付けたヴィンテージのオリジナル品です。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
- シリーズ名:Karolin / カロリン
- 年代:1964〜1971年
- サイズ:直径8.5cm 高さ17.8cm
■コンディション:★★★★★(5:完品)
保存状態が極めて良好なデッドストック品のコンディションです。市場で入手可能なヴィンテージのトップコンディションのアイテムとなります。





















