フィンランドの陶磁器メーカーアラビア(ARABIA)の「アトリエ」ラインから生まれた、ヴィーキンキ(Viikinki=ヴァイキング)シリーズのマグカップです。
デザインを手がけたのは、グンヴァル・オリン・グラングヴィスト(Gunvor Olin-Grönqvist)。彼女はアラビアのアートデパートメントで41年間にわたり活躍し、コスモス(Kosmos)やフルクトゥス(Fructus)など数多くの人気シリーズを生み出しました。
ヴィーキンキシリーズは、ヴァイキング船や魚、港の風景がカラフルに描かれたデザインで、子ども向けの食器セットとして制作されました。赤・青・緑の鮮やかな色彩と、細密なペン画タッチのイラストレーションが共存する、遊び心あふれるデザインです。
裏面には「ARABIA FINLAND」の王冠ロゴに加え、「ateljé」および「Viikinki」の刻印があり、アラビアのアトリエ(工房)ラインで制作された作品であることがわかります。
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯

1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。1949年にはARABIAのクラウンマーク(王冠のバックスタンプ)もデザインしています。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。

このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
- 1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入された122mのトンネル窯を表現したデザイン。
- 1949年〜現在:カイ・フランクがデザインしたクラウンマーク(王冠)。月桂樹の輪を逆さにして王冠に見立てた斬新なデザイン。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
- 生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
- 2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。
■詳細スペック
- メーカー:ARABIA / アラビア
- 作家:Gunvor Olin-Grönqvist / グンヴァル・オリン・グラングヴィスト
- 種別:マグカップ
- シリーズ:Viikinki / ヴィーキンキ(ヴァイキング)
- 素材:陶磁器
- 装飾技法:スクリーンプリント(serikuvakoriste)
- 年代:1970年代
- 生産国:フィンランド
- サイズ: カップ幅13.3cm(持ち手含む) 直径9.3cm 高さ9cm 容量約400ml
■コンディション:★★★★☆(4:美品)
ごく細かいペイントロスが確認できますが、ひび割れや欠けはなく、全体的に良好なコンディションです。プリントの発色も鮮やかに残ったままです。










