HLA自身が絵付けした極めて珍しいユニークピース。青、紫、ターコイズの色彩が美しい大皿
ARABIAの器を裏返したとき、底面に小さく「HLA」と書かれていることがあります。表には、青い花が勢いよく描かれている——花びらは整いすぎず、葉の線は少し跳ね、筆の動きがそのまま残っている。それがヒルッカ・リーサ・アホラの世界です。
本作は、ヒルッカ・リーサ・アホラ(HLA)がARABIAの美術部で制作した、極めて珍しい本人直筆のユニークピース。直径34.5cmの大皿に、青、紫、ターコイズが溶け合う独特の色彩で、細密な装飾模様が描かれています。
装飾画家としての筆の力——本人直筆という稀少性
ARABIAには、形を設計するデザイナーと、装飾を専門に担う作家がいました。アホラはその「装飾」の領域で、筆の動きそのものを作品の個性に変えた作家です。形が同じでも、アホラの花が描かれると、器の印象はまったく変わります——花弁の広がり、青の濃淡、葉の流れには、転写では生まれない手の勢いが残ります。
HLA作品の多くは、アホラがデザインを手がけ、絵付けは専属の絵付け師が担当する分業体制で制作されました。高台のサインには、アホラのイニシャル「HLA」とペインターのイニシャルが併記されることが一般的です。
一方、本作にはペインターのイニシャルがなく、アホラ本人の直筆サイン「HLA」のみが確認できます。これは絵付けまでアホラ本人が一貫して手がけた可能性が高いことを示すサインで、HLA作品のなかでも市場でほとんど見かけない、極めて稀なケースです。
細かな筆致で描かれた装飾パターンには、手仕事の温もりと、装飾画家としての確かな技量が感じられます。色面の濃淡、輪郭の揺らぎ、円環状に展開される模様の流れ——どれもひと筆ずつの判断の積み重ねです。
ARABIA美術部から生まれた一点物
アホラはARABIAの芸術・工業部門(taide- ja teollisuusosasto)に1947年から正式採用され、1968年のファエンツァ国際陶芸ビエンナーレでのグランプリ受賞を機に、ARABIA美術部のアトリエへ転属しました。本作のような一点物は、量産ラインとは別枠で、装飾家本人が裁量を持って制作した作品群に位置づけられます。
ヒルッカ・リーサ・アホラの世界をひと皿のなかに集約した、貴重な本人直筆作品です。制作背景や代表作群の詳細は、完全ガイド記事でも紹介しています。
■詳細スペック
- メーカー:ARABIA / アラビア
- デザイナー/絵付け:Hilkka-Liisa Ahola / ヒルッカ・リーサ・アホラ(本人直筆)
- 種別:ユニークピース(一点物・本人絵付け)
- 製造国:フィンランド
- サイズ:直径34.5cm 高さ6.5cm
- サイン:高台にHLAの直筆サイン(ペインターのイニシャルなし)
■コンディション:★★★★★(5:完品)
割れや欠け、貫入がなく、製造時の姿をそのままとどめた完品のコンディションです。










