ベルサの裏印の読み方|BOHUS-BERSÅ・F555・B555と復刻版の錨マーク
北欧食器タックショミュッケ編集部スウェーデン・フィンランドから北欧ヴィンテージ食器を直接買い付け、1,000点以上を検品してきた当店が、一次情報と実物の観察にもとづいて執筆・編集しています。
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スティグ・リンドベリがデザインしたグスタフスベリのベルサ(Berså)は、器を裏返すと、緑の葉を輪に並べた印が入っています。ところが何枚か並べてみると、葉の輪の中の文字が、器によって少しずつ違うことに気づきます。「BOHUS」と入るものもあれば、「F555」や「B555」と入るものもあり、印の脇に緑の小さな数字が添えられた器もあります。
この記事では、当店で扱ったヴィンテージのベルサの写真を使って、裏印を1枚ずつ読んでいきます。文字の型、F555とB555の分かれ方、印の脇の数字、カップとソーサーの見方、そして復刻版の錨のマークまでを順に見ていきます。シリーズの歴史や器の種類についてはベルサ完全ガイドで紹介しています。
この記事でわかること
- ヴィンテージのベルサの裏は緑の葉の輪で、中の文字には4つの型があること
- F555とB555は、製造の時期ではなく器の種類で分かれること
- 「BOHUS-BERSÅ」のBOHUSが、同じ型LLで作られた別のシリーズ「ボーフス」の名前であること
- 印の脇の緑の数字は器の品番で、製造年ではないこと
- カップとソーサーは別々に裏を見ること、復刻版の裏は錨のマークであること
目次
ベルサの裏は葉の輪——ヴィンテージと復刻版を分ける最初の手がかり
ヴィンテージの裏は緑の葉の輪
1960年代から1974年までに作られたヴィンテージのベルサは、裏の中央に、緑の葉を輪に並べた印が入ります。輪の中には黒い文字で、窯の名前のGUSTAVSBERG、シリーズ名のBERSÅ、デザイナーのスティグ・リンドベリの名前が入り、器によっては素材の表示も加わります。

ベルサの生産は、1973年の石油危機を受けて1974年に終わりました。1974年は、北欧の食器づくりが大きく傾いた年でもあります。この時代の背景は、石油危機が北欧食器を変えた日にまとめています。
復刻版の裏は錨のマーク
のちに作られた復刻版のベルサには、裏に葉の輪がありません。当店で扱った復刻版のモーニングカップ&ソーサーでは、ソーサーの裏に、GUSTAVSBERGの文字とグスタフスベリの錨のマーク、その下に「MADE IN GUSTAVSBERG SWEDEN」が入っていました。錨の左右には数字が分かれて入り、シリーズ名もデザイナーの名前もありません。


裏が葉の輪ならヴィンテージ、錨のマークなら復刻版と、まずは大きく分けることができます。色や形の違いを含めた見分け方は北欧ヴィンテージと復刻版の見分け方で、グスタフスベリの錨のマークの移り変わりはグスタフスベリのロゴの歴史で詳しく扱っています。
葉の輪の中の文字は4つの型
ヴィンテージの葉の輪の中の文字には、4つの型があります。この記事では便宜上、AからDの記号を付けて区別します。記号の順番は、製造の順番を表すものではありません。
A——素材の表示が入らない型
Aの型の文字は「GUSTAVSBERG BOHUS-BERSÅ STIG LINDBERG SWEDEN」です。窯の名前、BOHUS-BERSÅ、デザイナーの名前、SWEDENの4つの言葉でできています。素材の表示も、VDNの表示も入りません。当店で扱ったヴィンテージのベルサでは、プレートやボウル、ティーカップ、ピッチャー、シュガーポット、エッグカップなど、多くの器の裏にこの型がありました。



Aの型は、フリント陶器の器にも、ふだんはB555の表示が入る小さいコーヒーカップ&ソーサーにも付いています。この型の印からは、器の素地は決まりません。写真のベルサのシュガーポット(ふた付き)とベルサのピッチャーは、商品ページでほかの角度の写真もご覧いただけます。
B——フリント陶器の表示が加わった型
Bの型の文字は「GUSTAVSBERG BOHUS-BERSÅ FLINTGODS STIG LINDBERG SWEDEN」です。Aの型にFLINTGODS(フリント陶器)の表示が加わっています。フリント陶器はスウェーデン語で長石陶器にあたる言葉で、素地については「長石陶器とは」で詳しく解説しています。当店の写真にはこの型の裏がないため、ここでは文字だけを示します。
C——VDN F555とフリント陶器の表示が入る型
Cの型の文字は「GUSTAVSBERG VDN F555 BERSÅ FLINTGODS STIG L. MADE IN SWEDEN」です。BOHUSの文字がなくなり、GUSTAVSBERGの下にVDN F555の表示が入ります。デザイナーの名前は「STIG L.」と短くなり、SWEDENは「MADE IN SWEDEN」に変わります。FLINTGODS(フリント陶器)の表示も入ります。当店で扱った器では、21cmプレートやクリーマー、スクエアプレートの裏にこの型がありました。



写真のベルサのスクエアプレートも、裏にCの型の印が入る一枚です。
D——VDN B555とボーンチャイナの表示が入る型
Dの型の文字は「GUSTAVSBERG VDN B555 BERSÅ BENPORSLIN STIG L. MADE IN SWEDEN」です。Cの型のF555がB555に、FLINTGODSがBENPORSLIN(ボーンチャイナ)に代わった型です。ほかの文字の並びは、Cの型と同じです。当店では、小さいコーヒーカップ&ソーサーのソーサーの裏で、この型を確かめています。


写真のベルサのコーヒーカップ&ソーサーは、商品ページで寸法とあわせてご覧いただけます。
F555とB555は器の種類で分かれる
CとDの型の違いは、製造の時期ではなく、器の種類にあります。VDNの表示が入る器のうち、B555とボーンチャイナの表示が入るのは、ふつうはソーサーの直径が12.5〜13cm、カップの高さが5cmほどの小さいコーヒーカップ&ソーサーです。ほかの器はF555とフリント陶器の表示で、器の種類ごとの表示は次の表のとおりです。
| 器 | VDNの表示が入る場合 | 素材の表示 |
|---|---|---|
| 皿・深皿・ボウル・角皿・長方形の皿 | VDN F555 | FLINTGODS(フリント陶器) |
| シュガーポット・クリーマー・バターケース・ポット・ふた付きのジャグ | VDN F555 | FLINTGODS(フリント陶器) |
| 大きめのカップ&ソーサー・ティーカップ | VDN F555 | FLINTGODS(フリント陶器) |
| 小さいコーヒーカップ&ソーサー(ソーサーの直径12.5〜13cm) | VDN B555 | BENPORSLIN(ボーンチャイナ) |
ヴィンテージのベルサの素地は、長石陶器(フリント陶器)です。B555はボーンチャイナの表示ですが、B555の表示があるヴィンテージも、復刻版のボーンチャイナとは材質も質感もはっきり違います。ボーンチャイナそのものの成り立ちは、「ボーンチャイナとは」でたどっています。
当店で扱った17.5cmの丸皿
当店では、裏に「VDN B555」と「BENPORSLIN」の文字が入った、ベルサの17.5cmの丸皿を扱いました。裏の印は実物で確かめています。B555の表示が入ったベルサの皿は、博物館の収蔵記録には見当たりません。
表の柄も、器面いっぱいに葉を並べるふつうのベルサの皿とは違い、縁に沿って葉を丸く並べたものでした。表から見ても裏から見ても、ほかのベルサの皿とは違う、珍しい一枚でした。


「555」の意味と、印で年代を決めない理由
VDNは、スウェーデンの商品表示の機関Varudeklarationsnämndenの略です。555の3桁は、釉に貫入が入るおそれ、料理への向き、75℃の食器洗い機での洗浄という、当時の試験の三つの成績を表し、「555」は三つともいちばん高い段階でした。FとBは素材の表示で、成績は同じです。
VDNの機関は1973年に消費者庁へ統合されましたが、印はその後も使われました。グスタフスベリでは、創業150年を記念した1975年の器や、1980年代の器にもVDN B555の印が入っています。VDNの印があることだけでは、1973年以前の器とは決まりません。VDNの表示の読み方は、「VDNマークとは」で詳しく紹介しています。
「BOHUS」の文字と型LL
AとBの型の「BOHUS-BERSÅ」にあるBOHUSは、リンドベリがベルサと同じ型LLで作った、ボーフス(Bohus)という別のシリーズの名前です。ボーフスは青い釉のかかったシリーズで、耐熱の深鉢などが1959年から1963年まで作られました。

型は、器の形を表す記号です。ベルサの皿やカップも、型LLで作られています。同じ形のまま、柄や釉の違うシリーズがいくつも作られ、リンドベリのブローヒュサール(Blå Husar)も型LLの器です。青がにじむ装飾のシリーズについては、ブローヒュサール完全ガイドをご覧ください。
印にBOHUSの文字が入っていても、その器がボーフスのシリーズというわけではありません。葉の輪とBERSÅの文字が入っていれば、ベルサの器です。ベルサの葉の柄を描いた人をめぐる話は、ベルサの葉は誰が描いたのかにまとめています。
印の脇の緑の数字は品番
ヴィンテージのベルサには、葉の輪から少し離れたところに、緑の小さな数字が入る器があります。この数字は器の品番で、製造年ではありません。同じ形の器には同じ番号が入り、ボウルには73と74、角型のサラダ皿には60、長方形の皿には17が入ります。



当店の18cmプレートの裏には「13」、特大サイズのスクエアプレートの裏には「17」が入っていました。印の脇に数字を見つけたら、製造年ではなく、器の形の番号として読んでください。写真のベルサの18cmプレートは、表の柄も商品ページでご覧いただけます。
カップとソーサーは別々に見る
カップ&ソーサーは、カップとソーサーをそれぞれ裏返して見ます。とくに小さいコーヒーカップ&ソーサーは、カップとソーサーで印の図柄が違います。
小さいコーヒーカップの裏には葉の輪がなく、緑一色の文字の印が入ります。マルメ博物館に収められた一客では、ソーサーにDの型、カップには緑の文字で「Gustavsberg benporslin made in Sweden」と入っています。印の入らない小さいコーヒーカップもあります。
ティーカップ&ソーサーは、カップの底にもソーサーの裏にも葉の輪が入ります。当店で扱ったヴィンテージのティーカップ&ソーサーでは、カップにもソーサーにもAの型が入っていました。



小さいコーヒーカップ&ソーサーなら、カップとソーサーの印が違っていても、それだけで組み違いとは決まりません。カップとソーサーの両方を裏返し、それぞれの印を読むのが確かです。
まとめ
ヴィンテージのベルサの裏印は、葉の輪の中の文字を読むと、素材の表示や器の種類まで見えてきます。一方で、印から製造年を1年単位で決めることはできません。
要点の整理
- 裏の基本——ヴィンテージは緑の葉の輪に黒い文字。復刻版は錨のマークで、葉の輪はない
- 4つの型——A「BOHUS-BERSÅ」(素材の表示なし)、B「BOHUS-BERSÅ FLINTGODS」、C「VDN F555 FLINTGODS」、D「VDN B555 BENPORSLIN」
- F555とB555——器の種類で分かれる。B555は小さいコーヒーカップ&ソーサー。B555の入ったベルサの皿は博物館の収蔵記録に見当たらない
- BOHUSの文字——ベルサと同じ型LLで作られた、リンドベリのシリーズ「ボーフス」の名前。青い釉で、耐熱の深鉢などが1959〜1963年に作られた
- 緑の数字——器の品番。製造年ではない
- VDNの印——1973年より後の器にも入る。印だけで年代は決まらない
- カップとソーサー——別々に裏を見る。小さいコーヒーカップは葉の輪のない緑の文字の印
参考資料
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