
スウェーデンの国民的作家が生んだ 手のひらに宿る北欧の物語
リサ・ラーソンがグスタフスベリ社で1963〜1978年にかけて製作した「ガムラスタン」という作品名の陶板です。こちらの通常版とは異なるカラーパターンで背面には本人による直筆のサインが入っています。釉薬は特別に調整したものを用いたシックな色調の陶板です。一見して単なる色違いの陶板ですが、こちらの陶板はカタログにも記載がなく、ユニークピースと言って良い世界的に見ても珍しい逸品です。
作品名の「ガムラスタン」とはOld Town(旧市街)という意味のスウェーデン語で、13世紀ごろから形成されたスウェーデンの首都ストックホルム中心地の最も古い市街地エリアの通称です。ガムラスタンはスウェーデン王宮や国会議事堂も立地し、道沿いには築500年以上の建物が所狭しと軒を並べており、ストックホルムの一大観光名所となっています。
一軒一軒よく見ると建築様式も色も異なりますが、カラフルな色合いの建物が縦に長い建物がひしめき合う情景が全体として調和を生み出している不思議な町並みです。本作は各々に高さや形が異なる屋根・窓・玄関ドアなど、ガムラスタンの建築の特徴をよく捉えています。ガムラスタンはスウェーデンの町並みを象徴する古都で、ジブリ映画『魔女の宅急便』のモデルともなっています。
なお、グスタフスベリには量販品を生産するラインとは別にGスタジオ(G-Studion)と呼ばれるスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンなど著名なデザイナーがアート作品を制作した部門がありました。こちらはそのアトリエで作られた作品となります。一点一点が手作りによるもので、背面には”LISA L GUSTAVSBERG SWEDEN”の刻印がされています。
リサ・ラーソン — 北欧の愛すべき陶芸家
師匠スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン。1年の試用期間が26年に。
リサ・ラーソン(1931-2024)。スウェーデン南部スモーランド地方エルムフルトに生まれ、ヨーテボリの工芸学校でテキスタイルから陶芸に転向。1954年、学生コンペの審査員を務めたグスタフスベリの巨匠スティグ・リンドベリに才能を見出され、「1年の試用期間」で工場に招かれました。その1年は、やがて26年間の創作活動へと続いていきます。
リンドベリが「レクストゥーガ(遊び小屋)」と呼んだ工房で、リサは「リッラ・ズー(小さな動物園)」「ABCガールズ」「アフリカ」など数々の名作を生み出しました。ある日、暗褐色のシャモット陶土でしっぽを立てた猫を作ったことが、生涯で約30種もの猫の陶器を生むきっかけとなります。
日本とリサ・ラーソン
ABCガールズの「ドーラ」に命を吹き込むリサ。1950年代の痩身美の風潮に対し、古代の豊穣の女神に着想を得たふくよかな女性像を創りました。
一つひとつ手描きで絵付けされるリサ・ラーソンの陶器。職人の手仕事ゆえの個体差が、ヴィンテージ品の魅力です。
1970年、リサは大阪万博を訪れ、益子焼の人間国宝濱田庄司と出会います。民藝運動に触れたこの体験が、彼女の手仕事への信念をさらに深めました。2010年には日本の絵本のために赤い縞模様の猫「マイキー」を描き、やがてこの猫は日本中で愛されるキャラクターに。2014-15年の日本巡回展には21万人以上が来場しました。
ヴィンテージと復刻版の見分け方
リサ・ラーソン作品の制作時期は、バックスタンプで判別できます。
- グスタフスベリ工場時代(1954-1980) — 錨マークに「GUSTAVSBERG」「LISA L.」「SWEDEN」の刻印。最もコレクター価値が高いヴィンテージ品。
- フリーランス時代(1980-1992) — ロールストランド、イエ・ガントフタなど各メーカーの刻印。
- ケラミックストゥディオン時代(1992年〜) — 「K-Studion」の刻印。リサが共同設立した工房で、ヴィンテージの名作を手作りで復刻。高品質ですがオリジナルとは異なります。
当店で取り扱うリサ・ラーソン作品は、スウェーデンから直接買い付けたヴィンテージのオリジナル品です。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
- シリーズ名:Väggplattor / 陶板
- 作品名:Gamla Stan / ガムラスタン(旧市街)
- 年代:1963〜1978年
- サイズ:横幅28.5cm 縦幅28cm 厚み約2cm
■コンディション:★★★★★(5:完品)
背面の縁に釉薬の付着があまい部分が見られます。縁全体的に見られるため、使用上の割れや欠けではなく、製造時に生じたものと考えます。それ以外の部分はオリジナルのコンディションを留めた完品です。






















