濃紺の炻器でつくられた ARABIAキエヴァリのピッチャー
■詳細スペック
- メーカー:ARABIA / アラビア
- デザイナー:Göran Bäck / ヨーラン・ベック
- シリーズ名:Kievari / キエヴァリ
- 素材:炻器
- 年代:1968〜1979年
- 製造国:フィンランド
■コンディション:★★★☆☆(3:並品)
割れや欠けはありませんが、光に透かすと経年の使用感が見られます。普段使いに向いたコンディションです。
■商品解説
1960年代の終わりにARABIAが送り出した、キエヴァリ(Kievari)のピッチャーです。デザインはヨーラン・ベック(Göran Bäck)。彼の頭文字をとってGBモデルと呼ばれる器の形に、濃紺の釉薬をかけたシリーズがキエヴァリです。素地は炻器で、外側は艶のある深い濃紺、内側は白で、注ぐ水やミルクの色がそのまま見えます。
キエヴァリはフィンランド語で「宿屋」を意味し、かつて街道沿いにあった宿や酒場を指す言葉です。柄を持たない単色の器と厚みのある素地は、その名のとおり、人の集まる場所で毎日使われる道具の姿をしています。
本品は注ぎ口の付いたピッチャーです。水やミルク、アイスティーを食卓に出す器として使えるほか、花を挿せば濃紺が草花の色を引き立てます。同じキエヴァリのティーポットやミルクジャグと並べると、濃紺の器がひと揃いになります。
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯

1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。

このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
- 1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入されたトンネル窯を表現したデザイン。
- 1949〜2014年:クラウンマーク(王冠)。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
- 生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
- 2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。










