果実が踊るように描かれた秀作 ARABIAの短期シリーズ
北欧フィンランドを代表する食器メーカーARABIA社の秀作フラクタスシリーズのブルーカラー版です。青色の本作は茶色のフラクタスに比べて生産数が少なく比較的珍しいものです。深みがある青と黒のコンビネーションで彩られた器で、厚めに塗られた釉薬には奥行きがあります。
シリーズ名のフラクタスとはラテン語で「果実」の意味で、表面には半分に切られたザクロがハンドペイントで描かれています。手作業で描かれた果実の絵柄が一つ一つ異なり、それぞれが異なる表情を持っています。
ザクロの実のパターンをデザインしたパターンデザイナーのグンヴァル・オリン・グラングヴィストはARABIAで自らのアトリエを社内工房という形でもち、絵付け師と共作でハンドメイド作品の制作をおこなっていました。アトリエでハンドペイントによって制作されたGOG作品はARABIAの陶器のなかでも一際存在感を放っています。
フォルムデザインを担当したのは、名作バレンシアやフローラで知られるウラ・プロコッペです。フォルムは1960年に製作されたルスカシリーズを原型とするSモデルと呼ばれるもので、ARABIA製品は数多くの食器シリーズがルスカのフォルムを踏襲しつつ、さまざまなデザイナーが表面のデコレーションを考案する手法で数十年にわたりヒット作を生み出してきました。フラクタスはプロコッペとGOGというARABIAを代表する二人の伝説的なデザイナーの共作です。プロコッペはエステリ・トムラとコンビを組むことが多かったので、GOGとのコラボレーションは珍しいです。
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯

1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。1949年にはARABIAのクラウンマーク(王冠のバックスタンプ)もデザインしています。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。

このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
- 1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入された122mのトンネル窯を表現したデザイン。
- 1949年〜現在:カイ・フランクがデザインしたクラウンマーク(王冠)。月桂樹の輪を逆さにして王冠に見立てた斬新なデザイン。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
- 生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
- 2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。
■詳細スペック
- メーカー:ARABIA / アラビア
- フォルムデザイン:Ulla Procope / ウラ・プロコッペ
- パターンデザイン:Gunvor Olin Gronqvist / グンヴァル・オリン・グラングヴィスト
- 年代:1971~1975年
- 製造国:フィンランド
- サイズ:直径20cm 高さ2cm
■コンディション:★★★★☆(4.5:極美品)
プレート表面は光に透かすと中央付近にごくごく僅かなスレが見られますが、本品は割れや欠け、貫入がない完品に近いコンディションとなります。本品は複数在庫品となります。在庫品はすべて写真と同等のコンディションとなります。個別のコンディションをご確認の場合はチャットまたはメールにてお問い合わせください。










