リンドベリのGスタジオから生まれた 古代技法ファイアンス焼きの逸品
スウェーデンの名窯グスタフスベリのアトリエで、職人の手によって製作されたファイアンス焼きの小皿です。縦長のすっきりとしたフォルムに、野の花がリズムよく散り、黄・青・ピンクの軽やかな色彩が白地に映えます。輪郭を縁取る赤いラインが全体を引き締め、飾っても使っても絵になる一枚です。
ファイアンス焼きは、赤土で成形した器に錫釉と呼ばれる白い釉薬を掛け、その上から絵付けを施して焼き上げる技法です。絵具のにじみや筆の運び、点描の散り方に手仕事ならではの揺らぎが現れ、量産のプリントでは出せない柔らかな表情が生まれます。本作でも、花弁のグラデーションや黄色い点の配置、葉の濃淡に、手で描かれたもの特有の呼吸が残っています。
背面にはGスタジオ作品であることを示すハンドマークがあり、あわせてスウェーデン表記と、F/10・24の数字、記号が記されています。これらはアトリエ内でのフォームや制作管理、絵付け工程を識別するための記号として用いられたものと考えられ、Gスタジオ作品らしい「作りの痕跡」を楽しめるポイントです。
横幅11.5cm、縦幅23cmの細長いサイズ感は、焼き菓子やチョコレート、カトラリーレストとしてのトレイ使い、チーズや前菜の盛り付けにもぴったりです。日常の道具として使えるのに、置くだけで空間が華やぐ、アトリエ作品ならではの小皿です。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- 生産国:スウェーデン
- サイズ:横幅11.5cm 縦幅23cm 高さ1.5cm
■コンディション:★★★★★(5:完品)
割れ・欠けなどのダメージがなく非常に良好です。釉薬の濃淡や流れは制作当時からの個性としてご理解ください。









