
スウェーデンの国民的作家が生んだ 手のひらに宿る北欧の物語
リサ・ラーソンが1980年代に制作した少女像です。花飾りをした少女がしゃがんで花を摘む姿が表現されています。本作はリサ・ラーソンがフリーランスの時期に自らのアトリエで制作したものです。
朗らかな表情はリサ・ラーソン作品のなかでは珍しく写実的で、やや大きな胴体の質感はグスタフスベリ時代のABCガールズシリーズによく似ています。ワンピースは花がらで、差し出した手に握った花は、花を摘んでいるようにも差し出しているようにも見えます。
本作はおそらく1985年ごろに少量制作されたものと思われます。リサ・ラーソンはグスタフスベリを1980年に退社後、ストックホルム郊外のウッグレヴェーゲン(Ugglevägen)という場所に自らのアトリエを構えました。アトリエは後に古巣に復帰して創設されることになるケラミックスタディオ・グスタフスベリ(Keramikstudion Gustavsberg=Kスタジオ)の前身とも言える存在でした。
この当時に制作された作品は、サインにアトリエ作品を意味する”Atelier”というリサの自筆の署名があるのが特徴です。グスタフスベリ製品ではなく、Kスタジオ作品でもない、リサ・ラーソンが完全フリーの時期に制作された作品であることを示しています。
当時リサ・ラーソンは世界中の企業から数多くの制作依頼を受けていたため、自らの創作活動にはほとんど時間が費やせませんでした。本作はリサ・ラーソンが忙しい合間を縫って制作したものとなります。数あるリサ・ラーソン作品のなかでカタログ掲載にもなく、再販もされていないため市場にほとんど流通していない極めて希少なものです。
リサ・ラーソン — 北欧の愛すべき陶芸家
師匠スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン。1年の試用期間が26年に。
リサ・ラーソン(1931-2024)。スウェーデン南部スモーランド地方エルムフルトに生まれ、ヨーテボリの工芸学校でテキスタイルから陶芸に転向。1954年、学生コンペの審査員を務めたグスタフスベリの巨匠スティグ・リンドベリに才能を見出され、「1年の試用期間」で工場に招かれました。その1年は、やがて26年間の創作活動へと続いていきます。
リンドベリが「レクストゥーガ(遊び小屋)」と呼んだ工房で、リサは「リッラ・ズー(小さな動物園)」「ABCガールズ」「アフリカ」など数々の名作を生み出しました。ある日、暗褐色のシャモット陶土でしっぽを立てた猫を作ったことが、生涯で約30種もの猫の陶器を生むきっかけとなります。
日本とリサ・ラーソン
ABCガールズの「ドーラ」に命を吹き込むリサ。1950年代の痩身美の風潮に対し、古代の豊穣の女神に着想を得たふくよかな女性像を創りました。
一つひとつ手描きで絵付けされるリサ・ラーソンの陶器。職人の手仕事ゆえの個体差が、ヴィンテージ品の魅力です。
1970年、リサは大阪万博を訪れ、益子焼の人間国宝濱田庄司と出会います。民藝運動に触れたこの体験が、彼女の手仕事への信念をさらに深めました。2010年には日本の絵本のために赤い縞模様の猫「マイキー」を描き、やがてこの猫は日本中で愛されるキャラクターに。2014-15年の日本巡回展には21万人以上が来場しました。
ヴィンテージと復刻版の見分け方
リサ・ラーソン作品の制作時期は、バックスタンプで判別できます。
- グスタフスベリ工場時代(1954-1980) — 錨マークに「GUSTAVSBERG」「LISA L.」「SWEDEN」の刻印。最もコレクター価値が高いヴィンテージ品。
- フリーランス時代(1980-1992) — ロールストランド、イエ・ガントフタなど各メーカーの刻印。
- ケラミックストゥディオン時代(1992年〜) — 「K-Studion」の刻印。リサが共同設立した工房で、ヴィンテージの名作を手作りで復刻。高品質ですがオリジナルとは異なります。
当店で取り扱うリサ・ラーソン作品は、スウェーデンから直接買い付けたヴィンテージのオリジナル品です。
■詳細スペック
- デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
- 年代:1980年代
- 生産国:スウェーデン
- サイズ:高さ18.5cm 幅12cm 奥行き13cm(最大)
■コンディション:★★★★★(5:完品)
割れ欠け貫入がなく制作当時の姿をそのまま留めた完品のコンディションです。
