フィンランドの名窯ARABIAが生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
フィンランドを代表する食器メーカーARABIAのシルパというシリーズのカッティングボードです。ハート型の装飾が実に可愛らしい一品です。シルパシリーズのカラーバリエーションは青とオレンジの2種類がありますが、こちらはよりフェミニンなオレンジ色となります。シルパシリーズのソルトボックスはヴィンテージ市場でもよく見られますが、こちらのカッティングボードは比較的珍しいものです。
図柄をデザインしたのはエミリア、カレワラ、アリなどで知られるARABIAの伝説的なデザイナーの一人ライヤ・ウオシッキネンです。彼女はデフォルメされた点描や幾何学模様を得意としており、ウオシッキネンの特徴がよく現れているパターンデザインです。また60年代のARABIA製品の特徴として製造された年月が刻印されています。背面の9-65とは1965年6月に製造されたものであることを示しています。
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯

1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。1949年にはARABIAのクラウンマーク(王冠のバックスタンプ)もデザインしています。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。

このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
- 1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入された122mのトンネル窯を表現したデザイン。
- 1949年〜現在:カイ・フランクがデザインしたクラウンマーク(王冠)。月桂樹の輪を逆さにして王冠に見立てた斬新なデザイン。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
- 生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
- 2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。
■詳細スペック
- メーカー:ARABIA / アラビア
- フォルムデザイン:Goran Back / ヨーラン・バック
- パターンデザイン:Raija Uosikkinen / ライヤ・ウオシッキネン
- シリーズ名:Sirpa / シルパ
- 年代:1964〜1969年
- 製造国:フィンランド
■コンディション:★★★★☆(4.5:極美品)
背面の真ん中と右の穴にかけて薄く貫入が見られます。その他極僅かに保存状ついたわずかなスレなどが見られますが使用歴のない大変良好なコンディションのデッドストック品です。








