
フィンランド製復刻の初年度 王冠ロゴが刻まれた名作パラティッシ
1988年にフィンランド製として復刻された名作パラティッシの大きめサイズのティーカップ&ソーサーです。通常のコーヒーカップより一回り大きな作品です。
シリーズ名のParatiisi(パラティッシ)とはフィンランド語で「楽園」の意味です。同社の代表的なデザイナーであったビルガー・カイピアイネンがデザインし、1969年に発売されましたが1974年に石油危機の影響により一旦製造が中止しています。
パラティッシのロゴは、1)1969年のヴィオラ(パンジー)ロゴに始まり、2)1971年の後半ごろに製造されたヴィオラの部分をARABIAのマークを入れ換えた葉っぱロゴ、3)1988年の復刻版で円形の英語ロゴに再入れ換えした王冠ロゴ、4)88年ロゴの色を抜いた白黒ロゴ、5)白黒ロゴからさらに円形のロゴを抜いたタイ製ロゴの5種類があります。4の白黒王冠ロゴまではフィンランド産となりますが、現代版はすべてタイ産となっています。こちらの本品は3の1988年製となります。
88年のロゴの特徴はバックスタンプにアラビアの王冠ロゴがあり、カラーで葉っぱ柄が描かれている点です。のちにフィンランド製でも葉っぱの色がない白黒版が発売され、現在のタイ製では”FINLAND”という文字が抜かれています。
またソーサーの縁がそれまでよりも少し高くキュと縁がせり上がるような造形となり、高台部が細く洗練されたデザインとなっているのが特徴です。カップとソーサーとも往時の色鮮やかさを忠実に守った仕様となっており、1988年当時はまだパラティッシを再現するノウハウがARABIA社に残されていたことを感じさせます。現代のタイ製の復刻版はかなり色の発色が独特で、濃淡のコントラストがはっきりしているのが特徴ですが、こちらはパラティッシらしい淡い色味の色彩が感じられる良品のヴィンテージアイテムです。
「装飾の王」が生んだ楽園

パラティッシをデザインしたビルガー・カイピアイネン(1915-1988)は、フィンランドが誇る「装飾の王(Koristeiden kuningas)」。幼少期にポリオを患い、ろくろが使えない身体でありながら、50年以上にわたりアラビア工場で装飾芸術に人生を捧げました。
ミニマリズムが席巻する北欧デザインの潮流に、彼は真っ向から抗いました。
「装飾性は人類最古の執着である。それを去勢すれば、人間は弱者になる。私は単調さと単純化が嫌いだ」
妻の死、スミレ、そして楽園へ
1966年、カイピアイネンは最愛の妻マッギを失います。彼女の棺をブルーのスミレで覆ったその日から、スミレは彼の生涯のモチーフとなりました。
「ショパンはスミレを愛した。私はショパンを愛する」
悲しみの中で生まれたのが、200万個のセラミックビーズで構成された40平方メートルの巨大壁画「オルヴォッキメリ(すみれの海)」。1967年モントリオール万博でグランプリを受賞しました。

このオルヴォッキメリの延長線上に、1969年、パラティッシは誕生します。元の名前は「タルハ(果樹園)」。ベルギー国王ボードワン夫妻がアラビア工場を訪問した際、完成したばかりのこのデザインに一目惚れ。ファビオラ王妃が自宅用に購入を希望し、「パラティッシ(楽園)」と名付けられました。
アラビア工場 — パラティッシが生まれた場所


ヴィンテージと現行品の違い
パラティッシの生産は1969年に始まり、1974年に一度中断。1988年に復活しましたが、その際にオリジナルの楕円形プレートから丸形に変更され、素材もファイアンス陶器からヴィトロ磁器に変わりました。さらに2016年にはフィンランド工場が閉鎖され、現在はタイで製造されています。
つまり、フィンランド製のヴィンテージ・パラティッシは——特に1969〜1974年のオリジナル期のものは——カイピアイネン自身が監修した時代の、もう二度と作られることのない器です。
パラティッシのバックスタンプ(ロゴ)の変遷

■詳細スペック
- メーカー:ARABIA / アラビア
- デザイナー:Birger Kaipiainen / ビルガー・カイピアイネン
- シリーズ名:Paratiisi / パラティッシ
- 年代:1988年
- 生産国:フィンランド
- サイズ:カップ幅11.5cm(取手含む)カップ高さ6.7cm ソーサー直径16.5cm
■コンディション:訳あり
ソーサー背面の高台部に一箇所欠けがあります。ソーサー表面は光に透かすとスレが見られます。訳あり品としてお得な価格でのご提供です。

