オッレ・アルベリウスがデザインしたオレフォース「エリック」シリーズ

オッレ・アルベリウス(Olle Alberius)完全ガイド|ロールストランドからオレフォースへ——北欧食器とガラスを横断したデザイナーの67年

オッレ・アルベリウス(Olle Alberius)完全ガイド|ロールストランドからオレフォースへ——北欧食器とガラスを横断したデザイナーの67年

オッレ・アルベリウスがデザインしたオレフォース(Orrefors)のガラス・カラフ(OF 1622)
オッレ・アルベリウスがオレフォース時代に手がけたガラス・カラフを写したもの(収蔵番号 OF 1622、スモーランド博物館)。手作業のガラス成形とミニマルな造形が、彼の後期作品の特徴を示している。
Photo: Jörgen Ludwigsson, Kulturparken Småland AB / Smålands museum, CC BY 4.0

スウェーデンの北欧ヴィンテージ食器とガラスを語るうえで、二つの名工房を行き来したデザイナーは多くありません。オッレ・アルベリウス(Olle Alberius, 1926–1993)は、その特異な経歴を持つデザイナーの一人です。

スモーランド地方の都市イェンショーピングに生まれ、ストックホルムの名門コンストファックで陶芸を学んだ彼は、卒業後にストロムスタードの小さな窯シューコ(SYCO)で職人としての腕を磨き、1963年からヴェーネルン湖畔のロールストランド磁器工場へ。8年間にわたって陶板「サレク」「ティトゥス」、テーブルウェア「フォルマ」「アストラル」など多彩なシリーズを世に送り出しました。

そして1971年、彼は故郷スモーランドへ戻ります。オレフォース・ガラス工場へ移籍し、以降22年間、晩年まで「アリエル」「グラール」というスウェーデン・ガラス芸術の伝統技法に向き合いました。本記事では、陶の作品とガラスの双方で足跡を残したアルベリウスの生涯と仕事を、時代背景とともにたどります。

この記事でわかること

  • オッレ・アルベリウスの生涯(1926–1993)と、二つの工場を渡り歩いた経歴の全体像
  • ロールストランド時代(1963–1971)に手がけた陶器シリーズ「サレク」「フォルマ」などの全体像
  • オレフォース時代(1971–1993)のガラス作品とアリエル/グラール技法の特徴
  • ヴィンテージ作品の見分け方——OAサインと収蔵館の情報

目次

  1. オッレ・アルベリウスとは
  2. 基本情報
  3. 生涯——イェンショーピングからオレフォースへ
  4. コンストファックでの修業(1952–1956)
  5. シューコ陶磁器(SYCO)——ストロムスタードでの最初の8年
  6. ロールストランド時代(1963–1971)——陶器の名作群
  7. オレフォース時代(1971–1993)——ガラスへの転身
  8. 制作技法——アリエルとグラール
  9. サインと見分け方
  10. まとめ——スモーランドに還った職人

オッレ・アルベリウスとは

オッレ・アルベリウス(Olle Alberius, 1926–1993)は、20世紀後半のスウェーデンを代表する、陶の作品とガラスを横断したデザイナーです。1963年から1971年まではロールストランド磁器工場で陶器を、1971年から1993年に没するまではオレフォース・ガラス工場でアートグラスとテーブルウェアを手がけました。両分野で第一線に立ち続けたデザイナーとして、スウェーデン国立美術館(Nationalmuseum)にも作品が収蔵されています。

スウェーデン南部スモーランド地方の地図
スウェーデン南部スモーランド地方の地図。アルベリウスは北西部のイェンショーピングに生まれ、晩年は南東部のオレフォースで没した。生涯の出発点と終着点が同じ地方に重なる。
Map: Sven Rosborn, CC BY-SA 3.0

基本情報

名前 オッレ・アルベリウス(Olle Alberius)
生年月日 1926年4月8日
出生地 スウェーデン・イェンショーピング県イェンショーピング・ソフィア教区
没年月日 1993年6月12日(67歳)
没地 スウェーデン・カルマル県ヘッレベリヤ教区オレフォース
出身校 コンストファック(Konstfack、ストックホルム)陶芸科 1952–1956
主な経歴 シューコ(SYCO)陶磁器 1957–1965 / ロールストランド磁器工場 1963–1971 / オレフォース・ガラス工場 1971–1993
代表作(陶) サレク(Sarek)、ティトゥス(Titus)、ルンメル(Lummel)、フォルマ(Forma)、アストラル(Astral)、タッフェル(Taffel)、カヴァルカード(Kavalkad)
代表作(ガラス) エリック(Erik、1974)、ヴィクトリア(Victoria、1978)、レジーナ(Regina)、アリエル/グラール技法の一点物
サイン 「OA」(イニシャル)
主な収蔵館 スウェーデン国立美術館(Nationalmuseum, ストックホルム)

生涯——イェンショーピングからオレフォースへ

オッレ・アルベリウスは、1926年4月8日、スウェーデン南部スモーランド地方の都市イェンショーピングに生まれました。ヴェッテルン湖の南端に位置するこの街は、19世紀後半からマッチ工業で知られ、20世紀には製造業の中心地として発展してきました。

イェンショーピング市街地と湖の空撮
イェンショーピング市街地とヴェッテルン湖を上空から撮影したもの。湖畔に広がる街は、スモーランド地方の交易・産業の要所として発展した。
Photo: Salcional, Public Domain

マッチの街に生まれて

イェンショーピングは「マッチの街」と呼ばれました。1845年にヨンショーピング・マッチ工場(Tändsticksfabrik)が操業を開始して以来、安全マッチの大量生産でスウェーデン全土を支えてきた地です。木造の煉瓦倉庫が並ぶマッチ工業地区は、現在も歴史地区として保存されています。

イェンショーピングのマッチ工業地区(Tändsticksområdet)の煉瓦と木造建築
イェンショーピングのマッチ工業地区(Tändsticksområdet)。19世紀後半の木造倉庫と煉瓦造の工場が連なる、産業遺産として保存された一画。
Photo: Modular science, CC BY-SA 4.0

こうした産業の街に育った少年が、後年に陶の作品とガラスという二つの素材を横断するデザイナーとなりました。

コンストファックでの修業(1952–1956)

1952年、26歳のアルベリウスはストックホルムのコンストファック(Konstfack)陶芸科に入学しました。コンストファックは1844年創立のスウェーデン最古の美術工芸学校で、スティグ・リンドベリ、シルビア・レウショヴィウス、ルイース・アーデルボリら、20世紀の北欧食器を担った巨匠を次々と輩出しています。

ストックホルムのコンストファック(旧校舎)
ストックホルムのコンストファック(旧校舎)の外観。スウェーデン最古の美術工芸学校で、20世紀の陶芸・ガラスデザイナーの多くがここで学んだ。
Photo: Arild Vågen, CC BY-SA 3.0

アルベリウスは4年間にわたって陶芸の基礎を学び、1956年に卒業しました。彼の同世代には、戦後スウェーデンの陶磁器を再定義した若手たちが揃っていました。

シューコ陶磁器(SYCO)——ストロムスタードでの最初の8年

コンストファック卒業後の1957年、アルベリウスはスウェーデン西海岸の港町ストロムスタード(Strömstad)に渡り、地元の窯シューコ(SYCO)に職を得ました。ストロムスタードはノルウェー国境に近い小さな町で、スカゲラク海峡に面する漁業と造船の街として発展した地です。

ストロムスタード南港の風景
ストロムスタード南港を写したもの。スカゲラク海峡に面した港町で、シューコ(SYCO)陶磁器工場はこの街に拠点を置いた。
Photo: jorchr, CC BY-SA 3.0

職人として鍛えられた8年

シューコでアルベリウスは、テーブルウェア、フィギュア、花瓶、ボウルなど多岐にわたる陶器をデザインしました。コンストファックでの理論的な学びを実地の量産工程に落とし込む、デザイナーとしての基礎が築かれた期間です。

ストロムスタード旧市庁舎
ストロムスタード旧市庁舎の外観。木造の市庁舎が街の中心に建つ、典型的な西スウェーデンの港町の風景。
Photo: Lars Mongs, Arxfoto, CC BY 4.0

シューコ在職は1965年まで続き、後述のロールストランドとの兼任期間(1963–1965)を経て、本格的にロールストランド一本の体制へと移行しました。

ロールストランド時代(1963–1971)——陶器の名作群

1963年、アルベリウスはヴェーネルン湖畔のリードヒェーピングに本拠を構えるロールストランド磁器工場(Rörstrand)に招かれました。ロールストランドはヨーロッパで2番目に古い陶磁器工場(1726年創業)で、当時はマリアンヌ・ウェストマン、ヘルタ・ベングトソン、シルビア・レウショヴィウスらが活躍していた黄金期にありました。

ヴェーネルン湖畔のリードヒェーピング空撮
ヴェーネルン湖畔のリードヒェーピングを上空から撮影したもの。スウェーデン最大の湖の南岸に位置するこの街が、約280年にわたるロールストランドの製造拠点。
Photo: Doc Searls, CC BY-SA 2.0

兼任から専任へ

1963年から1965年までの2年間、アルベリウスはシューコとロールストランドの双方で並行して仕事をしました。1965年にシューコを退職し、以降はロールストランド専任となります。

リードヒェーピング旧市庁舎
リードヒェーピング旧市庁舎の外観。1671年建造の木造市庁舎で、街の中央広場に立つ。ロールストランド工場はこの街の港湾地区に拡張された。
Photo: I99pema, CC BY-SA 4.0

装飾陶器のシリーズ——サレク、ティトゥス、ルンメル

ロールストランドでアルベリウスは、量産の装飾陶器(フラワーベース、花瓶、装飾鉢)を多数手がけました。最も知られるのが「サレク(Sarek)」シリーズで、釉薬の質感を生かした重厚なストーンウェアの花瓶として、コレクター市場で知られています。

ロールストランド オーレ・アルベリウス サレク(Sarek)青いフラワーベース
当店で扱うアルベリウス《サレク(Sarek)》フラワーベース。全体に幾何学的な紋様が刻まれ、溝に釉薬が色濃く入り込むことで陰影が生まれる、北欧モダンの王道といえる造形。
商品ページ:ロールストランド オーレ・アルベリウス サレク(Sarek)フラワーベース 花瓶
スウェーデン北部のサレク国立公園の山岳風景
スウェーデン北部ラップランドのサレク国立公園の山岳風景。スウェーデン語で「サレク」は北極圏の荒涼とした山々を指す名称で、アルベリウスのストーンウェア・シリーズの名にもなった。
Photo: Gabrielwennstig, CC BY-SA 4.0

「ティトゥス(Titus)」「ルンメル(Lummel)」も同じく装飾陶器の代表作で、いずれも釉薬の厚みと素朴な土の質感を主役にした、北欧モダンの王道といえる造形です。

サレク国立公園のアッカ連峰
サレク国立公園のアッカ連峰を遠望した一枚。氷河と切り立った岩壁が連なる北極圏の風景は、アルベリウスの陶器作品に通底する「土と石の美」と響き合う。
Photo: Uwe und Lukas, CC BY-SA 4.0

壁掛け陶板——カヴァルカード

なお、ロールストランド時代の装飾作品としては、1963年の壁掛け陶板シリーズ「カヴァルカード(Kavalkad)」も重要です。幾何学的なモチーフと強い色彩を持つ正方形の陶板群で、アルベリウスの陶板作品を語るうえで欠かせないシリーズです。

ロールストランド オーレ・アルベリウス 雄鶏の陶板
当店で扱うアルベリウスの陶板。1960年代にロールストランドで制作された、雄鶏をモチーフにした作品。黒い背景に金色の鶏と、周囲を取り囲む植物の意匠が、伝統的なモチーフと北欧モダンの幾何学性を結ぶ一例。
ロールストランド オーレ・アルベリウス 雄鶏の陶板 細部
同じ陶板の細部。冠羽の輪郭や周囲の植物の描写に、幾何学的な構成とのびやかな筆致が同居している。
商品ページ:ロールストランド オーレ・アルベリウス 雄鶏の陶板

テーブルウェア——フォルマ、アストラル、タッフェル

装飾陶器と並行して、アルベリウスは日常空間を意識してデザインされたテーブルウェアシリーズも複数残しました。代表的なシリーズが以下です。

  • フォルマ(Forma)——マットな釉薬と直線的なフォルムを特徴とするストーンウェアです。1960年代後半〜70年代にかけて生産された、北欧モダンの典型例です。
  • アストラル(Astral)——同じくストーンウェアのシリーズで、暮らしの中に置かれることを想定してデザインされていました。
  • タッフェル(Taffel)——フェルドスパー磁器を用いた、端正な造形のテーブルウェアシリーズです。

これらのテーブルウェアは、リサ・ラーソンやスティグ・リンドベリの作品群とは異なる路線——絵柄ではなく、釉薬と造形そのもので空間に静かな表情を添える作品群です——の系譜に属します。マリアンヌ・ウェストマンの「モナミ(Mon Amie)」や「ピクニック(Picknick)」のような明るい色柄とは対照的な、無地のストーンウェアの美しさを追求した作品群です。

オレフォース時代(1971–1993)——ガラスへの転身

1971年、45歳のアルベリウスはロールストランドを離れ、陶の世界からガラスの世界へと身を移します。移籍先は、スウェーデン南東部スモーランド地方のオレフォース・ガラス工場(Orrefors)。生まれ故郷のイェンショーピングと同じスモーランド地方への、22年ぶりの「帰郷」でした。

1917年のオレフォース・ガラス工場
1917年のオレフォース・ガラス工場。当時のスタッフが工場前で記念撮影に応じている。アルベリウスが入社する半世紀前の風景。
Photo: Anna Bloms Atelier, Public Domain

オレフォースという土地と工場

オレフォースは、スウェーデン南東部スモーランド地方カルマル県ヘッレベリヤ教区にある小さな村です。1898年にガラス工場が設立されて以来、「グラスリケット(Glasriket、ガラスの王国)」と呼ばれるスウェーデン南東部のガラス産業地帯の中心地として発展してきました。エドワード・ハルド、シーモン・ガーテ、スヴェン・パルムクヴィスト、イングボリ・ルンディーン、ティモ・サルパネヴァらが在籍した、北欧ガラス芸術の聖地です。

現在のオレフォース・ガラス工場外観
現在のオレフォース・ガラス工場の外観。スウェーデン南東部スモーランドの森林地帯に建つ、120年以上の歴史を持つ窯。
Photo: Bernt Fransson, CC BY-SA 4.0

テーブルウェアと一点物の両輪

オレフォースでアルベリウスは、量産のテーブルウェア・グラスシリーズと、職人が一品ずつ手がけるアートグラスの双方で活動しました。代表的なシリーズには、次のようなものがあります。

  • エリック(Erik)——1974年発表。グラス、カラフ、デキャンタを含む包括的なガラスシリーズです。
  • ヴィクトリア(Victoria)——1978年発表のテーブルウェア・グラスシリーズです。
  • レジーナ(Regina)——キャンドルスタンドのシリーズです。
オレフォース「エリック」シリーズのグラス
アルベリウスが1974年にデザインしたオレフォース「エリック」シリーズのグラス。1980年代にかけてオレフォースで生産された。
Photo: Anden2000, CC BY-SA 4.0

制作技法——アリエルとグラール

オレフォースでアルベリウスが取り組んだ最も重要な領域が、アリエル(Ariel)グラール(Graal)という二つの伝統技法です。両技法ともオレフォース固有の手法として、世界のガラス愛好家に知られています。

グラール技法(Graal)

グラールは1916年にオレフォースのクヌート・ベリィクヴィスト(Knut Bergqvist)と芸術監督のシーモン・ガーテによって開発された技法です。色ガラスの表面に模様を彫り込み、その上から透明ガラスを被せて加熱・成形することで、模様がガラスの内部に「閉じ込められた」ように見える独特の表現が得られます。

フローレンス・ガーテによるグラール・ヴァース(1930年)
1930年にフローレンス・ガーテがデザインしたオレフォースのグラール・ヴァース。模様がガラスの層の中に封じ込められたように見える、グラール技法の典型的な作例。
Photo: Jörgen Ludwigsson, Kulturparken Småland AB / Smålands museum, CC BY 4.0

初期のグラールはエドワード・ハルドが代表的な作家でした。彼が透明ガラスを通して内側の模様を確認している貴重な記録写真が残されています。

エドワード・ハルドがオレフォースの初期グラール作品を点検する1938-1940年頃の写真
エドワード・ハルドがオレフォース所蔵の初期グラール作品を点検する1938〜1940年頃の記録写真。グラール技法はアルベリウスが入社する50年以上前から、オレフォースの看板技法として継承されてきた。
Photo: Smålands museum, Public Domain

アリエル技法(Ariel)

アリエル技法は1937年にオレフォースのヴィッケ・リンドストランド、エドヴィン・オールストレム、グスタフ・ベリィクヴィストらによって開発された、グラールの発展形です。色ガラスの表面に空気の通り道となる溝を彫り、その上から透明ガラスを被せることで、溝に閉じ込められた空気が銀色の気泡となって模様を形作ります。

ラーシュ・ヘルスタンが1986年にデザインしたオレフォースの赤いアリエル・ヴァース
1986年にラーシュ・ヘルスタンがデザインした赤いアリエル・ヴァース。ガラスの内部に閉じ込められた銀色の気泡が、独特の光の表情を生み出す。アルベリウスもこの技法で多数の一点物を制作した。
Photo: Jörgen Ludwigsson, Kulturparken Småland AB / Smålands museum, CC BY 4.0

アルベリウスはこの二つの技法を駆使し、量産品ではなく一品ごとに異なる表情を持つアートグラスを多数残しました。彫り込みのデザインから熱加工まで、職人との緻密な連携が必要な技法であり、彼の22年間のオレフォース在籍は、まさにこの伝統技法の継承と発展に捧げられた時間でした。

オレフォース工場の建物
オレフォース工場の建物。木立に囲まれたスモーランド地方の小さな村のなかに、世界的なガラス工房が静かに佇む。
Photo: Bernt Fransson, CC BY-SA 4.0

サインと見分け方

アルベリウスの作品には、しばしばイニシャル「OA」がサインとして添えられています。ロールストランド時代の陶器では「Rörstrand」の窯印に加えて「OA」が手書きまたはスタンプで記され、オレフォース時代のガラスでは底面に「Orrefors」のロゴと作品番号、そして「OA」の刻印が見られます。

ロールストランド作品の見分け方

ロールストランドの陶器には三冠(Tre Kronor)のスタンプとシリーズ名が刻印されます。サレク、フォルマ、アストラル、カヴァルカードなど、シリーズ名が底面に明記されている場合が多く、加えて「OA」のイニシャルが添えられていれば、アルベリウス作品と判別できます。

オレフォース作品の見分け方

オレフォースのガラスには、底面に「Orrefors」のサインと作品番号が刻印されます。アリエル、グラールの一点物にはさらに作品番号、技法名、デザイナーのイニシャルが手書きで彫られます。アルベリウスの一点物は通常「Orrefors Ariel No. xxxxx OA」の形式で刻まれています。

オレフォース村の風景
オレフォース村の風景。スウェーデン南東部スモーランドの「ガラスの王国」の中心地として、120年以上の歴史を刻んできた。
Photo: Holger.Ellgaard, CC BY-SA 4.0

まとめ——スモーランドに還った職人

オッレ・アルベリウスは、1926年にスモーランドのイェンショーピングに生まれ、1993年にスモーランドのオレフォースで没しました。生涯の出発点と終着点が同じ地方に重なる経歴でした。

彼の業績は、陶の作品とガラスという二つの素材を、それぞれの素材が持つ最良の表情で扱えた稀有なデザイナーだったという点にあります。ロールストランドの8年間で釉薬と土の質感を、オレフォースの22年間でガラスの透明性と気泡の銀色を、それぞれ追求しました。スティグ・リンドベリやマリアンヌ・ウェストマンのように一つのブランドで生涯を貫いた巨匠とは異なる、二つの工房を経験した「素材の翻訳家」としての足跡だといえます。

ヴィンテージ市場では、サレクやフォルマ、カヴァルカードの陶器、エリックのガラスなど、量産品としてまとまった数が流通してきました。一点物のアートグラスは美術品としての価値が高く、欧州のオークションで取引が続いています。

この記事の要点

  • オッレ・アルベリウス(1926–1993)は、ロールストランドとオレフォースの双方で活躍したスウェーデンのデザイナーです。
  • 1957–1965年にシューコ、1963–1971年にロールストランド、1971–1993年にオレフォースで活動しました。
  • ロールストランド時代の代表作はサレク、ティトゥス、ルンメル(装飾陶器)、フォルマ、アストラル、タッフェル(テーブルウェア)、カヴァルカード(壁掛け陶板)です。
  • オレフォース時代はエリック(1974)、ヴィクトリア(1978)といったテーブルウェアと、アリエル/グラール技法の一点物アートグラスを残しました。
  • サインはイニシャル「OA」です。スウェーデン国立美術館に作品が収蔵されています。

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