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Gustavsberg

スティグ・リンドベリ Gスタジオ ファイアンス焼きの大きな飾り皿 インゲ・クリンク 1950年代

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リンドベリのGスタジオから生まれた 古代技法ファイアンス焼きの逸品

スウェーデンの名窯グスタフスベリのアトリエで1950年代に職人の手によって製作された一点ものの作品です。

グスタフスベリ社には量販品を生産するラインとは別にGスタジオと呼ばれる、スティグ・リンドベリやリサ・ラーソンなど著名なデザイナーがアート作品を制作した部門がありました。本作はストックホルム郊外のアトリエで製作されたファイアンス焼きの飾り皿です。

お皿のフォルムをデザインしたのはスティグ・リンドベリです。リンドベリは北欧モダンの黄金期である20世紀中頃のミッドセンチュリーという芸術運動の旗手として知られている、スウェーデンを代表するデザインの巨匠です。

ミッドセンチュリーは、それまでの伝統的で汎ヨーロッパ的な焼き物文化から独立し、北欧独自のアイデンティティが目覚めた時代でした。すでにボーンチャイナを始めとするヨーロッパ画一的な陶磁器の製造法が確立していましたが、本作はあえて時代の潮流に反してファイアンス焼きという手法を採用しています。

ファイアンス焼きとは、赤土で形成した器を乾燥させて錫釉と呼ばれる白の釉薬にどぶ漬けしてコーティングをほどこす制作法です。ファイアンスは古代エジプトで考案された手法で、世界で最も古い製陶方法の一つです。そして、白いファイアンスの釉薬を全面につけたのっぺりとした表面に、本作は絵筆で細かいペインティングを施しています。無地の焼き物を焼く工程と、無地の焼き物に絵付けして色を定着させるために、2回に分けて窯入れをして焼かれた手の込みようです。

プレート背面にはグスタフスベリのGスタジオで制作されたことを示すGのハンドサインがあります。

中央付近にある75とはフォルムを指定した数字です。同じく中央にある赤字の傘やきのこのようなマークは絵付けを担当したペインターのサインとなります。インゲ・クリンクのサインです。1950年代にグスタフスベリに在籍した女流の絵付け師です。当時のGスタジオには40人ほどの絵付け師が在籍しており、品質管理のために全員が独自の署名をしています。

ファイアンスは釉薬の表情が繊細で、欠けやすい縁が完好で残る個体は貴重です。30cmを越える大ぶりなもので、釉薬の乳白色がしっとりと美しく、インテリアとして存在感があり、北欧芸術を伝えるアンティークとしても価値が高いものです。

当時のGスタジオの制作風景を伝える映像が残っています。左手の丸メガネをかけている男性がミッドセンチュリーの旗手スティグ・リンドベリです。右側にいるのは師でありグスタフスベリの当時のアートディレクターを務めていた巨匠ウィルヘルム・コーゲです。


リンドベリはこのようにアトリエで作陶を試行錯誤しながら、専属のペインターたちに絵付けを指導していました。本作はリンドベリの手が触れた作品です。栄光の時代の北欧芸術にふれる機会をぜひお楽しみください。

アトリエのスティグ・リンドベリ

グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

グスタフスベリ磁器工場と港の風景
ストックホルム群島ヴェルムド島に位置するグスタフスベリ工場

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

スティグ・リンドベリ グスタフスベリ工場にて
グスタフスベリのアートディレクター、スティグ・リンドベリ(1916–1982)

黄金時代を築いた巨匠たち

1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。

1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

グスタフスベリ工場での手描き装飾作業
グスタフスベリ工場の装飾部門でコーヒーカップに絵付けをする職人

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。

ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリのロゴの歴史 1825年から1993年までのバックスタンプの変遷
グスタフスベリのバックスタンプの変遷(1825–1993年) 出典:Jane Fredlund, Stora antikboken, 2021

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。


■詳細スペック

  • メーカー:Gustavsberg/ グスタフスベリ
  • デザイナー:Stig Lindberg/ スティグ・リンドベリ
  • 年代:1950年代
  • サイズ:縦幅33cm 横幅26cm 高さ3.5cm

■コンディション:★★★★★(5:完品)

製造時の姿をそのまま留めた完品です。極めて良好なコンディションのデッドストック品で、割れ欠けがなく市場で入手可能なアトリエ作品のなかでもトップコンディションの完品となります。


■関連コレクション

グスタフスベリのファイアンス焼き完全ガイド|花咲く錫釉陶器の世界

グスタフスベリ完全ガイド — 偽物の見分け方

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グスタフスベリ

グスタフスベリ

グスタフスベリは1825年に創業したスウェーデンの老舗陶器メーカーです。同社の歴史についてはこちらの記事をどうぞ 同社はバスタブなどの住宅設備などを制作していましたが、19世紀後半から芸術的な陶磁器製作に力を入れ、その名が広く知られるようになりました。自然や民間伝承をモチーフにした素朴で美しいデザインでも知られ、20世紀の北欧デザインを牽引したメーカーです。

リサ・ラーソンスティグ・リンドベリなどの優れたアーティストも数多く輩出し、北欧の20世紀中期の芸術運動の「ミッドセンチュリー」の中心的な存在でした。現在でも高い芸術性と技術力、そして北欧の風土を感じさせる独特なデザインが高く評価されています。

当店のグスタフスベリのコレクションはこちらからどうぞ

グスタフスベリ完全ガイド — 偽物の見分け方

スティグ・リンドベリ(Stig Lindberg)

スティグ・リンドベリ

スティグ・リンドベリ(Stig Lindberg,1916〜1982年)

北部スウェーデンの中心都市ウーメオー(Umeå)の生まれ。ストックホルムの美術大学コンストファック(Konstfack)で絵画を学んだのち、1937年にグスタフスベリ社に入社。師であるウィルヘルム・コーゲの薫陶を受けながら徐々に頭角を現し、1949年にはコーゲの跡を継いでアートディレクターに就任しました。

代表的なシリーズ

リンドベリは驚くほど多作なデザイナーでした。日用食器の「ベルサ(Berså)」は緑の葉をあしらった明るいデザインで、スウェーデンの家庭で広く親しまれました。ほかにもプラムの実をあしらった「プルーヌス(Prunus)」、幾何学模様の「スピサ・リブ(Spisa Ribb)」や「ドミノ(Domino)」、自然の形をユーモラスに捉えた「ファイアンス(faience)」のオブジェ群など、多様なスタイルを生み出しています。

陶磁器を超えた創作

リンドベリの才能は陶磁器の領域にとどまりませんでした。テキスタイル、琺瑯(ほうろう)鍋のデザイン、絵本の挿絵、インダストリアルデザインなど幅広い分野で活躍。1954年のミラノ・トリエンナーレではグランプリを受賞し、国際的にも高く評価されました。

Gスタジオと後進の育成

リンドベリが率いたG-Studion(Gスタジオ)はグスタフスベリ社内の芸術工房で、若手デザイナーたちが自由に腕をふるう創作の場でした。リサ・ラーソンをはじめとする後の著名アーティストがここから巣立っており、リンドベリの功績はデザイナー個人としての作品だけでなく、北欧デザインの次世代を育てたことにもあります。

コレクターズノート

リンドベリが活躍した1950〜60年代のグスタフスベリは黄金期を迎えており、この時代の作品は「ミッドセンチュリー北欧デザイン」の代名詞として、世界中のコレクターから高い評価を受けています。

スティグ・リンドベリの作品一覧はこちらからどうぞ

ベルサ完全ガイド — 歴史・復刻版との見分け方

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