
スウェーデンの国民的作家が生んだ 手のひらに宿る北欧の物語
リサ・ラーソンがグスタフスベリ社で1977年にデザインしたリンゴの木の下に揃う夫婦の陶板です。グスタフスベリには量販品を生産するラインとは別にGスタジオ(G-Studion)と呼ばれるスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンなど著名なデザイナーがアート作品を制作した部門がありました。こちらはそのアトリエで作られた作品となります。一点一点が手作りによるもので、背面にはリサ・ラーソンの名前を冠したバックスタンプが刻印されています。
リンゴの木の陶板には三種類あり、新婚時代、壮年時代、老年時代が制作されています。それぞれ描かれている夫婦は同じですがリンゴの木の下で徐々に年齢を重ねていく夫婦像が描写されています。りんごの色も年齢に従って、青、黄色、真紅へと変化していきます。こちらの陶板は壮年時代のものとなります。
リサ・ラーソンの陶板は厚みがあるものでも基本的には平たい描写が多いですが、珍しく立体感が際立つ陶板です。三つ揃えで胸を張る夫の威厳と手をお行儀よく合わせる妻の貞淑さが表現されており、夫婦愛が感じられるハートフルな作品となります。かなり大きなもので縦幅は30cm超あります。背面にはリサ・ラーソンのハンドサインが施されており、本品の検品が行われたことを示しています。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
- 年代:1977年
■コンディション:★★★★★(5:完品)
特筆するダメージがなく退色も見られないためデッドストック品のコンディションとなります。なお背面の素焼きにある複数の丸い跡は汚れではなく、製造時の支柱の跡となります。素焼き部に火が回るように炉内で底部を浮かせるための支柱が当たるため色変化が生じます。本体右下隅の凹みが見られますが、表面から金色の釉薬がかかっている傷ではなく製造工程によるものとなります。