スウェーデンの名窯が生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンを代表する老舗陶器メーカーのグスタフスベリで1962年にデザインされたピンタ(Pynta)シリーズのケーキ皿です。ピンタとは「装飾」や「飾り付け」を意味するスウェーデン語です。表面には樹木、ラディッシュ、ワインボトル、鉛筆が描かれています。
ピンタはわずか3年間しか制作されなかったシリーズで、グスタフスベリの陶器作品のなかでもレアなアイテムとなります。基本的なフォルムはミッドセンチュリーと呼ばれる20世紀中期にデザインされた「LLモデル」を基本としています。LLモデルとは無地の陶器の原型の名称で、グスタフスベリの名作ベルサやプルーヌスなどは表面の転写紙の種類を変えることで生み出されています。
ピンタも他作品と同様にボウルやプレートやピッチャーなどLLモデルを基本とする一連の食器シリーズが展開されました。しかしピンタには表面の鮮やかなデザインの色が抜けやすいという欠点がありました。とくに赤色がかすれることが多く、製品の売りである色彩を長く保つことが出来ませんでした。こうした背景から短期間で終売になったと考えられます。現代に残るピンタシリーズも色抜けが見られる物が多く、状態が良いものはほとんど残っていません。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
- シリーズ名:Pynta / ピンタ
- 年代:1962〜1965年
- 生産国:スウェーデン
- サイズ:直径17.8cm 高さ1.5cm
■コンディション:★★★★☆(4:美品)
プレート表面は光に透かすと全体的に薄くカトラリー跡が見られます。ピンタ特有のペイント薄れが見られず、絵柄がはっきりと残っている美品のコンディションです。スプーンの絵の右側に釉薬の凹みが見られます。









