フィンランドの名窯ARABIAが生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
タイカに描かれた目玉のような文様はフィンランドの森に育つ野生のホワイトベリーをモチーフにしています。ホワイトベリーは別名スノーベリーやマルベリーとも呼ばれる冬の果実で、手積みされた後はすりつぶしてジャムなどに使われます。踊るような筆致で描かれたデザインはまるで果実が生命を宿しているかのようです。タイカ=魔法とはその躍動感を表した言葉なのではないでしょうか。ヴィンテージのティーポットではストレーナー(茶こし)がないことが多いため、付属物がすべて揃っている状態の良いものです。
■詳細
メーカー:ARABIA / アラビア
デザイナー:Anja Jaatinen Winquist / アンヤ・ヤーティネン・ウィンクヴィスト
年代:1975~1981年
コンディション:★★★★☆(4.5:極美品)
使用感のない完品です。割れ欠け等がなく全体的に色ツヤも優れたトップコンディションです。
■サイズ
高さ:14cm(フタ含む)
幅:26cm(注ぎ口含む)
底面直径:15.5cm
■アンヤ・ヤーティネン・ウィンクヴィスト(Anja Jaatinen Winquist,1934年〜)
ロシア連邦カレリヤ共和国ソルタヴァラの出身。1955年にフィンランドに渡り、アラビア社の装飾部門で絵付けを担当していたアウネ・シーメス(Aune Siimes)の助手を5年間務める。その後1974年までアラビア社のデザイン部門に在籍する。最もよく知られる作品はウラ・プロコッペとのKareliaやTaikaシリーズで、後者は夫のペテル・ウィンクヴィスト(Peter Winquist)との共作となっている。彼女の作風は線的なデザインに原色に近い色合いを付与する点に特徴がある。
■関連コレクション
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯

1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。1949年にはARABIAのクラウンマーク(王冠のバックスタンプ)もデザインしています。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。

このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
- 1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入された122mのトンネル窯を表現したデザイン。
- 1949年〜現在:カイ・フランクがデザインしたクラウンマーク(王冠)。月桂樹の輪を逆さにして王冠に見立てた斬新なデザイン。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
- 生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
- 2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。
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