クラウス・ハーパニエミ(Klaus Haapaniemi)

クラウス・ハーパニエミ完全ガイド|タイカを生んだフィンランドの民話的デザイナー

この記事の要点

  • クラウス・ハーパニエミ(Klaus Haapaniemi)は1970年ヘルシンキ生まれのフィンランドのイラストレーター/デザイナー。タンペレ近郊の湖水地方で育ち、ラハティ・デザイン研究所でグラフィックデザインを学んだ
  • 2007年にイッタラから発表されたタイカ(Taika)――「魔法」を意味するフィンランド語――は、ハーパニエミの民話的な絵柄と、ヘイッキ・オルヴォラがデザインした器形が融合したシリーズ
  • 2015年にフィンランド国立歌劇場でヤナーチェク作「利口な女狐の物語」の舞台美術を手掛け、その世界観を発展させたタンスィ(Tanssi)コレクションがイッタラから登場した
  • 2008年フィンランド・デザイナー・オブ・ザ・イヤー、2018年フィンランド国家デザイン賞を受賞。2010年に妻ミア・ヴァレニウスと自身のブランド Klaus Haapaniemi & Co. を設立した

目次

  1. 民話と現代を縫い合わせる人
  2. 1970年、ヘルシンキに生まれて
    1. タンペレ近郊の湖水地方で過ごした幼少期
    2. ラハティ・デザイン研究所での学び
  3. 国際的な活動の起点――ファッションとイラストレーション
  4. タイカ(Taika)――「魔法」と名づけられた食器
    1. 2007年、フィンランド民話を現代に
    2. ヘイッキ・オルヴォラとの共作――器の形を彫る人
    3. 登場するモチーフ――フクロウ・キツネ・木々
    4. タイカは廃盤?現行品・旧仕様・限定品の違い
  5. 「利口な女狐の物語」とタンスィ(Tanssi)コレクション
    1. 2015年、フィンランド国立歌劇場の舞台美術
    2. オペラから生まれたシリーズ
  6. 受賞と独立――Klaus Haapaniemi & Co.
    1. 2008年、フィンランド・デザイナー・オブ・ザ・イヤー
    2. 2010年、自身のブランドを設立
    3. 2018年、フィンランド国家デザイン賞
  7. 民話と現代――なぜ日本の読者の心にも届くのか
  8. まとめ

民話と現代を縫い合わせる人

フィンランド南部の夏の森
フィンランド南部の夏の森。針葉樹と白樺が交じり合う深い緑の中で、フクロウやキツネが暮らしている

Photo: Wikimedia Commons / Tiia Monto / CC BY-SA 3.0

フィンランドの森には、いまも民話の気配が漂っています。フクロウは木の上で人間を見下ろし、キツネは藪の中を駆け抜け、白樺の幹には精霊が宿るとされる――こうした森の物語を、21世紀の食器に描き込んだフィンランド人デザイナーがいます。クラウス・ハーパニエミ(Klaus Haapaniemi、1970年生)です。

彼が2007年にイッタラから発表したタイカ(Taika)――フィンランド語で「魔法」を意味する――は、フクロウや木々、夜の森をモチーフにした絵柄が器を覆う、それまでの北欧モダンとはまったく異なるシリーズでした。発表から既に20年近くが経ちますが、コレクターの間で評価されています。

本記事では、ハーパニエミの生い立ちから、タイカの誕生、フィンランド国立歌劇場の舞台美術を経て生まれたタンスィ(Tanssi)コレクション、そして自身のブランド設立までをたどっていきます。

1970年、ヘルシンキに生まれて

クラウス・ハーパニエミ(Klaus Haapaniemi)
クラウス・ハーパニエミ。フィンランドの森を背景に立つ近影。民話的な装飾世界の作り手は、自然のなかで写真におさまることを好む(Photo: Klaus Haapaniemi & Co.)
ヘルシンキ大聖堂
ヘルシンキ大聖堂。ハーパニエミは1970年、フィンランドの首都ヘルシンキで生まれた

Photo: Wikimedia Commons / Marko Stahlhofen / CC BY-SA 3.0

クラウス・ハーパニエミは1970年、フィンランドの首都ヘルシンキで生まれました。彼が幼少期を過ごしたのはヘルシンキではなく、フィンランド第二の都市タンペレに近い湖水地方(Great Lakes region)でした。森と湖に囲まれた環境で育ったことが、後年のフォークロア的なモチーフ選びに繋がっています。

タンペレ近郊の湖水地方で過ごした幼少期

タンペレのピュハ湖
タンペレのピュハ湖(Pyhäjärvi)。ハーパニエミが育った湖水地方は、白夜の夏と凍てつく冬が交互に訪れる

Photo: Wikimedia Commons / Pekka Lehtonen / CC BY-SA 3.0

タンペレはフィンランド南部最大の内陸都市で、ナシ湖(Näsijärvi)とピュハ湖(Pyhäjärvi)という二つの大きな湖に挟まれています。19世紀には繊維工業の中心地として「フィンランドのマンチェスター」と呼ばれ、現在は文化と教育の街として知られています。

タンペレの空撮
タンペレの空撮。二つの湖の間に挟まれた内陸都市で、湖と森が街のすぐ外まで広がる

Photo: Wikimedia Commons / Lentokuva Vallas Oy / CC BY-SA 4.0

こうした湖と森の風景は、後にハーパニエミが描く絵柄の中で繰り返し姿を現します。深い針葉樹の森、白樺の林、湖面に映る月、その中をすり抜けていく動物たち――タイカの食器に描かれている世界は、フィンランド人にとって「身近な民話の風景」と重なります。

ラハティ・デザイン研究所での学び

ラハティのシベリウスホールとヴェシ湖
ラハティのシベリウスホールとヴェシ湖(Vesijärvi)。湖畔の木造建築が、北欧建築の現代的な姿を伝える

Photo: Wikimedia Commons / Tiia Monto / CC BY-SA 4.0

ハーパニエミはラハティ・デザイン研究所(Lahden muotoiluinstituutti、英語名 Lahti Institute of Design)でグラフィックデザインを学びました。ラハティはヘルシンキの北約100km、ヴェシ湖のほとりに広がる中規模都市で、スポーツ(特にウィンタースポーツ)と音楽の街として知られています。

ラハティ市街
ラハティ市街。ハーパニエミが学んだラハティ・デザイン研究所は、現在LAB応用科学大学のデザイン研究所として続いている

Photo: Wikimedia Commons / Sami Saarenpää / CC BY-SA 4.0

ラハティ・デザイン研究所の起源は1899年に設立された工芸学校までさかのぼります。1989年に現在の名称になり、現在はLAB応用科学大学(LAB University of Applied Sciences)のデザイン・芸術研究所として存続しています。フィンランドのデザイン教育機関の中で、もっとも多くの学士課程の学生を抱える大規模な学校です。

ハーパニエミがここで学んだのはグラフィックデザイン――つまり、立体物のデザインではなく、平面に描かれる絵柄の構成と表現の技術です。後にイッタラの食器を「装飾する人」として迎えられた背景には、この出自があります。彼の役割は器の形状を考えることではなく、その表面を物語で覆うことだったのです。

国際的な活動の起点――ファッションとイラストレーション

フィンランドの民俗刺繍を描いた切手
カレリア刺繍を描いた1985年のフィンランド切手。動物と植物が絡み合うフォークロア的な装飾は、ハーパニエミの作風にも通じる

Photo: Wikimedia Commons / Posti / Public domain

ハーパニエミは卒業後、ロンドンに拠点を移し、イラストレーターとして国際的に活動を始めました。彼が描くプリント柄は、ディーゼル(Diesel)、リーバイス(Levi's)、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)といったファッションブランドにも採用され、世界的なトレンド分析サービスのWGSNから「イラストレーションとデザインの分野でもっとも重要な新進気鋭のひとり」として注目を集めました。

ファッション業界での経験は、後の食器デザインにも繋がっています。テキスタイルのプリントを設計する感覚――同じ柄が連続して目に飛び込んでくる時の心地よさ、密度のバランス、色の組み合わせ――は、皿の縁を一周する装飾を考えるときにも生きました。

タイカ(Taika)――「魔法」と名づけられた食器

2007年、フィンランド民話を現代に

アラビアのタイカ ティーポット
タイカのティーポット。器の表面いっぱいに、フクロウと木々の世界が広がる

Photo: Wikimedia Commons / Janne Räkköläinen / CC BY-SA 4.0

2007年、イッタラからタイカ(Taika)コレクションが発表されました。「タイカ」とはフィンランド語で「魔法」を意味します。器の表面には、フクロウや木々、月、夜の森といった、フィンランドの民話を思わせるモチーフがびっしりと描き込まれていました。

当時の北欧食器デザインの主流は、カイ・フランクやシモ・ヘイッキラに代表される「無装飾の機能美」――白磁にロゴだけ、あるいはシンプルな模様だけ――というモダニズムでした。タイカはその真逆を行く食器です。器の表面はほとんど余白がないほどに装飾で覆われ、青や紫、黒といった深い色彩が使われました。

ヘイッキ・オルヴォラとの共作――器の形を彫る人

ヘイッキ・オルヴォラ
ヘイッキ・オルヴォラ。1972年からヌータヤルヴィで仕事を始め、Kiviキャンドルホルダーやティーマの色などで知られる

Photo: Wikimedia Commons / Bahrumsyahdani / CC BY-SA 4.0

タイカは、ハーパニエミひとりの作品ではありません。器の形(フォルム)を担当したのはヘイッキ・オルヴォラ(Heikki Orvola、1943年生)です。オルヴォラはイッタラのKivi(キヴィ)キャンドルホルダーやティーマ(Teema)の追加色など、フィンランドガラス・陶磁器デザインの長い歴史を持つベテランです。

イッタラのKivi キャンドルホルダー
ヘイッキ・オルヴォラがデザインしたKivi(キヴィ)キャンドルホルダー。シンプルな円柱形は、後にタイカの器形にも応用された

Photo: Wikimedia Commons / Public domain

オルヴォラがタイカで担当したのは、装飾を支える「キャンバスとしての器」です。プレートはシンプルな円形、カップは無駄のないシリンダーやチューリップ形――ハーパニエミの濃密な絵柄を引き立てるために、形そのものは限りなく静謐に保たれました。

「装飾家」と「フォルムデザイナー」が分業する形は、北欧陶磁器の伝統的な体制でもあります。古くはアラビアでバックグラウンドのフォルムをカイ・フランクが担当し、表面の絵付けをエステリ・トムラやライヤ・ウオシッキネンが担当した時代から続いてきた仕組みです。タイカもまた、この分業の系譜に連なっています。

登場するモチーフ――フクロウ・キツネ・木々

ユーラシアワシミミズク
ユーラシアワシミミズク(Bubo bubo)。フィンランドの森に実在する大型のフクロウで、タイカの主要なモチーフとなった

Photo: Wikimedia Commons / Frank Vassen / CC BY-SA 4.0

タイカに登場するモチーフは、フィンランドの森に実在する動物たちですが、それぞれが民話の登場人物としての役割を持っています。代表的なのが、ユーラシアワシミミズク(Bubo bubo、フィンランド語で huuhkaja)――フィンランド最大級のフクロウです。森の長老、夜の観察者、静けさと知恵の象徴として、カップやマグの正面を堂々と飾ります。

雪原のキツネ
雪原を歩くアカギツネ。北欧の民話には知恵者としてキツネがしばしば登場する

Photo: Wikimedia Commons / Frida Hermansson / CC BY-SA 4.0

キツネ(kettu)も重要な登場人物です。北欧の民話においてキツネは知恵者であり、境界をすり抜ける存在として描かれてきました。森の長老的なフクロウと対をなしながら、タイカの世界を縦横に駆け抜けます。

マラ自然保護区の白樺林
フィンランド・ラップランドのマラ自然保護区にある白樺林。タイカの背景を埋める木々はこうした北欧の森から来ている

Photo: Wikimedia Commons / Ximonic / CC0

そして動物たちの背景に広がるのが、白樺と針葉樹の森です。木々はただの背景ではなく、動物たちを包む舞台そのもの。月明かりの夜、葉を落とした枝のシルエット、霧の中をすり抜ける動物たち――皿の縁を埋め尽くすように描かれた風景は、夜と夢と魔法の時間を演出する装置でもあります。

タイカは廃盤?現行品・旧仕様・限定品の違い

「タイカ 廃盤」というキーワードで検索する人が多くいますが、実際にはタイカ全体が廃盤になったわけではありません。タイカは発表から既に20年近くが経過しており、その間に特定のサイズ・色・アイテム、当初のARABIA表記時代の旧仕様などが順次製造を終えてきました。「自分が探しているあのアイテム」が現行品で見つからないため「廃盤」と感じられるケースが多くあります。

たとえば、ARABIA表記の旧仕様や、現在は流通していない色・サイズのカップ、当時のみ展開されたペアセットなどは、ヴィンテージ市場でしか出会えません。バックスタンプの違い、底面のロゴ、ボックスデザインによって時代が判別できます。コレクターにとっては、こうした旧仕様こそが価値の中心になります。

2022年にはタイカ発表15周年を記念して、ハーパニエミが新たに暗色系のリミテッドエディションを発表しました。マグ、ミニマグ、ストレージボックスといった限定アイテムが約1年間販売され、コレクションそのものは形を変えながら続いています。

「利口な女狐の物語」とタンスィ(Tanssi)コレクション

2015年、フィンランド国立歌劇場の舞台美術

フィンランド国立歌劇場
ヘルシンキにあるフィンランド国立歌劇場。2015年1月、ここでハーパニエミの舞台美術によるオペラが上演された

Photo: Wikimedia Commons / Mahlum / CC BY-SA 4.0

2015年1月、ヘルシンキのフィンランド国立歌劇場(Suomen Kansallisooppera)で、チェコの作曲家レオシュ・ヤナーチェクの代表作「利口な女狐の物語」(チェコ語: Příhody lišky Bystroušky、英語: The Cunning Little Vixen)が上演されました。森の中で生きる雌のキツネを主人公にした、自然と生命のサイクルを描く20世紀オペラの傑作です。

この上演でハーパニエミはオペラの舞台美術と衣装デザインを手掛けました。彼にとって舞台美術は初めての挑戦でしたが、森とそこに暮らす動物たちというテーマは、すでにタイカで描いてきた世界そのものでした。

オペラから生まれたシリーズ

北欧の森のキツネ
スウェーデン北部ラウタスの森のアカギツネ。「利口な女狐の物語」の主人公は、こうした森のキツネだった

Photo: Wikimedia Commons / Per Harald Olsen / CC BY-SA 4.0

オペラのために描かれたキツネ、雌狐、雄鶏、アナグマといったキャラクターは、その後、タンスィ(Tanssi)コレクションとしてイッタラから発表されました。タンスィとはフィンランド語で「ダンス」を意味します。器形はタイカと同じくヘイッキ・オルヴォラが担当し、絵付けはハーパニエミです。タイカが「夜の魔法」だとすれば、タンスィは「動物たちが踊る舞台」と言えます。

陶磁器だけでなくテキスタイル製品も同シリーズで展開され、ハーパニエミの世界観が食卓と居室の両方を巡る構成になりました。タンスィは現在のイッタラのコレクションでも展開されています。

受賞と独立――Klaus Haapaniemi & Co.

2008年、フィンランド・デザイナー・オブ・ザ・イヤー

1968年のイッタラ・ガラス工場
1968年のイッタラ村のガラス工場。タイカと同じくイッタラから発表されたフィンランドガラスの長い歴史の中に、ハーパニエミの絵柄が加わった

Photo: Wikimedia Commons / UA Saarinen / CC0

タイカが発表された翌年の2008年、ハーパニエミはフィンランド・デザイナー・オブ・ザ・イヤー(Designer of the Year)に選ばれました。フィンランドのデザイン界において、その年もっとも注目されたデザイナーに贈られる栄誉です。タイカの新鮮さと、これまでの北欧モダニズムの文脈を覆す装飾の復権が高く評価されました。

2010年、自身のブランドを設立

ハットゥラの聖十字架教会
ハットゥラの聖十字架教会(14世紀末)。中世フィンランドの教会装飾は、ハーパニエミ作品にも通じる物語性をもつ

Photo: Wikimedia Commons / Estormiz / CC BY-SA 4.0

2010年、ハーパニエミは妻ミア・ヴァレニウス(Mia Wallenius)とともに、自身のブランド Klaus Haapaniemi & Co. を設立しました。クッション、壁紙、ファブリック、テーブルウェアなど、ハイクオリティのインテリア製品を展開する小規模なブランドです。

このブランドの製品には、フィンランド民話だけでなく、ロシア正教のイコン、東欧のフォークアート、中世ヨーロッパの装飾写本といった、より広い文脈の意匠も取り入れられています。「フィンランドのフォークロア」を一つの起点としつつ、ヨーロッパの装飾芸術全体に関心を広げていく姿勢がうかがえます。

2018年、フィンランド国家デザイン賞

ポホヨラの結婚(1894年)
レオポルト・メヘリン編1894年の書物に挿入された「ポホヨラの結婚」――フィンランドの国民叙事詩カレヴァラの一場面。ハーパニエミの作風はこうした民俗的な物語の系譜にも連なる

Photo: Wikimedia Commons / Public domain

2018年、ハーパニエミはフィンランド国家デザイン賞(Finnish State Prize for Design)を受賞しました。フィンランド政府が芸術・デザイン分野の優れた業績に対して授与する、国家の最高ランクの賞のひとつです。

長年ロンドンを拠点としてきましたが、近年はベルリンとタンペレを行き来しながら活動を続けています。20代でフィンランドを離れ国際的な舞台で活動した後、再びフィンランドの森と湖の風景に戻ってきた、という構図がそこにあります。

民話と現代――なぜ日本の読者の心にも届くのか

ケウルーのフィンランド式サマーコテージ
中部フィンランド・ケウルーの湖畔に建つ伝統的なサマーコテージ。森と湖と人の生活が交わる場所

Photo: Wikimedia Commons / Kallerna / CC BY-SA 3.0

フィンランドの森にフクロウとキツネが暮らしているように、日本の民話にも狐と鳥たちが登場します。動物が知恵を持ち、森が物語を語り、夜が魔法の時間になる――こうした感覚は、フィンランドと日本の民話文化に共通しています。

北欧モダニズムの食器が「無装飾の機能美」を追求してきた一方で、ハーパニエミのタイカは「装飾の中に物語を詰め込む」アプローチを取りました。日本の伝統的な工芸でも、伊万里や有田の磁器は花や鳥や物語を器の上に描いてきました。タイカの濃密な絵柄に親しみを覚える日本の読者が多いのは、こうした装飾文化の系譜が背景にあるからです。

ヨセフ・アラネン「ポホヨラの饗宴」
ヨセフ・アラネン「ポホヨラの饗宴」(1910–1911)。フィンランドの国民叙事詩カレヴァラを題材にした絵画

Photo: Wikimedia Commons / Public domain

フィンランドが生んだ民話の世界が、20世紀北欧モダニズムの厳格な機能美を経て、21世紀に再び器の表面に物語として戻ってきた――その橋渡しを担ったのが、クラウス・ハーパニエミでした。

無装飾のミッドセンチュリー北欧デザインを愛する人だけでなく、物語性のある器、絵画のような装飾を楽しみたい人にも、タイカは響きます。棚に飾れば壁面に小さな森が立ち上がり、テーブルに置けば民話の場面がそこに広がる――インテリアとしての存在感を持つシリーズです。

まとめ

クラウス・ハーパニエミの歩み

  • 1970年:フィンランド・ヘルシンキに生まれ、タンペレ近郊の湖水地方で幼少期を過ごす
  • ラハティ・デザイン研究所でグラフィックデザインを学ぶ
  • ロンドンを拠点に、ディーゼル・リーバイス・ドルチェ&ガッバーナ等のプリントを手掛ける
  • 2007年:イッタラからタイカ(Taika)コレクション発表。器形はヘイッキ・オルヴォラ
  • 2008年:フィンランド・デザイナー・オブ・ザ・イヤー受賞
  • 2010年:妻ミア・ヴァレニウスと自身のブランド Klaus Haapaniemi & Co. を設立
  • 2015年:フィンランド国立歌劇場「利口な女狐の物語」舞台美術。これを発展させたタンスィ(Tanssi)がイッタラから登場
  • 2018年:フィンランド国家デザイン賞受賞
  • 2022年:タイカ15周年記念のリミテッドエディションを発表

北欧食器に「装飾の物語」を取り戻したクラウス・ハーパニエミ。フィンランドの森と民話を、21世紀の食器の表面で甦らせた仕事は、コレクターの間で長く評価されています。

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タイカは、器でありながら小さな絵画のように楽しめるシリーズです。ティーポットやカップを棚に置くだけでも、フィンランドの森の物語が空間に立ち上がります。当店では、ARABIA表記時代のタイカや、同時代のイッタラ/アラビア作品を取り扱っています。

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