フィンランドの名窯ARABIAが生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
| ■詳細 |
| メーカー:ARABIA / アラビア |
| フォルムデザイン:Kaj Franck / カイ・フランク |
| パターンデザイン:Ulla Procope / ウラ・プロコッペ |
| 製造国:フィンランド |
| 年代:1960年代 |
|
コンディション:★★★★☆(4:美品) ソーサーは光に透かすとわずかにスレが見られます。カップは軽微な保存上のスレがわずかに見られますが、未使用品に近いコンディションです。カップ&ソーサーともに割れ欠け貫入がなく制作された状態をそのまま留めた美品のコンディションです。 |
| ■サイズ |
|
カップ直径8.7cm 高さ6cm ソーサー直径14.5cm |
フィンランドを代表する陶器メーカーARABIA社で1960年代に制作された幻のカップ「サンバ」です。1960年前後にデザインされたものですが、ほとんど生産されなかったもので現代に残っている数が非常に少ない希少なカップです。アラビア食器のなかでも一際希少性が高いコレクターズアイテムです。
シリーズ名のサンバはブラジル発祥の踊りのサンバです。ソーサーはサンバの姉妹モデルの「フィエスタ」と同様のパターンです。フィエスタよりも小柄なコーヒーカップサイズで、踊るような筆致で描かれたコバルトブルーの花柄がとても印象的な逸品です。
フォルムデザインを担当したのはフィンランド・デザインの近代化を推し進めた巨匠カイ・フランクです。BAモデルと呼ばれるフォルムで、現在でも生産が続く名作ティーマ(Teema)と同様の形です。
パターンデザインを担当したウラ・プロコッペは、名作バレンシア、フィエスタの生みの親です。このサンバシリーズでもバレンシアなどと同様にコバルトブルーのみを用いて単色で食器をデザインしています。ラテン語圏の情熱的な名前を冠しながら、赤や黄色ではなくあえて濃いコバルトブルーで装飾をした点に作品としての面白さがあります。
本作はおそらく1959〜1962年ごろにデザインされたものです。同様にコバルトブルーの装飾を施したバレンシアが1960年、姉妹作のフィエスタが1960年の作品のため、その前後の年にデザインされたもと考えられます。
サンバがほとんど製作されなかった理由は定かではありませんが、ARABIAのハンドペイントカップのなかでサンバは最も小ぶりな器です。当時のARABIA製品の小サイズのカップは転写紙を貼り付けたものや銅版転写で装飾を施したものがほとんどで、小さい器に手彩色のペイントを行う手法は一般的ではありませんでした。当時のハンドペイント作品はカップは大サイズで、プレートは最低でも直径20cmはある取り回しやすいものに限られています。こうした背景から小柄なサンバは量産がしにくく、生産体制のなかに組み入れられなかったのではないかと思います。
そのため1960年代に製作されたARABIA作品のなかでサンバは群を抜いて希少性が高いものとなっています。この機会にぜひご覧ください。
■関連コレクション
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯

1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。1949年にはARABIAのクラウンマーク(王冠のバックスタンプ)もデザインしています。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。

このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
- 1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入された122mのトンネル窯を表現したデザイン。
- 1949年〜現在:カイ・フランクがデザインしたクラウンマーク(王冠)。月桂樹の輪を逆さにして王冠に見立てた斬新なデザイン。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
- 生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
- 2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。










