ビング・オー・グレンダール シーガル カップ・ソーサー・プレート

デンマークとノルウェーの北欧ヴィンテージ食器完全ガイド|ロイヤルコペンハーゲン・ビング・オー・グレンダールからカトリーネホルム・フィッギオまで

北欧食器タックショミュッケ編集部

「北欧食器」と聞いて思い浮かぶのは、スウェーデンのグスタフスベリやロールストランド、フィンランドのARABIAやイッタラでしょうか。当店のコラムも、これまでその二国の窯と作家を中心にたどってきました。けれども北欧の食器文化は、スウェーデンとフィンランドだけではありません。今回は、これまでまとまって取り上げる機会の少なかったデンマークとノルウェーに目を向けます。

デンマークは王室磁器の伝統と銀器の洗練を、ノルウェーはフィヨルドの国ならではの色鮮やかな琺瑯(ホーロー)とファイアンスを育てました。この記事では、ロイヤルコペンハーゲンやビング・オー・グレンダールといった名前から、カトリーネホルムやフィッギオまで、二つの国の窯を横断しながら、北欧食器の地図をさらに広げていきます。読み終えるころには、コペンハーゲンの運河沿いからノルウェーの峡湾の奥にある工場町まで、北欧を旅した気分になっていただけるはずです。

この記事でわかること

  • デンマークの主要な窯——ロイヤルコペンハーゲン、ビング・オー・グレンダール、ケーラー、クナブストラップ、ミケル・アナセン&サン——の歴史と代表作
  • ノルウェーの主要な窯——カトリーネホルム、フィッギオ、ポシュグルン、スタヴァンゲルフリント——の歴史と代表作
  • デンマークの銀器・カトラリー(カイ・ボイスン、ヘニング・コッペル、アルネ・ヤコブセン)の系譜
  • デンマーク・ノルウェーの器を刻印と製造国から見分ける手がかり

目次

  1. デンマークとノルウェー——もう二つの北欧食器文化
  2. デンマークの窯
    1. ロイヤルコペンハーゲン(1775年)
    2. ビング・オー・グレンダールとシーガル
    3. ケーラー——ラスター釉の窯
    4. クナブストラップ
    5. ミケル・アナセン&サン——ボーンホルム島の窯
    6. デンマークの銀器とカトラリー
  3. ノルウェーの窯
    1. カトリーネホルム——峡湾の国の琺瑯
    2. フィッギオとトゥーリ・グラムスタ・オリヴェル
    3. ポシュグルン(1885年)
    4. スタヴァンゲルフリント
  4. 刻印と製造国で見分ける手がかり
  5. まとめ

デンマークとノルウェー——もう二つの北欧食器文化

Nyhavn Copenhagen
夕暮れのコペンハーゲン、ニューハウンの運河沿いに並ぶ色鮮やかな家並み。(写真: Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)

ひとくちに北欧といっても、器づくりの背景は国ごとに異なります。スウェーデンとフィンランドが20世紀のミッドセンチュリー・デザインで世界的に知られる一方、デンマークはそれよりもずっと早く、18世紀に王室の磁器窯を興していました。ノルウェーは長く隣国の支配下にあり、独立した工業の歴史は比較的新しいものの、20世紀半ばに個性豊かな窯と琺瑯製品を生み出しています。

当店のコラムでは、これまで196本にわたってスウェーデンとフィンランドの窯・作家を掘り下げてきました。この記事は、まだ専用の記事がなかったデンマークとノルウェーを一本にまとめ、これまでスウェーデンとフィンランドを中心に描いてきた北欧食器の地図をさらに広げるものです。まずは磁器と銀器の国、デンマークから見ていきます。

デンマークの窯

デンマークの器を語るとき、出発点になるのは王室の磁器窯です。18世紀の宮廷文化のなかで生まれた白い磁器の伝統は、その後の民間の窯にも受け継がれ、コバルトブルーの装飾という共通の言語を生みました。一方で20世紀には、銀器やカトラリーの分野で世界的な評価を得ていきます。

ロイヤルコペンハーゲン(1775年)

Royal Copenhagen factory old
19世紀の王立磁器製作所とアルミニア窯を描いた版画。煙突が立ち並ぶ工場の姿。(写真: Wikimedia Commons, パブリックドメイン)

ロイヤルコペンハーゲン(Royal Copenhagen)は、1775年にコペンハーゲンで創業しました。当初の名は「王立磁器製作所(Den kongelige Porcelainsfabrik)」で、1779年からは王室の管理下に置かれます。ブランドの象徴である三本の波線は、デンマークを取り囲む三つの海峡を表したものです。

Royal Copenhagen Blue Fluted display
ブルーフルーテッド(Musselmalet)のプレートやポットが並ぶ売り場。「ROYAL COPENHAGEN」の看板が見える。(写真: Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)

最も有名な意匠が、コバルトブルーの手描き文様「ブルーフルーテッド(Blue Fluted)」です。1775年の創業当初に生まれた、窯のパターン番号1番にあたる由緒ある文様で、デンマークではムッセルマレット(Musselmalet)とも呼ばれます。その名称の由来には複数の説があり、ロイヤルコペンハーゲン自身も確定していません。ブルーフルーテッドには、端正な「プレイン」のほか、縁にレース状の装飾を加えた「ハーフレース」、さらに透かし彫りの縁をもつ華やかな「フルレース」があります。同じ青い文様を基礎にしながら、器の縁の造形によって印象が大きく異なります。

Blue Fluted platter
ブルーフルーテッド ハーフレースの楕円皿。放射状の稜線とコバルトの草花文様。(写真: Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)

もうひとつの記念碑的な作品が、植物図鑑を器に写した豪奢なディナーサービス「フローラ・ダニカ(Flora Danica)」です。1790年ごろに制作が始まり、金彩の縁取りのなかに一枚ずつ異なる植物が精密に描き込まれました。名前の由来となった植物図譜『フローラ・ダニカ』は1761年に刊行が始まったもので、器はその図版を手本にしています。18世紀の宮廷が理想とした「自然を写し取る」という精神が、そのまま磁器の上に結晶したシリーズでした。

ビング・オー・グレンダールとシーガル

Bing Grondahl factory 1856
1856年ごろのコペンハーゲン、ヴェスタブロゲーゼに建つビング・オー・グレンダールの工場。(写真: Wikimedia Commons, パブリックドメイン)

ビング・オー・グレンダール(Bing & Grøndahl)は、1853年にコペンハーゲンで創業した磁器窯です。商人・美術商として活動していたメイヤー・ヘアマン・ビングとヤコブ・ヘアマン・ビングの兄弟が、彫刻家フレゼリク・ヴィルヘルム・グレンダールとともに興し、王室磁器に対するもう一つの選択肢として発展しました。1895年にはクリスマスプレートの制作を始め、毎年図柄を変える記念皿の文化を世界に広めた窯としても知られます。

Bing Grondahl Seagull trio
シーガル(Mågestel)のカップ・ソーサー・プレートのトリオ。青海波の地に金縁、波間を飛ぶかもめ。

この窯を代表する意匠が、波間を飛ぶかもめを描いた「シーガル(Seagull/デンマーク語でMågestel)」です。デザイナーはファニー・ガーデ(Fanny Garde)で、1892年に生まれました。淡いブルーの地に金の縁取りが添えられたこのシリーズは、20世紀半ばには「デンマークの国民食器」とまで呼ばれ、多くの家庭の棚を飾りました。当店でも、シーガルのカップ・ソーサー・プレートのトリオをご紹介したことがあります(現在は品切れです)。

Bing Grondahl backstamp
ビング・オー・グレンダールのバックスタンプ。三つの塔と「B&G」「MADE IN DENMARK」の文字。(写真: Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)

裏印には、コペンハーゲンの市章に由来する三つの塔と「B&G」の文字が入ります。ビング・オー・グレンダールとロイヤルコペンハーゲンは長くライバルの関係にありましたが、1987年に両者は統合され、現在は同じグループのもとにあります。裏印の年代を追うと、二つの窯がたどった歴史がそのまま浮かび上がってきます。

ケーラー——ラスター釉の窯

Kahler luster vase
水草のあいだを泳ぐ魚を描いたケーラーの花器。金属光沢を帯びたラスター釉。(写真: Wikimedia Commons, パブリックドメイン)

ケーラー(Kähler)は、1839年にシェラン島のネストヴェズで開かれた窯です。創業者ヘアマン・ケーラーの息子ヘアマン・A・ケーラーは、金属光沢を帯びた赤いラスター釉「ケーラー・レッド」を1888年に完成させ、翌1889年のパリ万博で発表して国際的な注目を集めました。刻印には「HAK」のイニシャルが用いられます。王室磁器とは異なる、素朴な陶土と実験的な釉薬に根ざしたケーラーの器は、デンマークの装飾陶の一つの頂点として語られてきました。

クナブストラップ

Knabstrup D.Hein plaque
クナブストラップのディートリンデ・へイン(D.Hein)による陶板。青い衣装をまとった三人の女性のレリーフ。

クナブストラップ(Knabstrup Keramik)は、シェラン島の同名の村で発展した窯です。母体となった煉瓦工場は古くからありましたが、陶器の生産は1897年ごろに本格化し、1988年に幕を閉じました。素朴な陶土を生かした食器や、装飾的な陶板(レリーフ)で知られ、ミッドセンチュリー期には抽象化された人物像を描いた壁掛けの陶板が数多く作られました。

当店では、クナブストラップの絵付師ディートリンデ・へイン(D.Hein)による陶板をご紹介したことがあります。深い青と土色の釉薬で、頭巾をかぶった人物が様式化して表されており、北欧の民衆的なモチーフを装飾陶板へと昇華させた仕事がうかがえます。こうした陶板については、北欧の壁飾りプレート(陶板)完全ガイドでも詳しく取り上げています。

ミケル・アナセン&サン——ボーンホルム島の窯

Bornholm smokehouse
バルト海に浮かぶボーンホルム島、ハスレの燻製小屋。とがった白い煙突が島の風景をつくる。(写真: Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)

ミケル・アナセン&サン(Michael Andersen & Søn)は、バルト海に浮かぶボーンホルム島の中心地ロンネで、1890年にイェンス・ミケル・アナセンによって創業されました。1916年ごろには「ボーンホルム陶器工場(Bornholms Keramiske Fabrikker)」の名でも知られ、刻印には「M.A. & S.」が用いられます。島で採れる粘土を生かした、黒みを帯びた素地とマヨリカ風の彩色が特徴です。

Michael Andersen herring plaque
ミケル・アナセン&サンの陶板。傘の下、ニシンを掲げる二人の女性を表したレリーフ。

当店では、この窯の陶板をいくつかご紹介してきました。傘の下でニシンを掲げる二人の女性を描いた大判のレリーフは、漁業とともに生きたボーンホルムの暮らしをそのまま写したような一枚です。彫りの深い造形と、青と土色を基調とした落ち着いた釉薬に、島の窯ならではの手仕事の質感が宿っています。いずれも観賞用の陶板としてデザインされたもので、壁に掛けて楽しむために作られました。

デンマークの銀器とカトラリー

デンマークを語るうえで磁器と並んで欠かせないのが、銀器とカトラリーの伝統です。20世紀のデンマーク・デザインは、金属加工の分野で世界的な評価を確立しました。

木工デザイナーとして知られるカイ・ボイスン(Kay Bojesen、1886–1958)は、木製のサル(1951年)で有名ですが、カトラリーの分野でも「グランプリ(Grand Prix)」を残しています。このカトラリーは1938年にデザインされ、1951年のミラノ・トリエンナーレでグランプリを受賞したことからその名がつきました。デザインされた年と受賞の年が異なる点は、しばしば混同されるので注意が必要です。

銀器メーカー、ジョージ ジェンセン(Georg Jensen)のもとでは、ヘニング・コッペル(Henning Koppel)が彫刻的な造形を追求しました。有機的な曲線を描く水差し「No.992」(1952年)や、カトラリー「キャラベル(Caravel)」(1957年)は、金属を生き物のようにしなやかに扱った代表作です。建築家アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)が1957年にSASロイヤルホテルのために手がけた「AJ」カトラリーも、ミニマルなデザインの金字塔として知られます。北欧のカトラリーの系譜については、北欧のカトラリー完全ガイドもあわせてご覧ください。

ノルウェーの窯

Naeroyfjord Norway
世界遺産にも登録されたノルウェーのネーロイ峡湾。切り立った山と鏡のような水面。(写真: Wikimedia Commons, CC BY 4.0)

ノルウェーは、切り立ったフィヨルドと深い森に囲まれた国です。器づくりの工業化はデンマークやスウェーデンより遅れましたが、20世紀半ばには、鮮やかな色彩を武器にした個性豊かな窯と琺瑯製品が花開きました。とりわけ、鉄の素地にガラス質の釉薬を焼き付けた琺瑯(ホーロー)は、ノルウェーのミッドセンチュリーを象徴する分野です。

カトリーネホルム——峡湾の国の琺瑯

Grete Prytz Kittelsen working on enamel
金属の大皿に道具で向かうグレーテ・プリュッツ・キッテルセン。ノルウェーの琺瑯・金属デザインを牽引した作家。(写真: Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)

カトリーネホルム(Cathrineholm)は、ノルウェー南東部のハルデンに拠点を置いた製鉄・琺瑯の会社です。その歴史は1829年に始まった鉄鋳造所にさかのぼり、1907年には琺瑯を施した鉄製品の生産を始めて、のちに色鮮やかな台所用品で広く知られるようになりました。鉄の器にガラス質の釉薬を焼き付けた琺瑯は、発色の鮮やかさと丈夫さを両立させ、20世紀半ばの北欧のキッチンを彩りました。

カトリーネホルムを象徴するのが、1960年代に登場した「ロータス(Lotus)」の柄です。蓮の葉を思わせる伸びやかな曲線を、鮮やかな色地に白で抜いた意匠で、いまも北欧デザインのアイコンとして語られています。この図案は、アーネ・インゲマン・クラウセン(Arne Ingemann Clausen)によるものとされています。

器の形状を含むカトリーネホルムの製品開発に大きく関わったのが、グレーテ・プリュッツ・キッテルセン(Grete Prytz Kittelsen)です。彼女はエナメル(琺瑯)を芸術の域にまで高めた作家として国際的に知られています。上の写真は、金属の大皿に道具で向かう彼女の仕事の様子を写したものです。

フィッギオとトゥーリ・グラムスタ・オリヴェル

Figgjo factory shop and museum
ノルウェー・フィッギオの工場に併設された「BUTIKK & MUSEUM(ショップと博物館)」。背後に岩山が迫る。(写真: Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)

フィッギオ(Figgjo)は、ノルウェー南西部の同名の集落にある窯です。1941年に「フィッギオ・ファイアンス(Figgjo Fajanse)」として設立され、ハラール・リマとシーグル・フィグヴェによって始められました。1968年には近隣のスタヴァンゲルフリントと合併し、この時期の器には「Figgjo Flint(フィッギオ・フリント)」の刻印が入ります。1979年以降は「Figgjo AS」として現在に至ります。岩山を背にした工場町という立地そのものが、ノルウェーの器の背景を物語っています。

Figgjo Lotte bowl
フィッギオ「ロッテ(Lotte)」のボウル。中央に花を抱く少女、縁に連なる青い装飾帯。(写真: Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)

フィッギオの器に、おとぎ話のような温かみをもたらしたのが、デザイナーのトゥーリ・グラムスタ・オリヴェル(Turi Gramstad Oliver、1938年生)です。1960年に入社し、およそ20年にわたって数々の柄を手がけました。花を抱く少女を描いた「ロッテ(Lotte)」、市場をモチーフにした「マーケット(Market/Torg)」、大輪の花が並ぶ「デイジー(Daisy)」などが代表的です。それぞれの柄の具体的な製造年については販売資料による記述が多く、ここでは年代の断定を控えます。

Figgjo Daisy pot and cups
フィッギオ「デイジー(Daisy)」のポットとカップ。紺地の帯に白い花弁とオレンジの花芯。(写真: Wikimedia Commons, CC BY 2.0)

「デイジー」の紺地に咲く白い花は、1960年代後半から70年代にかけての北欧ポップの気分をよく伝えています。鮮やかな色の面と単純化されたモチーフは、同時代のスウェーデンやフィンランドの器とも響き合いながら、ノルウェーならではの明るさを見せています。

ポシュグルン(1885年)

Porsgrund coffee service
ポシュグルンのコーヒーセット。金彩と淡いピンクの持ち手、茶色の風景文様。ノルウェー国立美術館蔵。(写真: Wikimedia Commons, CC BY 4.0)

ポシュグルン(Porsgrunds Porselænsfabrik)は、1885年にヨハン・イェレミアセンによって創業されたノルウェーの磁器窯で、生産は1887年に始まりました。ノルウェーで本格的な磁器を手がけた数少ない窯のひとつで、藁を思わせる連続文様「ストローモンスター(Stråmønster)」は、創業まもない時期から長く親しまれてきた意匠です。

20世紀にはティアス・エクホフ(Tias Eckhoff)、コンラート・ガラーエン(Konrad Galaaen)、ノラ・グルブランセン(Nora Gulbrandsen)といったデザイナーが加わり、伝統的な磁器に近代的な造形を吹き込みました。上のコーヒーセットは、金彩とやわらかなピンクの持ち手をあしらった、宮廷趣味の残る初期の一例です。

スタヴァンゲルフリント

スタヴァンゲルフリント(Stavangerflint)は、1949年にノルウェー南西部の港町スタヴァンゲルで「スタヴァンゲル・ファイアンス工場」として設立され、1952年に社名を改めました。硬質陶器(フリント)の食器を手がけ、明るい色彩と大胆な柄で知られます。1968年にフィッギオと合併し、1979年にスタヴァンゲルの工場は閉鎖され、生産はフィッギオへと集約されました。フィッギオの器のなかには、この二社の系譜が重なり合っているものがあります。

刻印と製造国で見分ける手がかり

デンマークとノルウェーの器を手に取ったとき、産地や年代を読む手がかりになるのが裏面の刻印です。いくつかの目印を知っておくと、棚に並んだ器の背景がぐっと見えやすくなります。

デンマークの目印

  • 三本の波線——ロイヤルコペンハーゲンの象徴。デンマークを囲む三つの海峡を表します。手描きの波線の下に、しばしば「DENMARK」の文字が添えられます。
  • 三つの塔と「B&G」——ビング・オー・グレンダール。コペンハーゲンの市章に由来する三つの塔と、「MADE IN DENMARK」の表記が特徴です。
  • 「M.A. & S.」——ミケル・アナセン&サン。ボーンホルム島の窯であることを示します。
  • 「HAK」——ケーラー。ヘアマン・A・ケーラーのイニシャルです。

ノルウェーの目印

  • 「Figgjo Flint」「Figgjo Norway」——フィッギオ。1968年以降は「Flint」の語を含む刻印が見られます。
  • 「Stavangerflint」「Stavangerflint Norway」——スタヴァンゲルフリント。1979年の閉鎖までのもの。
  • 「Porsgrund Norway」——ポシュグルン。多くに「Norway」の国名が入ります。
  • 琺瑯(ホーロー)製品——カトリーネホルムに代表される、鉄の素地にガラス釉を焼き付けた台所用品。磁器とは手触りも重さも異なります。

いずれの国の器も、コンディションを見るときは、素地の割れである「ひび」と、釉薬表面の網目状の細かな亀裂である「貫入(かんにゅう)」を分けて見ることが大切です。貫入は経年を経た器に自然に生じる表情であり、欠点とは限りません。裏面の刻印の読み方については、北欧食器のバックスタンプ総合ガイドもあわせてご覧ください。

まとめ

デンマークとノルウェーは、スウェーデンやフィンランドとはまた違う道すじで、それぞれの器の文化を育ててきました。デンマークは18世紀の王室磁器と20世紀の銀器という二つの伝統を、ノルウェーは峡湾の国ならではの鮮やかな琺瑯とファイアンスを。この二国まで視野を広げると、北欧の器づくりが一つの様式ではなく、国ごとに異なる歴史と素材をもって発展してきたことが見えてきます。

要点の整理

  • デンマーク——ロイヤルコペンハーゲン(1775年創業、ブルーフルーテッド、フローラ・ダニカ)、ビング・オー・グレンダール(1853年創業、シーガル、1987年に統合)、ケーラー(1839年、ラスター釉)、クナブストラップ(陶器1897〜1988年)、ミケル・アナセン&サン(ボーンホルム島、1890年)。
  • デンマークの銀器・カトラリー——カイ・ボイスン、ヘニング・コッペル、アルネ・ヤコブセン。
  • ノルウェー——カトリーネホルム(1829年に鉄鋳造所として創業、1907年に琺瑯生産開始、ロータス)、フィッギオ(1941年創業、トゥーリ・グラムスタ・オリヴェルのロッテ/デイジー)、ポシュグルン(1885年、ストローモンスター)、スタヴァンゲルフリント(1949〜1979年)。
  • 見分け方——三本の波線=ロイヤルコペンハーゲン、三つの塔=ビング・オー・グレンダール、「Norway」の国名=ノルウェーの窯。ひびと貫入は分けて見る。

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