スウェーデンの名窯が生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
北欧の老舗陶器メーカーのグスタフスベリで1960年代に制作されたマルヴァというシリーズのティーカップ&ソーサーです。シリーズ名のマルヴァとはスウェーデン語でゼニアオイまたはウスベニアオイという意味です。同種のアオイは多年生の植物で、本来は紫の花をつけます。その花がらを模して、デザイナーのヴョルクィストは大胆に赤くデフォルメした花柄を全面にあしらっています。
連続した同じ花柄でデザイン性を保つのはなかなか難しいことですが、絶妙な色味とバランスを見事に兼ね備えた北欧モダンらしいシンプルで洗練された逸品です。マルヴァは1965年にデザインされ1970年頃まで製造されました。もともとの生産数が少なかったもので本国スウェーデンでもほとんど見かける機会がない貴重なものです。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Karin Björquist / カリン・ヴョルクィスト
- シリーズ名:Malva / マルヴァ
- 年代:1965〜1970年頃
- 生産国:スウェーデン
- サイズ:カップ幅12cm(持ち手含む)高さ6cm 容量約280ml ソーサー直径15cm
■コンディション:★★★☆☆(3.5:良品)
カップ側面にわずかなペイントロスが見られ、カップ内部とソーサーには光に透かすと使用上のスレが見られます。カップの高台部に凹みが見られますが欠けではなく製造工程による成形跡となります。ペイントロスも少なく、割れや欠けはなくマルヴァのなかでは良品のコンディションとなります。









