
スウェーデンの国民的作家が生んだ 手のひらに宿る北欧の物語
リサ・ラーソンのサイン入りの陶製の家です。シリーズ名はなくいわゆる一点物のユニークピースとなります。一見して無骨な作りですが、リサ・ラーソンがこだわった茶色の粘土にシャモットという骨材を添加して割れを防ぐ工夫がされています。この手法によってリサ・ラーソン作品は粘土の土色が露出したままで、ひび割れの少ないなめらかな質感を両立させることに成功しています。リサ・ラーソンが家のオブジェを制作したのはグスタフスベリを退社してフリーランスに転向してから後のことです。BPAシリーズと呼ばれる建築協会に依頼されて制作された家のオブジェ作品が80年代末から90年代初頭にかけて制作されています。そのためこちらのオブジェはその前後の時代に作られたものとだと思います。BPAシリーズの家に比べてこちらは倍くらいの大きさがあり、かなり巨大なものです。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
- 年代:1970年代(推定)
- サイズ:高さ26.7cm(頂点部)横幅18cm 厚み6.8cm
■コンディション:★★★★★(5:完品)
細かいヒビが見られますが使用された痕跡はなく修復跡もないので、製造工程で生じてそのまま出荷されたものとなります。