スウェーデンの国民的作家が生んだ 手のひらに宿る北欧の物語
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
- シリーズ名:Utrotningshotade Djur / 絶滅危惧種の動物たち
- 作品名:Igelkott / ハリネズミ
- 年代:1979年
- 製造国:スウェーデン
- サイズ:幅12cm 奥行き16cm 高さ10cm
■コンディション:★★★★★(5:完品)
割れ、欠け、貫入がなく、制作当時の姿をそのまま留めた完璧なコンディションです。振ると内部で鈴玉(陶器の玉)が動く音がしますが、これは製造時の特徴です。
■商品解説
リサ・ラーソンがグスタフスベリ社で1979年にデザインした2200体限定のハリネズミの置物です。リサ・ラーソンはストックホルム市内の老舗デパートのNKとタイアップして、1975年から6年間Utrotningshotade Djur(絶滅危惧種の動物たち)と銘打った一連の陶器像を毎年一つずつ発表しました。売上の一部はWWF(World Wide Fund for Nature, 世界自然保護基金)へと寄付されています。
一連のシリーズでは、オオヤマネコ、イヌワシ、ハイイロアザラシ、バイソン、ハリネズミ(2200体限定)、カワウソ、ハヤブサがデザインされています。すべて2000体前後の限定生産となっていますが、シリーズでもこちらのハリネズミはとくに人気の高い作品となっています。
一見鋭い表情をしながらも全体的に丸々とした柔らかさが感じられ、緊張と緩和が調和した作品となっています。リサ・ラーソンの作風のなかでは珍しく写実的な表現が感じられます。リサ・ラーソンの作品の特徴は猫やライオンでもデフォルメをほどこす点にありますが、自らの作風とは一定の距離を置いて絶滅危惧種の動物たちの姿がありのままに伝わるように造形したことが伝わります。それでも背中の針は直線的に描かず、あえて丸く表現するあたりにリサ・ラーソンらしさが感じられます。
■当店の考察 — 試作品と見比べてわかること
当店では、このハリネズミのスタジオ試作品もご紹介しています。試作品は全体が黒く焼き締まり、背中のトゲの多くが根元から弾けるように失われています。焼成温度を見極めるために高温で焼かれた一点と、当店では考えています。
本品のトゲは、根元が太く先の丸いしずく形で、欠けずに揃っています。トゲの先は明るく、すき間は濃い色に沈み、背中いっぱいに濃淡の模様が広がります。温度の見極めを経て量産に移ったと考えると、本品の落ち着いた色と揃ったトゲは、その先にたどり着いた姿といえます。
底面にも違いがあります。本品には「EXCLUSIVELY MADE FOR NK SWEDEN BY LISA LARSON GUSTAVSBERG SWEDEN. LIMITED EDITION OF 2200 FOR THE BENEFIT OF WWF.」の印字とWWFのパンダのマークがあります。試作品の底には「N3C」「1352G」の記号が記されています。
リサ・ラーソン — 北欧の愛すべき陶芸家
師匠スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン。1年の試用期間が26年に。
リサ・ラーソン(1931-2024)。スウェーデン南部スモーランド地方エルムフルトに生まれ、ヨーテボリの工芸学校で陶芸を学ぶ。1954年、学生コンペの審査員を務めたグスタフスベリの巨匠スティグ・リンドベリに才能を見出され、「1年の試用期間」で工場に招かれました。その1年は、やがて26年間の創作活動へと続いていきます。
「レクストゥーガ(遊び小屋)」と呼ばれた工房で、リサは「リッラ・ズー(小さな動物園)」「ABCガールズ」「アフリカ」など数々の名作を生み出しました。
日本とリサ・ラーソン
ABCガールズの「ドーラ」に命を吹き込むリサ。1950年代の痩身美の風潮に対し、古代の豊穣の女神に着想を得たふくよかな女性像を創りました。
一つひとつ手描きで絵付けされるリサ・ラーソンの陶器。職人の手仕事ゆえの個体差が、ヴィンテージ品の魅力です。
1970年、リサは大阪万博を訪れ、益子焼の人間国宝濱田庄司と出会います。民藝運動に触れたこの体験が、彼女の手仕事への信念をさらに深めました。2010年には日本の絵本のために赤い縞模様の猫「マイキー」を描き、やがてこの猫は日本中で愛されるキャラクターに。2014-15年の日本巡回展には21万人以上が来場しました。
ヴィンテージと復刻版の見分け方
リサ・ラーソン作品の制作時期は、バックスタンプで判別できます。
- グスタフスベリ工場時代(1954-1980) — 錨マークに「GUSTAVSBERG」「LISA L.」「SWEDEN」の刻印。最もコレクター価値が高いヴィンテージ品。
- フリーランス時代(1980-1992) — ロールストランド、イエ・ガントフタなど各メーカーの刻印。
- Kスタジオ(Keramikstudion:Kスタジオ)時代(1992年〜) — 「K-Studion」の刻印。リサが共同設立した工房で、ヴィンテージの名作を手作りで復刻。高品質ですがオリジナルとは異なります。

当店で取り扱うリサ・ラーソン作品は、スウェーデンから直接買い付けたヴィンテージのオリジナル品です。














