スウェーデンの国民的作家が生んだ 壁を彩る北欧アートの世界
リサ・ラーソンが企業からの依頼でデザインした珍しい陶板です。1973年に企業組合からの依頼でリサ・ラーソンは製本機組合、被服組合、タイポグラフィ組合という三種類の陶板をデザインしました。こちらはそのうちタイポグラフィ(活字)組合からの依頼によって制作したものです。
陶板には印刷機の父であるヨハネス・グーテンベルクが描かれています。その横には描かれているのはヒエログリフです。グーテンベルクはもともとドイツの金細工職人でしたがその手先の器用さを生かして、1440年頃に植字による活版印刷術を発明しました。そうして印刷されたグーテンベルク聖書が西洋で初めて活字の書籍となります。陶板の左下に描かれた1450年の年号は印刷所を開設した年です。グーテンベルク聖書はラテン語で書かれており、ルターの宗教革命でドイツ語聖書が活字で印刷されるのはそれから更に約70年の月日を要しています。
陶板の印刷機は近代以後のもので印刷工が大型の輪転機の横に佇む姿が描かれ、歴史の変遷が感じられます。グスタフスベリには量販品を生産するラインとは別にGスタジオ(G-Studion)と呼ばれるスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンなど著名なデザイナーがアート作品を制作した部門がありました。こちらはそのアトリエで作られた作品となります。一点一点が手作りによるもので、背面にはリサ・ラーソンの名前を冠したバックスタンプが刻印されています。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
- シリーズ名:Svenska Typografforbundet / スウェーデン・タイポグラフィ組合
- 年代:1973年
- サイズ:縦横26.5cm 厚み1.5cm
■コンディション:★★★★☆(4.5:極美品)
背面下部にわずかなスレがみられますが、特筆するダメージのないデッドストック品のコンディションです。











