スウェーデンの名窯が生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンの伝統的な陶器メーカー、グスタフスベリ社で1970年代に作られた幻の作品です。シリーズ名のタヒチは南太平洋に浮かぶリゾート地として知られる南国の島です。デザイナーはミッドセンチュリーの巨匠スティグ・リンドベリです。
タヒチは1970年頃にデザインされ、1971年頃に発売されました。色鮮やかな南国の植物がカラフルに描かれています。北欧食器は寒い冬の日が続く北欧とは裏腹に、鮮やかな色彩の食器で食卓を明るく照らすデザインが多いのが特色です。タヒチはまさに北欧食器の性質をよく表しており、北欧らしからぬ季節感や地理感覚が感じられる逸品です。単色の色彩の食器が多いグスタフスベリのなかでは異例とも言っていいほど非常にカラフルな作品です。
しかし表面の透明釉のかかりが甘いため色抜けがしやすいという構造的な欠点があります。とくに食洗機の使用が多い北欧の食卓では色落ちが発生しやすくクレームにつながってのではないかと思います。そうした問題があってかタヒチは量産されずに終売となったシリーズです。結果的に現代では希少なものとなっています。さらに色が良いものが残るのは稀で色の良し悪しで価値が大いに左右される、という点でも珍しい作品となっています。
■詳細スペック
メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
デザイナー:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
シリーズ名:Tahiti / タヒチ
製造国:スウェーデン
年代:1971年頃
コンディション:貫入あり
カップの取手の上部に薄く貫入が見られます。また縁に焼け粒の付着が見られます。貫入とは製造工程の焼成時に釉薬面に走るヒビで使用上のキズや本体そのもののダメージではありません。メーカーの検品を通過したものとなります。
カップそのものはタヒチによく見られる色抜けもなく、使用感がほとんどない美品のコンディションとなります。ソーサーも中央にわずかにスレが見られますが美品となります。
■サイズ
カップ幅9cm(取手含む)高さ6.3cm ソーサー直径14cm
■関連コレクション
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。










