スウェーデンの名窯が生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンを代表するモダンデザインの巨匠スティグ・リンドベリ(Stig Lindberg))が1954年にデザインしたサリックスのコーヒーカップ&ソーサーです。サリックスとは柳(ヤナギ)のことで、全体に均一に柳の葉が並べられています。一枚一枚の葉っぱに微妙に異なった表情があります。葉っぱがらの装飾は「転写」という方法で、絵柄がプリントされた透明なシールを圧着して、透明な釉薬を上から塗って窯で再焼成して定着させる、という工程を経ています。圧着は手仕事による作業のため、微妙に一つひとつのカップに表情の違いが出ます。
サリックスは復刻版が出ており、ティーカップとコーヒーカップの大小サイズがあります。しかしフォルムは台形型で、ヴィンテージの丸々としてフォルムは再現されていません。こちらのコーヒーカップはどちらかというエスプレッソカップに近い小ぶりなものですが、フォルムデザインは現行品よりも洗練されたものとなっています。柳の葉のパターンデザインを考案したビビ・ブレガーというデザイナーはグスタフスベリ社のPrismaなどの装飾も担当しており、ミッドセンチュリーの傑作を影で支えた功労者の一人です。北欧モダンの黄金期といわれる20世紀中葉(ミッドセンチュリー)の快作となります。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- フォルムデザイン:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
- パターンデザイン:Bibi Breger / ビビ・ブレガー
- 年代:1954~1965年
- 製造国:スウェーデン
■コンディション:訳あり
カップの縁の取っ手に近い場所に一箇所凹みに近い欠けが見られ薄く、汚れの入り込みが見られます。欠けは使用上による傷ではなく製造工程によって生じたものとなります。ソーサー背面にはペイント飛びが見られます。











