リンドベリのGスタジオから生まれた 古代技法ファイアンス焼きの逸品
グスタフスベリの主力デザイナー、スティグ・リンドベリの工房で1950年代に手彩色で絵付けされたティーポットです。グスタフスベリには量販品を生産するラインとは別にGスタジオ(G-Studion)と呼ばれるスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンなど著名なデザイナーがアート作品を制作した部門がありました。こちらはそのアトリエで作られた作品となります。ポットの底部にはリンドベリ直筆のサインが見られます。ファイアンス焼きと呼ばれる古代エジプトで用いた技法で製造されています。
ファイアンス焼きとは、赤土で形成した器を乾燥させて錫釉と呼ばれる白の釉薬にどぶ漬けして焼成されたものです。古代エジプトで考案された手法で、世界で最も古い釉薬を使った製陶方法となります。
現在のグスタフスベリは強硬度の白磁(ボーンチャイナ)が主流ですが、半世紀前は窯の温度が低温で製陶可能なファイアンス焼きも多く製造されていました。ファイアンス焼きはその特性上、一般的な陶器よりも脆く完品で残ることは珍しいです。
底部にはグスタフスベリのスタジオ(G-Studion)で制作されたことを示す”G”のハンドサインがあります。底部とフタの内側にあるマークはゴフレド・ナンニーニという絵師のサインになります。また底部の”F/79”とは絵付けのパターンデザインを指定した記号、”100”はティーポットのフォルムを指定した番号となります。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- フォルムデザイン:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
- パターンデザイン:Gofredo Nannini / ゴフレド・ナンニーニ
- 年代:1950年代
- 生産国:スウェーデン
- 容量:850ml(350ml+500ml)
- 重さ:1120g(490g+630g)
- サイズ:高さ23cm(10cm+13cm)横幅19cm(注ぎ口含む)
■コンディション:★★★★★(5:完品)
割れや欠けや貫入などがなく、使用に伴いスレも見られず保存状態が良好なデッドストック品です。製造時の姿をそのまま留めた完品のコンディションです。









