ミッドセンチュリー黄金期の白無垢 復刻されなかった幻のチューリン
フィンランドを代表する食器メーカーARABIAが1970年に発売した白無垢のスープチューリンです。ARABIAで製造された食器は70年代初頭まで、製造年と月が刻印されていました。こちらの底部のバックスタンプにも8−70(1970年8月)という刻印が打たれており、いわゆるミッドセンチュリーと呼ばれる黄金期の作品であることがわかります。
エヴァは近年復刻版が発売されましたが、こちらのチューリンは復刻されていません。ヴィンテージでしか入手することが出来ない貴重なアイテムとなっています。
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯

1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。1949年にはARABIAのクラウンマーク(王冠のバックスタンプ)もデザインしています。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。

このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
- 1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入された122mのトンネル窯を表現したデザイン。
- 1949年〜現在:カイ・フランクがデザインしたクラウンマーク(王冠)。月桂樹の輪を逆さにして王冠に見立てた斬新なデザイン。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
- 生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
- 2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。
■詳細スペック
- メーカー:ARABIA / アラビア
- デザイナー:Birger Kaipiainen / ビルガー・カイピアイネン
- シリーズ名:Eeva / エヴァ
- 年代:1970〜1974年
- 製造国:フィンランド
- 容量:800ml
- サイズ:本体横幅20cm(持ち手含む)縦幅15cm 高さ14.5cm(フタ含む)
■コンディション:★★★★☆(4:美品)
取手に一箇所製造時の焼け粒が見られます。高台に見えるスレは糸底と呼ばれるもので、ろくろから切り離すときに出来るスレです。茶色い部分は焼成時に釉薬が十分にかからなかった箇所で、ともに製造工程により発生したものです。本体底はかすかなスレを除けば鏡面のような状態のため、食器として使用された形跡は見られません。本体底部に保存上のスレがわずかに見られますが、製造時の姿を留めた美品となります。








