
スウェーデンの老舗名窯が紡いだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンを代表する老舗食器メーカーのロールストランド社が創業250周年を記念してデザインした名作シルビアの珍しいスープチューリン(スープ取り分け用のお鍋)です。チューリンはシルビアシリーズではかなり珍しいもので、生産数が少なかったようです。今回は完品が入荷しました。
シルビアの製品フォルムは名作モナミで有名なマリアンヌ・ウェストマンが、スミレの花の装飾パターンは同社のデザイナーであったシルビア・レウショヴィウスがデザインしました。
シルビアが発売された1976年は、スウェーデン国王カール・グスタフ16世とシルビア・ゾマラート王妃の結婚式が行われた年です。外国出身の民間人であったシルビア王妃の婚姻には異論も存在しましたが、ABBAといったスウェーデンを代表するアーティストが彼女を擁護する姿勢を見せました。ABBAのヒット曲「ダンシング・クイーン」は、その婚礼式の前夜に初めて披露され、"クイーン"の名前はシルビア王妃への敬意を表していると言われています。このシルビアと名付けられたロールストランドの250周年記念モデルにも、新たな王妃を歓迎する意図が込められています。
シルビア王妃はその後、高齢者介護や児童福祉の分野で慈善活動を続け、現在ではスウェーデン国民から広く尊敬されています。
バックスタンプには"250 ar Jubileumsservis"という文字が刻印されており、これはスウェーデン語で「250周年記念のテーブルウェア」を意味します。ロールストランド製品には比べて装飾性の高いバックスタンプがデザインされており、これにより周年記念モデルへの特別な取り組みが伝わります。
シルビアシリーズは、カップ、プレート、ティーカップ、ピッチャー、クリーマー等、一連の食器シリーズとして展開されました。硬質で薄作りのボーンチャイナ製で、透き通った釉薬や絵柄の美しさ、そして洗練されたフォルムは、1970年代のロールストランド製品として特に高品質を誇ります。
北欧ヴィンテージ食器にありがちな支柱跡(目跡)がシルビアシリーズには見られない点も特筆すべきで、これはシルビアシリーズのために窯焼き環境が一新されたことを示しています。北欧ヴィンテージ食器の中でも完成度が高く、美しさを極めた一品です。
シルビア・レウショヴィウス — 花と鳥と自然のデザイナー

シルビア・レウショヴィウス(Sylvia Leuchovius, 1915-2003)。ロールストランドのアトリエで自作の陶器を手にする。
シルビア・レウショヴィウスは1915年ストックホルム生まれのスウェーデンの陶芸家・デザイナーです。1954年からロールストランドのデザイナーとして活動を開始し、約30年にわたり同社で創作を続けました。花や鳥、自然のモチーフを優美な筆致で描くスタイルで知られ、量産品のパターンデザインからアトリエ作品(一点もの)まで幅広く手がけました。
彼女の代表作がこの「シルビア(Sylvia)」シリーズです。スミレの花の繊細な装飾は、レウショヴィウスの自然への深い愛情が込められたものです。フォルムのデザインは、モナミやアネモンを生み出したマリアンヌ・ウェストマンが担当しました。二人の女性デザイナーによる共作は、北欧陶磁器史においても珍しい例です。
ロールストランド250周年と王室の祝福

1976年6月19日、ストックホルム大聖堂にて。カール16世グスタフ国王とシルビア・ゾマラート(後のシルビア王妃)の結婚式。
1976年、ロールストランドは創業250周年を迎えました。1726年の創業はスウェーデン最古、ヨーロッパでもマイセンに次ぐ歴史を持つ名窯です。この記念すべき年に、スウェーデンではもう一つの慶事がありました ── カール16世グスタフ国王とシルビア・ゾマラートの結婚です。

王妃となる前のシルビア・ゾマラート(右から2人目)。ドイツ系ブラジル人の民間出身で、ミュンヘンオリンピック(1972年)で通訳として働いていた際に当時の皇太子と出会った。
ドイツ系ブラジル人の民間出身であったシルビア王妃の婚姻は、当時のスウェーデン社会に賛否を巻き起こしました。しかしABBAが前夜祭で初披露した「ダンシング・クイーン」の"Queen"はシルビア王妃への敬意を込めたものとされ、国民は新しい王妃を温かく迎えました。ロールストランドが250周年記念モデルに「シルビア」と名付けたのも、新王妃を祝福する想いが込められています。
ロールストランド — 北欧最古の磁器メーカー

1897年、ストックホルムで開催された総合芸術産業展覧会におけるロールストランドの展示ブース。創業から170年を経た当時、既にスウェーデンを代表する磁器メーカーとしての地位を確立していた。
ロールストランド(Rörstrand)は1726年、ストックホルムに設立されたスウェーデン最古の磁器メーカーです。ヨーロッパではドイツのマイセン(1710年)に次ぐ歴史を持ちます。約300年にわたる歩みの中で、アール・ヌーヴォー期の芸術磁器から20世紀のモダンデザインまで、常にスウェーデンの陶磁器文化を牽引してきました。
シルビアシリーズは硬質で薄作りのボーンチャイナ製で、透き通った釉薬と絵柄の美しさ、洗練されたフォルムが特徴です。北欧ヴィンテージ食器にありがちな支柱跡(目跡)が見られない点も特筆すべきで、シルビアシリーズのために窯焼き環境が刷新されたことを示しています。
■詳細スペック
- メーカー:Rorstrand / ロールストランド
- フォルムデザイン:Marianne Westman / マリアンヌ・ウエストマン
- パターンデザイン:Sylvia Leuchovius / シルビア・レウショヴィウス
- シリーズ名:Slyvia / シルビア
- 年代:1976〜1982年
- 生産国:スウェーデン
- サイズ:直径16.5cm 横幅21cm 高さ16cm(フタ含む)容量1500ml(満水時)
■コンディション:★★★★☆(4.5:極美品)
底部に光に透かすと極々細かいスレが見られます。しかし、それ以外はオリジナルのツヤと美しさを留めたデッドストック品に近いコンディションとなります。市場で入手可能なシルビアのなかでもトップコンディションに準ずる作品となります。

