スウェーデンの名窯が生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンの老舗食器メーカーのグスタフスベリ社が制作したリネアという記念シリーズのピッチャーです。リネアシリーズにはプレートやティーカップがありますが、ピッチャーはかなり珍しいものです。
リネアとはカール・フォン・リンネのことで、スウェーデン出身の植物分類学の祖です。ラテン語で植物の名前を属名と種小名に分けて記載する二命名法を考案した人物です。
本作はリンネをたたえて記念モデルとして製造されたもので、本国スウェーデンでも見かけることが少ない逸品です。ピッチャーの形はLLモデルと呼ばれるスティグ・リンドベリが考案されたフォルムを踏襲しています。名作ベルサやピンタやブローヒュサールなどはこちらと同型フォルムで商品展開がされています。
背面のバックスタンプ下部にはリンネをたたえた詩が記載されています。
Deep in the Swedish forests in the shadows of dark firs, where no other flowers grow, you can find this bashful plant. Many poets have sung the simple beauty of this little flower with its sweet almond scent that you can sense far and wide during the white Swedish summer nights. To honour "The King of Flowers" Carl von Linne(1707-1778), the herb was given its name Linnea.
他の花が育たない暗いモミの影にあるスウェーデンの森の奥深くで、この内気な花を見つけることができます。スウェーデンの延々と続く明るい夏の夜に、多くの詩人が遠くまで漂う甘いアーモンドの香りを放つ小さな花の素朴な美を歌ってきました。「花の王様」ことカール・フォン・リンネ(1707-1778)に敬意を表して、そのハーブはリンネソウと名付けられました。
表面に描かれているのはフォン・リンネから命名されたリンネソウです。スウェーデンのミッドサマーと呼ばれる白夜に近い初夏のハイシーズンに、森の中でひっそりと咲く花の美しさをたたえています。
■詳細スペック
メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
デザイナー:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
シリーズ名:Linnea / リネア
製造国:スウェーデン
年代:1965〜1970年
コンディション:★★★★☆(4.5:極美品)
デッドストック品に近いコンディションです。底部に見られるスレや凹みは製造時の支柱跡となります。バックスタンプ周辺の文字も摩耗していないため使われずに保管されていたものとなります。ピッチャーそのものはオリジナルの色つやを留めており、リネア特有のペイント薄れも見られずヴィンテージで入手可能なトップコンディションの作品となります。
■サイズ
高さ12cm 直径15.5cm 容量1200ml
■関連コレクション
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。









