リンドベリが描いた青いすもも ヴィンテージだけの鮮やかな発色
スウェーデンの名窯グスタフスベリのプルーヌスシリーズのヴィンテージのスープ皿です。プルーヌスシリーズは平皿が復刻されていますが、こちらのスープ皿には復刻版はなく現在は廃盤となっています。
グスタフスベリのプルーヌスシリーズはミッドセンチュリーと呼ばれる20世紀中期にデザインされたLLモデルを基本としています。これは無地の陶器の原型の名称で、プルーヌスやベルサなどの各シリーズは表面に圧着する転写紙の種類を変えることで生み出されました。シリーズ名のプルーヌスはプラム(日本語では「すもも」)を意味し、円形に青い実をつけるすももが全面に描かれています。
ヴィンテージ版と復刻版の大きな違いは、プラムの青色の鮮やかさです。本作ヴィンテージでは青いプラムの実が抜けるような青さでプリントされていますが、復刻版では少しぼやけた色となっています。また、ヴィンテージのバックスタンプには大きなプラムが描かれていますが、復刻版のバックスタンプは著作権の関係から錨マークになっており、オリジナルのスタンプは廃止されています。
クロモトリック — プルーヌスの転写印刷技法

プルーヌスの模様はクロモトリック(kromotryck)と呼ばれる多色転写印刷で施されています。あらかじめ模様が印刷された転写紙(デカール)を水に浸して台紙から剥がし、素地に一枚ずつ手作業で貼り付けたあと焼成して定着させる技法です。プルーヌスでは青・緑・黒の3色が用いられています。

素材はフリント陶器(flintgods)です。フリント陶器とは火打ち石(フリント)を混ぜた多孔質の陶器で、グスタフスベリが日用食器の量産に用いた素材です。焼結しないため液体を吸収する性質があり、表面を釉薬で覆うことで防水性を確保しています。2009年から始まった復刻版はすべてボーンチャイナ(benporslin)で製造されており、素地の質感や重さがオリジナルとは異なります。
■詳細スペック
メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
デザイナー:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
シリーズ:Prunus / プルーヌス
年代:1962年〜1974年
製造国:スウェーデン
コンディション:★★★☆☆(3.5:良品)
プラムの絵に細かいペイントロスが見られますが、割れや欠けや貫入がない並品となります。背面の高台部に見られる茶気は製造時の支柱跡と焼け色となります。本品はNo.1とNo.2の2点在庫がございます。
■サイズ
直径18.5cm 高さ3.5cm
■関連コレクション
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。









