リンドベリのGスタジオから生まれた 古代技法ファイアンス焼きの逸品
スウェーデンの名窯グスタフスベリのファイアンス焼きの飾り皿です。グスタフスベリには量販品を生産するラインとは別にGスタジオ(G-Studion)と呼ばれるスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンなど著名なデザイナーがアート作品を制作した部門がありました。こちらはそのアトリエで作られた作品となります。
フォルムをデザインしたのはスティグ・リンドベリで、北欧モダンの黄金期であるミッドセンチュリーの旗手として知られています。ミッドセンチュリーとは、それまでの伝統的で汎ヨーロッパ的な焼き物文化から独立し、北欧独自のアイデンティティが目覚めた時代です。すでにこの時代にはボーンチャイナを始めとする製造法が確立していましたが、本製品はあえてファイアンス焼きを採用したものです。
ファイアンス焼きとは、赤土で形成した器を乾燥させて錫釉と呼ばれる白の釉薬にどぶ漬けして焼成されたものです。古代エジプトで考案された手法で、世界で最も古い釉薬を使った製陶方法となります。
プレート背面にはグスタフスベリのGスタジオで制作されたことを示す”G”のハンドサインがあります。”21”とはフォルムを指定した数字、F”とはパターンデザイン(絵付けの種類)の表記で、右端には絵付けを担当したペインターのジョバーニ・プーニョ(Giovanni Pugno)のハンドサインである星のマークが描かれています。ジョバーニ・パグノは1950年代にグスタフスベリに在籍した絵付け師です。当時のGスタジオには40人ほどの絵付け師が在籍しており、品質管理のために全員が独自の署名をもっていました。
ファイアンスはその構造上、一般的な陶器よりも脆く完品で残ることは珍しいものです。30cm超の大きなもので、釉薬の乳白色がしっとりと美しく、ファイアンスに生じやすい貫入もなくインテリアとして存在感があり、骨董として価値も高いものです。
当時のGスタジオの制作風景を伝える映像が残っています。左手の丸メガネをかけている男性がミッドセンチュリーの旗手スティグ・リンドベリです。右側にいるのは師でありグスタフスベリの当時のアートディレクターを務めていた巨匠ウィルヘルム・コーゲです。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
- 年代:1950年代
- サイズ:縦幅31cm 横幅11cm(最大幅) 高さ4cm
■コンディション:★★★★★(5:完品)
製造時の姿をそのまま留めた完品です。極めて良好なコンディションのデッドストック品で、割れ欠け貫入がなく入手可能なヴィンテージのなかでトップコンディションのものとなります。









