リンドベリが描いた青い麦の穂 乳白色の釉薬に映えるハンドペイント
スウェーデンの老舗食器メーカーのグスタフスベリ社が1950〜1960年代にかけて制作したBlå Råge「青い麦」というシリーズのオーブン用の片手鍋です。平たい作りで、表面にはハンドペイントで麦の穂が青と青緑色で描かれています。乳白色の釉薬が牛乳のように艶やかで鮮やかな青がよく映えています。
デザイナーのスティグ・リンドベリは1949年にはウィルヘルム・コーゲの跡を継いでグスタフスベリのアートディレクターとなりました。20世紀中葉のスウェーデンのモダニズムである「ミッドセンチュリー」の旗手として数々の作品を発表した人物です。北欧モダンはシンプルなデザインと洗練されたフォルムに特徴があります。こちらの青い麦シリーズの作品もシンプルなデザインですが、釉薬の白さと青いハンドペイントの色味が絶妙なバランスをとっています。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
- 年代:1953〜1962年
- 製造国:スウェーデン
- サイズ:直径19cm 高さ4cm 長さ26cm(取っ手含む)
■コンディション:★★★☆☆(3.5:良品)
表面は光に透かすとわずかにカトラリー跡が見られます。持ち手の裏面には下地の土がむき出しの箇所が2点見られます。傷ではなく製造工程で釉薬がかからない支柱跡となります。底面は素焼きのためスレが多少見られますが、熱にかけた場合は黒く変色するので飾り皿や盛り付け用のお皿として使われたものとなります。割れ欠けやペイントロスはなく比較的状態がよい美品となります。









