フィンランドの名窯が生んだ 手仕事の温もりが宿るカップ
ARABIAのステンシルのコーヒーカップ&ソーサーです。ステンシルとは型紙を当てて着色をする謄写技法のことで、押し染めによって着色をおこなっています。一つ一つが手作業で色付けをおこなっているため微妙に濃淡が異なるのが特徴です。ソーサーの背面にバックスタンプがあり、年号の刻印が見られます。11−71とあるのは1971年11月に製造されたことを示しています。同系統のシリーズにはドット柄のポップ(Pop)がありますが、より複雑な紋様で染められており、小柄なフォルムでも存在感が感じられる器です。デザイナーのヨーラン・ベックはステンシル技法を多用した作家で、シンプルで抽象的な意匠に特徴があります。
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯

1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。1949年にはARABIAのクラウンマーク(王冠のバックスタンプ)もデザインしています。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。

このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
- 1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入された122mのトンネル窯を表現したデザイン。
- 1949年〜現在:カイ・フランクがデザインしたクラウンマーク(王冠)。月桂樹の輪を逆さにして王冠に見立てた斬新なデザイン。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
- 生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
- 2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。
■詳細スペック
- メーカー:ARABIA / アラビア
- デザイナー:Goran Back / ヨーラン・べック
- シリーズ名:Stencil / ステンシル
- 年代:1971年11月
- 製造国:フィンランド
■コンディション:★★★★☆(4:美品)
割れ欠け等のない美品となります。製造時の姿をそのまま留めた良好な状態です。本品は複数在庫品となります。個別のコンディションをご確認の場合はチャットまたはメールにてお問い合わせください。








