リサ・ラーソンがグスタフスベリ社で1978年にデザインしたアドベントというシリーズのキャンドルホルダーです。こちらはロールストランド社に版権が移った際に製作された1980〜90年代ごろのものとなります。現在は復刻版が製作されていますがフォルムが大きく異なり、こちらはオリジナルのデザインとなります。
シリーズ名のアドベントとは、12月の初めからクリスマスの12月25日にかけて、キリストの降誕（誕生）を待ち望む宗教行事です。12月最初の日曜日にはアドベントリースというリースにロウソクを一本立て火をともします。クリスマス前の最後の日曜日には4週の経過を意味する4本のロウソクに火がともされ、キリスト教の降誕祭が近いことを伝えます。本作はアドベントリースになぞらえて4本のロウソクが立てられる仕組みになっています。
リサ・ラーソンの母国のスウェーデンでは毎年12月13日にルシア祭というお祭りが開催されます。キリスト教の聖人にはイタリアのシチリア島のルチアという殉教者がいます。ルチアは、迫害され地下牢に隠れて暮らしていたキリスト教徒たちを密かに援助するため、頭の周りにロウソクを巻き、両手にたくさんの食料を抱えて、毎日のように地下牢を訪れていたといいます。
北欧諸国がかつてカトリック信仰だった頃、同時期に太陽の再来を願う冬至の祝祭「光の祭」が行われており、ルチアがラテン語で「光」を意味することから、二つの異なる背景を持つ祝祭が結びつき、今に伝わる「聖ルチア祭」が誕生したといわれています。本作はトムテ（Tomte）、ルチア（Lusia）、ターナ（Tarna）、スターボーイ（Stjangosse）の4人で構成されています。女の子は頭にロウソクを指し、男の子は手にロウソクを携える造形となっています。4体全てが揃うのは比較的珍しいことです。この機会にぜひご覧下さい。
■詳細スペック
メーカー：Rörstrand / ロールストランド
デザイナー：Lisa Larson / リサ・ラーソン
シリーズ名：Advend Children / アドベントチルドレン
年代：1980〜1990年代
生産国：スウェーデン
コンディション：★★★★★（5：完品）
4体ともに割れ欠け貫入がなく制作当時の姿をそのまま留めており、オリジナルの箱も残っている完品のコンディションです。
■サイズ
高さ12cm〜16.5 cm
リサ・ラーソン（Lisa Larson）
リサ・ラーソン（Lisa Larson，1931〜2024年）
スウェーデンを代表する世界的な陶芸家。スウェーデン南部スモーランド地方にあるクロノベリ（Kronoberg）郡のエルムフルト（Älmhult）地区にある人口500人ほどのハールンダ（Härlunda）という村の生まれ。
幼い頃は服飾デザイナーを志すが、ヨーテボリ芸術大学に入学した後は陶芸を学ぶ。ある時コンペでスティグ・リンドベリに見い出されたことがきっかけとなり、1年間の試用期間を経て、グスタフスベリ（Gustavsberg）社のデザイナーとして正式に入社する。直後の1955年にはLilla zooシリーズを発表し、1964年にはライオン像で有名なAfrikaシリーズを考案している。
リサ・ラーソンはグスタフスベリに留まらず、ホガネス（Höganäs）社や国内小売大手のオーリエンス（Åhléns）社、ドイツの陶器メーカーのローゼンタール（Rosenthal）社にもデザインを提供している。1979年にグスタフスベリを退社した後は、専属ではなく企業と随意契約をするフリーランス芸術家という立ち位置で、自由に創作活動を続けながら各方面で活躍していく。1979年と1981年には東京の西武百貨店で個展を開催しており、81年の個展には述べ7万人が来場したと言われる。