金彩の縁取りに品格が薫る 19世紀グスタフスベリのケーキ皿
スウェーデンの代表的な陶器メーカー、グスタフスベリ社が19世紀から20世紀初頭にかけて製作されたヴェクショーというシリーズの18cmサイズのケーキ皿です。グスタフスベリは1825年に創業し什器や陶器製のバスタブなどを主に製造していました。シリーズ名のWexiö(ヴェクショー)はスウェーデン南部の都市Växjö(ヴェクショー)のことで、19世紀には最も大きな街の一つでした。当時のグスタフスベリでは地名の名前を冠した作品が多く作られており、その一連のシリーズの一つとなります。
デザイナーはアルビド・エクベリ(1848〜1906)という人物で異母弟のヨセフ・エクベリ(1877〜1945,Josef Ekberg)とともにグスタフスベリでデザイナー職を務めていました。ヨセフはウィルヘルム・コーゲの一代前のグスタフスベリのアートディレクターで、20世紀初頭のグスタフスベリ社の中心的な人物です。
ヴェクショーはブルーグリーンで描かれた草花に小鳥と蝶が描かれ、縁は金メッキで彩られた品の良い器です。同シリーズは1887年から1939年という半世紀以上に渡ってロングラン生産されたもので、使い勝手の良さと高い品質が世間から評価されていたことが分かります。バックスタンプにはシリーズ名のWexiöが刻印されていますが、その隣に光に透かすとGustafsberg OPAKというバックスタンプが見られます。
このスタンプはグスタフスベリで1890年から1910年の20年間使用されたものです。現在の綴りとは異なりvがfとなるGusta”f”sbergと表記されているのがこの時代のバックスタンプの特徴です。
バックスタンプについて詳しくはブログ記事をご覧ください。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地
1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。
黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。
このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド
グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustafsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Arvid Ekberg / アルビド・エクベリ
- シリーズ名:Wexiö / ヴェクショー
- 年代:1887〜1910年
- 製造国:スウェーデン
- サイズ:直径18.5cm 高さ1.5cm
■コンディション:★★★☆☆(3:経年変化あり)複数在庫品
表面は光に透かすとカトラリー跡がみられ、縁の金メッキには経年の摩耗が見られます。また窯焼きの際の焼け色の移りや重ね置きをしたときのスレが見られます。100年前のヴィンテージとしては製造当初のコンディションを比較的よく留めています。本品は複数在庫品となります。製品の特徴として貫入ややけ粒の付着、釉薬の弾けなどが見られます。








