グスタフスベリ ヴェクショー(Wexiö)完全ガイド|19世紀末〜1930年代の花と鳥のアンティーク、名の由来とバックスタンプの見分け方

グスタフスベリ ヴェクショー(Wexiö)完全ガイド|19世紀末〜1930年代の花と鳥のアンティーク、名の由来とバックスタンプの見分け方

北欧食器タックショミュッケ編集部

アイボリーの地に、ブルーグリーンの草花がやわらかく広がり、その枝に小鳥がとまり、蝶が舞う——スウェーデンの名窯グスタフスベリ(Gustavsberg)のヴェクショー(Wexiö)は、19世紀末から1930年代にかけてつくられた、半世紀を生き抜いたロングランのシリーズです。縁をめぐる金彩の細い線と、地の細やかな貫入。その一枚一枚に、100年という時間が静かに積もっています。

グスタフスベリ ヴェクショー 特大スクエアプレート
グスタフスベリのヴェクショー、特大のスクエアプレート。アイボリーの地に、ブルーグリーンの草花と金彩の縁飾り。

ヴェクショーは、スティグ・リンドベリやリサ・ラーソンといった20世紀半ばの巨匠たちよりもずっと前、グスタフスベリがまだ英国式の陶器づくりを続けていた時代に生まれました。シリーズの名は、スウェーデン南部スモーランド地方の古い街の名に由来します。花と鳥と蝶が織りなす穏やかな意匠には、当時のヨーロッパが愛した自然主義の空気が漂っています。

この記事では、ヴェクショーというシリーズの背景にあるグスタフスベリの歴史と19世紀という時代、シリーズ名の由来となった街ヴェクショー、意匠と技法、アイテム構成、そして裏面のバックスタンプから年代を読み解く方法まで、豊富な写真とともにたどっていきます。

この記事でわかること

  • ヴェクショー(Wexiö)という名の由来と、シリーズがつくられた年代・背景
  • ブルーグリーンの草花・小鳥・蝶という、ヴェクショー特有の意匠の成り立ち
  • フリント陶器と銅版転写、金彩の縁という素材・技法の話
  • 裏面のバックスタンプ(印判マーク・OPAK・刻印数字)で年代を読み解く方法

目次

  1. ヴェクショー(Wexiö)とは——花と鳥のアンティーク
  2. 基本情報
  3. 名の由来——スモーランドの街、ヴェクショー
  4. グスタフスベリという窯——1825年、ヴェルムド島の水辺で
  5. ヴェクショーの意匠——ブルーグリーンの草花、小鳥と蝶
  6. 素材と技法——フリント陶器・銅版転写・金彩の縁
  7. エクベリ兄弟と、グスタフスベリの絵付けの時代
  8. アイテム構成——プレートを中心に
  9. バックスタンプと年代の見分け方
  10. 100年の器を、暮らしの風景に

ヴェクショー(Wexiö)とは——花と鳥のアンティーク

ヴェクショー(Wexiö)は、グスタフスベリがスウェーデンで手がけた食器のシリーズです。アイボリーがかった地の色に、ブルーグリーン(青緑)の草花が転写で描かれ、その間に小鳥と蝶が配されています。縁には金彩の細い線と、こまやかな網目状の帯。全体として、華美に走らず、自然の情景を静かにすくいとったような品のよさが漂います。

ヴェクショーが生まれたのは19世紀末。ベルサやプルーヌスといった20世紀半ばの名作よりもはるかに古く、グスタフスベリがまだ英国式の陶器を主力にしていた時代の器です。1887年から1939年にかけて、半世紀を超える長きにわたってつくり続けられたと伝えられ、そのロングランぶりからも、当時の人々に広く愛されたシリーズだったことがうかがえます。

ヴェクショーの草花と蝶の接写
ヴェクショーの意匠の接写。ブルーグリーンの野ばらと葉、金彩で縁取られた枝、そして左下には翅を広げた蝶。

基本情報

シリーズ名 ヴェクショー(Wexiö)
ブランド グスタフスベリ(Gustavsberg)/スウェーデン
図案 アルビド・エクベリ(Arvid Ekberg, 1848年生)に帰せられる
年代 19世紀末(1887年)〜1939年
素材 フリント陶器(不透明陶器・OPAK)
意匠 ブルーグリーンの草花・小鳥・蝶、金彩の縁
技法 銅版転写+金彩
製造国 スウェーデン

名の由来——スモーランドの街、ヴェクショー

シリーズ名の「ヴェクショー(Wexiö)」は、スウェーデン南部スモーランド地方(Småland)、クロノベリ県の県都ヴェクショーの名に由来します。Wexiöは、19世紀ごろまでの古い綴りで、現在はVäxjöと表記されます。当時のグスタフスベリには、スウェーデン各地の地名を冠したシリーズがいくつもつくられており、ヴェクショーもそのひとつです。

ヴェクショー大聖堂
緑青色の双塔をもつヴェクショー大聖堂。街の起源は中世の司教座にさかのぼる。撮影:W. Bulach/CC BY-SA 4.0

ヴェクショーの街は、いくつもの湖に囲まれています。中心にはヴェクショー湖とトルンメン湖が横たわり、北にはヘルガ湖。湖畔には遊歩道がめぐり、街と自然がひとつづきになっています。街の名は、凍った湖を渡って市場(市= vä)へ向かう道に由来すると伝えられます。中世の司教座に起源をもつ大聖堂は、たびたびの火災を経て、19世紀半ばに再建されました。

ヴェクショーの湖
街を抱くヴェクショー湖。対岸に街並みと大聖堂の尖塔がのぞく。撮影:Jacek Lesniowski/CC BY-SA 3.0

スモーランドは、森と湖、そして岩の多い痩せた土地として知られます。19世紀後半、この地方からは多くの人々が新天地を求めて海を渡りました。1846年から1930年にかけて、ヴェクショー周辺を含むスウェーデンから大勢がアメリカへと移民し、ヴェクショーには今日、その歴史を伝える移民の博物館(Utvandrarnas Hus)が置かれています。ヴェクショーという器の名には、そんな時代の空気も遠く重なっています。

スモーランドの夏の草原
キンポウゲの咲くスモーランドの夏の草原。ヴェクショーの草花の意匠を思わせる野の情景。撮影:Bernt Fransson/CC BY-SA 4.0

グスタフスベリという窯——1825年、ヴェルムド島の水辺で

ヴェクショーを生んだグスタフスベリは、1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島(Värmdö)に創業しました。ストックホルムから東へおよそ22km、ファルスタヴィーケンと呼ばれる入り江の最奥に位置する、水辺の工場村です。やがて工場を中心に人々が暮らす企業城下町が形づくられ、19世紀末から20世紀初頭には数百から千人規模を雇う一大産地へと成長しました。

1890年代のグスタフスベリの港と工場
1890年代のグスタフスベリの港と工場。水辺に帆船、煙突、レンガの窯が並ぶ。ヴェクショーがつくられていた頃の光景。撮影:不詳/Sjöhistoriska museet・CC BY-SA 4.0

創業からほどなく、グスタフスベリは英国式の陶器づくりへと舵を切ります。1838年から39年ごろにかけて、原料や技法をイギリスにならったものへと転換し、この頃に製品を示すマークとして錨(アンカー)を採用しました。錨は英国式への転換を映すしるしとして、以後、長くグスタフスベリの象徴となっていきます。ヴェクショーの裏面にも、この錨の刻印が見られます。

グスタフスベリの歴史的な水車
工場村に保存されるグスタフスベリの大きな水車。水辺の立地が、この窯の動力と物流を支えた。撮影:Holger.Ellgaard/CC BY-SA 4.0

19世紀末のグスタフスベリの主力は、フリント陶器(flintgods)と呼ばれる白い陶器でした。磁器に近い白さをもちながら、より手ごろにつくれる素材で、食器から洗面器、衛生陶器まで幅広く製造されました。ヴェクショーも、このフリント陶器を地としたシリーズです。工場は1993年にオリジナルの食器生産を終え、その建物の一部は陶芸家のスタジオや博物館として受け継がれています。

グスタフスベリ陶磁器博物館
グスタフスベリ陶磁器博物館(Gustavsbergs Porslinsmuseum)の外観。200年におよぶ窯の歩みを伝える。撮影:Greger Ravik/CC BY-SA 4.0

ヴェクショーの意匠——ブルーグリーンの草花、小鳥と蝶

ヴェクショーの見どころは、なんといってもその意匠にあります。アイボリーがかった地の上に、ブルーグリーンの野ばらや小花、葉が枝ぶりよく広がり、その枝には小鳥がとまり、そばを蝶が舞います。花や葉の輪郭の一部には金彩がのせられ、ブルーグリーンの一色刷りに、控えめな華やぎを添えています。

ヴェクショーのソースボートに描かれた小鳥
ソースボートの側面に描かれた小鳥と草花。枝や花芯に金彩がのり、縁には網目の帯と金の線。

縁のかたちにも工夫があります。丸皿は縁がゆるやかに波打ち、スクエアプレートは角を落とした八角に近い輪郭。縁の際には、細かな網目状の帯がめぐり、その外側を金の線が縁取ります。器を正面から眺めると、余白の広さと文様の配置の妙が際立ち、飾ったときにも静かな存在感を放ちます。

ヴェクショー 23.5cmプレート
ヴェクショーの23.5cmプレート。波打つ縁と金彩の線、中央から縁へと広がる草花の構図。

ブルーグリーンという色は、当時のヨーロッパで流行した自然主義的な意匠と響き合っています。青一色でも、茶一色でもない、緑がかった青。花と鳥と蝶という主題も、19世紀の博物学への関心を映したもので、スモーランドの野を思わせる穏やかな情景として器の上に定着しました。

素材と技法——フリント陶器・銅版転写・金彩の縁

フリント陶器という地

ヴェクショーの地となっているのは、フリント陶器(flintgods)です。これは、白く焼ける粘土に砕いたフリント(火打石=石英質の石)を混ぜて焼いた陶器で、透光する磁器に対し、光を通さない不透明な白い器になります。イギリスで発達したクリームウェアやアイアンストーンの系譜につらなる素材で、磁器より手ごろにつくれることから、19世紀の食器に広く用いられました。裏面に見られる「OPAK(オパーク=不透明)」の刻印は、まさにこの素材を示す言葉です。

銅版転写という描き方

ヴェクショーの草花や鳥は、銅版転写(transfer printing)によって器に写されたと考えられます。彫刻した銅版に絵具をのせ、薄い紙に刷り取り、それを素地に貼って写しとる技法です。18世紀後半のイギリスで完成し、同じ図案を数多くの器に均一に施せることから、19世紀の量産食器を支えました。コバルトを用いた青が高温に耐えるため、転写には青系の単色がよく使われ、ヴェクショーのブルーグリーンもその流れの上にあります。

ヴェクショー 深皿 スープ皿
ヴェクショーの深皿。転写による均一な線描と、縁を巡る金彩。フリント陶器らしい細かな貫入も見える。

金彩の縁と、経年の痕跡

縁の金彩は、釉薬の上から金をのせて低い温度で焼きつける、上絵付けの技法です。器のいちばん外側にあって手が触れやすい部分でもあり、100年という時間のなかで、少しずつ擦れて薄くなっていきます。金がやわらかく退いた縁は、アンティークならではの表情であり、時代を経た北欧ヴィンテージらしい質感として、むしろ味わいと受けとめられています。

エクベリ兄弟と、グスタフスベリの絵付けの時代

ヴェクショーの図案は、グスタフスベリの絵付師アルビド・エクベリ(Arvid Ekberg, 1848年生)に帰せられています。アルビドは、のちにグスタフスベリを代表する装飾家となるヨセフ・エクベリ(Josef Ekberg, 1877–1945)の異母兄にあたる人物です。エクベリ家は絵付けに携わった一族で、19世紀末のグスタフスベリの装飾を支えました。

グスタフスベリの装飾壺
グスタフスベリの装飾壺。グンナル・ヴェンネルベリとヨセフ・エクベリの手による、1900年代初頭の華やかな作。撮影:Gotogo/パブリックドメイン

弟のヨセフ・エクベリは、1908年から1917年までグスタフスベリの美術部門を率いた中心人物です。師のグンナル・ヴェンネルベリとともにスグラフィート(sgraffito)と呼ばれる掻き落としの装飾技法を確立し、その作品はスウェーデン国立美術館(Nationalmuseum)にも収蔵されています。ヨセフは退任にあたって、後任にヴィルヘルム・コーゲを推したことでも知られます。

ヨセフ・エクベリによる栗の装飾の花瓶 1904年
ヨセフ・エクベリによる栗の装飾の花瓶、1904年。釉下の淡い色彩と浮き彫り状の草花。撮影:Daderot/CC0

このヨセフ・エクベリの後を継いだのが、1917年に美術主任となったヴィルヘルム・コーゲ(Wilhelm Kåge, 1889–1960)でした。コーゲは「美しい暮らしの器を、すべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器リリエブローや、緑釉に銀彩を象嵌したアルジェンタなどを生み出します。ヴェクショーの時代からアルジェンタの時代へ——グスタフスベリの絵付けは、19世紀の自然主義から20世紀のモダンな装飾へと、静かに歩みを進めていきました。

ヴィルヘルム・コーゲの肖像
ヴィルヘルム・コーゲ。ヨセフ・エクベリの後任として、1917年にグスタフスベリの美術主任に就いた。撮影者不詳/パブリックドメイン
コーゲのアルジェンタ
コーゲの代表作アルジェンタ。深い緑釉に銀彩の草花。ヴェクショーとは対照的なモダンな装飾。撮影:Bengt Oberger/CC BY-SA 4.0

その後のグスタフスベリは、コーゲの後を継いだスティグ・リンドベリ(Stig Lindberg, 1916–1982)がベルサやプルーヌスといった名作を手がけ、黄金時代を築きます。リンドベリに招かれたリサ・ラーソン(Lisa Larson, 1931–2024)や、ろくろと釉薬の名手ベルント・フリーベリ(Berndt Friberg, 1899–1981)も、この窯から世界へと羽ばたきました。ヴェクショーは、そうした巨匠たちの時代の、ずっと前に立つ器なのです。

スティグ・リンドベリの肖像
スティグ・リンドベリ。20世紀半ばのグスタフスベリの黄金時代を築いた巨匠。撮影:Bent K. Rasmussen/パブリックドメイン

アイテム構成——プレートを中心に

ヴェクショーには、さまざまなかたちの器があります。丸皿はミニサイズから大きなディナープレートまで径がそろい、深皿(スープ皿)や、角を落としたスクエアプレート、さらにはソースボートといった立体的なフォルムまで。当店でも、100年を経たヴェクショーをいくつかお預かりしています。

ヴェクショー 特大スクエアプレートを斜めから
特大のスクエアプレート。角を落とした八角に近い輪郭に、把手状の装飾。中央に草花と鳥の情景が広がる。

スクエアプレート

角を落とした四角い皿は、ヴェクショーのなかでも造形が際立つかたちです。当店では、大きさの異なる大サイズのスクエアプレートや、深めのスクエアプレート大きく深いスクエアプレートなどをご紹介しています。飾り皿として立てても、その輪郭の面白さが引き立ちます。

ヴェクショー 大サイズ スクエアプレート
大サイズのスクエアプレート。両端に把手状の装飾をもつ、大ぶりの平皿のかたち。

丸皿・深皿

丸皿は、縁がゆるやかに波打つのが特徴です。当店では23.5cmプレート深皿(スープ皿)、そして手のひらにおさまる16cmのミニプレートをご紹介しています。小さなミニプレートは、壁に立てかける小さな飾りとしても愛らしいサイズです。

ヴェクショー 16cmミニプレート
16cmのミニプレート。小ぶりな一枚にも、草花と鳥の意匠がていねいに配される。

このほか、ソーサー一体型のソースボートのような、当時のテーブルウェアならではのフォルムも残されています。ひとつのシリーズのなかに、これほど多彩なかたちが揃うことも、半世紀にわたってつくり続けられたヴェクショーの奥行きを物語っています。

バックスタンプと年代の見分け方

ヴェクショーの年代を読み解く手がかりは、器の裏面にあります。ヴェクショーの裏面には、いくつかのしるしが組み合わさって残されています。

ヴェクショーのバックスタンプ OPAKと刻印年号
ヴェクショーの裏面。上に印判の紋章マーク、下に「opak」と刻印の数字「94」。この個体は1894年製を示す。

印判の紋章マークと「Wexiö」

まず、青などで刷られた印判の紋章マーク。盾や城をかたどったこの絵柄とともに、シリーズ名の「Wexiö」が記されます。グスタフスベリの古い時代のマークでは、社名が現在の綴りと異なり、vがfになったGustafsbergと表記されるのが特徴です。この「f」の綴りは、およそ1930年ごろまでの古いスタンプの目印になります。

「OPAK」は素材、数字が年代

ここで注意したいのが「OPAK」の刻印です。OPAKはしばしば年代を示すマークと誤解されますが、実際には前述のとおり不透明なフリント陶器という素材の呼称で、それ自体は製造年を示しません。年代を教えてくれるのは、錨マークのそばや「OPAK」の近くに押された刻印の数字です。二桁の数字が世紀とともに製造年を表し、たとえば「94」は1894年を意味します。上の写真の器も、この刻印から1894年製と読み取れます。

つまり、ヴェクショーの年代は「OPAKだから何年」ではなく、「錨マークの形」「Gustafsbergの綴り」「刻印の二桁数字」を合わせて読むことで、より確かに絞り込めます。バックスタンプの読み方については、北欧食器のバックスタンプ総合ガイドや、グスタフスベリのロゴの歴史もあわせてご覧ください。

100年の器を、暮らしの風景に

ヴェクショーは、100年前のスウェーデンの食卓のためにデザインされた器です。それが海を越えて日本へと届き、私たちの手のなかにあります。金彩がやわらかく退いた縁も、地に走る細かな貫入も、一枚ごとに異なる時間の痕跡です。北欧の市場を経てきた器として、そのすべてを味わいたい一群です。

霧の朝のスモーランドの水辺
霧に包まれたスモーランドの朝、水辺の情景。ヴェクショーの草花の色を思わせる、しっとりとした緑と青。撮影:Almquistper/CC BY-SA 4.0

飾るなら、白い壁や木の棚と好相性です。ブルーグリーンの一色刷りは主張しすぎず、それでいて確かな存在感があります。同じヴェクショーのなかでも、丸皿とスクエアプレート、大小のサイズを組み合わせて並べると、意匠の連なりとかたちの違いが引き立ちます。スモーランドの野を切りとったような草花と鳥の情景が、部屋の一角に静かな北欧の風景を呼び込みます。

スモーランドのスクルーフ・ガラス工房
ヴェクショー近郊、スモーランドの「ガラス王国」に建つスクルーフ・ガラス工房。器づくりの伝統が息づく土地。撮影:MikaelLindmark/CC BY-SA 3.0

ヴェクショーを生んだスモーランドは、コスタやオレフォスに代表される「ガラス王国(Glasriket)」の地でもあります。森のなかに点在するガラス工房、湖に囲まれた街、そして水辺の窯グスタフスベリ——ヴェクショーの一枚には、そんな北欧の土地の記憶が、静かに宿っています。

まとめ

ヴェクショー(Wexiö)は、グスタフスベリが19世紀末から1930年代にかけてつくった、フリント陶器のシリーズです。名はスウェーデン南部スモーランドの街Växjöの古い綴りに由来し、ブルーグリーンの草花に小鳥と蝶を配した意匠は、銅版転写と金彩によって描かれました。図案はグスタフスベリの絵付師アルビド・エクベリに帰せられ、その弟ヨセフ・エクベリの活躍した装飾の時代の器でもあります。裏面の「Gustafsberg」の綴りや刻印の二桁数字は、年代を読み解く確かな手がかり——「OPAK」は年代ではなく素材の呼称です。20世紀の巨匠たちのずっと前に立つ、100年の時間をまとった一群です。

あわせて読みたい関連記事

関連商品をチェック

グスタフスベリのヴィンテージ食器を、当店のコレクションからご覧いただけます。

グスタフスベリ プレート ボウル

コラムに戻る