あけましておめでとうございます。北欧食器Tacksamycketは昨年3月にスタートしてもうすぐ一年を迎えようとしています。
新年の皮切りに思い切って希少な陶板を入荷することにしました。
リサ・ラーソンがグスタフスベリ社で1963年に100点限定で製作したライオンの陶板です。スウェーデン語で"LEJON I BUR"というタイトルで日本語にすると「檻の中のライオン」という意味になります。
グスタフスベリには量販品を生産するラインとは別にGスタジオ(G-Studion)と呼ばれるスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンなど著名なデザイナーがアート作品を制作した部門がありました。こちらはそのアトリエで作られた作品となります。左下にはLISA. L.のサインが刻印されています。
(Gスタジオでパイプを咥えながら監修を行うスティグ・リンドベリ)
リサ・ラーソンは1954年に23歳の若さでグスタフスベリに入社しています。ヘルシンキのデザインコンペで賞を獲得したリサ・ラーソンのフラワーベースを見て、スティグ・リンドベリが彼女の才能を見いだしたのがきっかけでした。
(スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン)
当時、リンドベリはグスタフスベリの責任者として4人の若いデザイナーを招へいして、今までにない斬新なアート作品や芸術性を保ちながら大量生産できるような作品を求めて、若手のデザイナーに1年間自由に創作をする機会を与えました。リサ・ラーソンはプロジェクトへの参加をきっかけに以後グスタフスベリで26年にわたり働くことになります。
1960年代になると、リサ・ラーソンはユニークな像、入れ物、鉢、花瓶などの作品と並行して30シリーズ以上の製作をおこないました。リサ・ラーソンのライオン像はAfrikaシリーズが広く知られています。丸々とした顔立ちにちょこんとした胴体のキュートなライオン像は現在でも復刻版が製作され世界的な人気を博しています。
Afrikaシリーズの製作が始まったのが1964年です。一般的にこの年がリサ・ラーソンのライオン像の初出となりますが、実際には前年の1963年に「檻の中のライオン」が製作されています。
鉄の檻のなかに入った鋭い爪を持つライオンですが、表情はいたって柔和で可愛らしく後年のリサ・ラーソンの作風はすでにこの時点で確立されていたのがよくわかります。1963年の作品ということは北欧はいわゆるミッドセンチュリーの全盛期で、リサ・ラーソンはグスタフスベリ入社9年目の32歳です。この陶板は世に広く知られるリサ・ラーソンのライオン像のまさに原点ともいえる作品です。彼女が早くから才能を発揮していたことを今に伝えるスウェーデンの至宝の一つです。
一点一点をリサ・ラーソンが手掛けたスタジオピースです。製作から半世紀以上を経てこうしたヴィンテージ品は入手が極めて困難になって来ています。100点限定ということで日本にあることもある意味で奇跡的なものです。この機会にぜひご覧ください。