スウェーデンの老舗名窯が紡いだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンの著名な陶芸家として20世紀(1915年~2003年)に名を馳せたのは、シルヴィア・レウショヴィウスのひまわりをモチーフにした陶板です。北欧の陶板といえばリサ・ラーソンが有名ですが、1950年代から1970年代の間、レウショヴィウスも独自の陶板デザインを手がけていました。その作品は愛らしい動物や草木を中心にデザインされています。こちらはひまわりを独自の色彩感覚で、青く表現した作品です。厚く塗られた背景の黒い釉薬が光を鈍く反射し、青く冷たい感じがするひまわりがかえって白く暖かく見えるように工夫をされています。リサ・ラーソンとは異なり、シルヴィアの作品はあまり市場に出回らない希少なものとなっています。
シルビア・レウショヴィウス — 花と鳥と自然のデザイナー

シルビア・レウショヴィウス(Sylvia Leuchovius, 1915-2003)。ロールストランドのアトリエで自作の陶器を手にする。
シルビア・レウショヴィウスは1915年ストックホルム生まれのスウェーデンの陶芸家・デザイナーです。1954年からロールストランドのデザイナーとして活動を開始し、約20年にわたり同社で創作を続けました。花や鳥、自然のモチーフを優美な筆致で描くスタイルで知られ、量産品のパターンデザインからアトリエ作品(一点もの)まで幅広く手がけました。
彼女の代表作がこの「シルビア(Sylvia)」シリーズです。スミレの花の繊細な装飾は、レウショヴィウスの自然への深い愛情が込められたものです。フォルムのデザインは、モナミやアネモンを生み出したマリアンヌ・ウェストマンが担当しました。二人の女性デザイナーによる共作は、北欧陶磁器史においても珍しい例です。
ロールストランド250周年と王室の祝福

1976年6月19日、ストックホルム大聖堂にて。カール16世グスタフ国王とシルビア・ゾマラート(後のシルビア王妃)の結婚式。
1976年、ロールストランドは創業250周年を迎えました。1726年の創業はスウェーデン最古、ヨーロッパでもマイセンに次ぐ歴史を持つ名窯です。この記念すべき年に、スウェーデンではもう一つの慶事がありました ── カール16世グスタフ国王とシルビア・ゾマラートの結婚です。

王妃となる前のシルビア・ゾマラート(右から2人目)。ドイツ系ブラジル人の民間出身で、ミュンヘンオリンピック(1972年)で通訳として働いていた際に当時の皇太子と出会った。
ドイツ系ブラジル人の民間出身であったシルビア王妃の婚姻は、当時のスウェーデン社会に賛否を巻き起こしました。しかしABBAが前夜祭で初披露した「ダンシング・クイーン」の"Queen"はシルビア王妃への敬意を込めたものとされ、国民は新しい王妃を温かく迎えました。シリーズ名「シルビア」はデザイナーのシルビア・レウショヴィウスの名前に由来しますが、250周年記念展の開幕は王妃の結婚式のわずか2日前。デザイナーと新王妃が同じ名前を共有するこの偶然は、王室御用達ブランドにとって特別な意味を持ったことでしょう。
ロールストランド — 北欧最古の磁器メーカー

1897年、ストックホルムで開催された総合芸術産業展覧会におけるロールストランドの展示ブース。創業から170年を経た当時、既にスウェーデンを代表する磁器メーカーとしての地位を確立していた。
ロールストランド(Rörstrand)は1726年、ストックホルムに設立されたスウェーデン最古の磁器メーカーです。ヨーロッパではドイツのマイセン(1710年)に次ぐ歴史を持ちます。約300年にわたる歩みの中で、アール・ヌーヴォー期の芸術磁器から20世紀のモダンデザインまで、常にスウェーデンの陶磁器文化を牽引してきました。
シルビアシリーズは硬質で薄作りのボーンチャイナ製で、透き通った釉薬と絵柄の美しさ、洗練されたフォルムが特徴です。北欧ヴィンテージ食器にありがちな支柱跡(目跡)が見られない点も特筆すべきで、シルビアシリーズのために窯焼き環境が刷新されたことを示しています。
■詳細スペック
- メーカー:Rörstrand / ロールストランド
- デザイナー:Sylvia Leuchovius / シルヴィア・レウショヴィウス
- 年代:1969年
- サイズ:縦幅38.3cm 横幅17.5cm 厚み1cm
■コンディション
表面の中程に光に透かすとわずかにヘアライン状のスレが見られます。また背面の一角に製造時の素焼き面の割れが見られます。釉薬面には問題がないため製造時に生じてそのままメーカーの検品を通過したものとなります。陶板の上部のひまわり柄には焼け色の移りがわずかに見られます。全体的に貫入もなく発色も優れており、製造時の姿をそのまま留めた美品のコンディションとなります。









