スウェーデンの老舗食器メーカー、グスタフスベリの一風変わったBersåのプレートです。こちらはヴィンテージ商品になります。ヴィンテージのベルサは全面に葉っぱ柄のパターンを配したもので、復刻版も同様のパターンを踏襲していますが、こちらのプレートは周囲だけに葉っぱ柄を丸く並べたかなり珍しいデザインです。窯で焼成する際の支柱跡もほとんど見られず、技術的に高いレベルで製作されたものとなります。
背面のバックスタンプにはVDNという品質保証マークが刻印されています。VDNマークとはVarudeklarationsnämndenという消費者協会によって耐久性の試験をパスした製品であることを示しています。日本でいうJISマークに相当するもので、スウェーデンでは1951年から1973年までの間に刻印されました。ベルサシリーズの発売年は1961年ですが、出来栄えや色ツヤから判断すると、こちらのプレートは1970年代初頭に少量製造されたものではないかと思います。
ベルサプレートには復刻版も存在しますが、大きな違いは葉っぱの柄の青々とした緑色です。復刻版は色艶がヴィンテージに比べて浅い緑色となります。シリーズ名のベルサとはスウェーデン語で「東屋（あずまや）」という意味です。公園の一隅などで一休みするために設けられたスペースのことです。冬の日が多い北欧で、新緑の緑を感じられるデザインです。
■詳細スペック
メーカー：Gustavsberg / グスタフスベリ
シリーズ：Berså / ベルサ
デザイナー：Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
年代：1970年代初頭（推定）
生産国：スウェーデン
コンディション：★★☆☆☆（2.5：カトラリー跡が多め）
表面は光に透かすと細かなカトラリー跡が見られます。縁に見られる凹みは欠けではなく製造時の支柱跡となります。ベルサヴィンテージのなかでは良好なコンディションとなりますが、カトラリー跡にご留意ください。
■サイズ
直径17.5cm 高さ2cm
スティグ・リンドベリ（Stig Lindberg）
スティグ・リンドベリ（Stig Lindberg，1916〜1982年）
北部スウェーデンの中心都市ウーメオー（Umeå）の生まれ。はじめストックホルムの美術大学コンストファック（Konstfack）で絵画を学ぶ。1937年にグスタフスベリ社に入社し、師であるウィルヘルム・コーゲの薫陶を受け徐々に頭角を現していく。12年後の1949年にはコーゲの跡を継いで同社のデザインを統括するアートディレクターとなる。
以降リンドベリは20世紀中葉のスウェーデンのモダニズムの旗手として数々の作品を発表していく。リンドベリが活躍した時代のグスタフスベリ工房は全盛期を迎え、当時の作品は「ミッドセンチュリー」と呼ばれる黄金期の作として認知され、高い価値を持っている。リンドベリの工房はG-Studion（Gスタジオ）と呼ばれ、若手のデザイナーたちが大いに腕をふるい、リサ・ラーソンなどの著名なアーティストを輩出している。