縞のセーターの少女が、足を組んでまぶたを閉じる リサ・ラーソン 1960年代 グスタフスベリ製
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
- シリーズ名:Larsons ungar / ラーソンの子どもたち
- 作品名:Johanna / ヨハンナ
- 年代:1960年代
- 素材:炻器、一部施釉・彩色
- 製造国:スウェーデン
- サイズ:高さ約15.5cm 幅約9.5cm 奥行き約9.5cm
■コンディション:★★★★★(5:完品)
割れや欠け、貫入がなく、製造時の姿をそのままとどめた完品のコンディションです。
■商品解説
ラーソンの子どもたち(Larsons ungar)は、シリーズ名がそのまま作家の家族を指す人物像の一群です。1961年に制作された「猫を抱く少年(Pelle med katt)」を含むこのシリーズは、1960年生まれのリサ・ラーソンの娘ヨハンナに触発されて生まれました。本作の作品名もまた、その娘と同じヨハンナ(Johanna)です。動物園の住人でも世界の子どもたちでもなく、自分の家で育つ子どもを題材にした——リサの仕事のなかで、もっとも私的な出発点を持つ群れだと考えられます。
リサの人物像は器ではなく、棚や窓辺に置く像として住まいに入りました。1958年のABCの少女たち(ABC-flickor)は、本を支える本立てとして構想されながら中空の身体が軽く、砂を詰めて重しにする工夫まで語られたほど役目を果たせず、結果として「本を読む少女」の姿そのものが愛されていきました。ラーソンの子どもたちも同じ系譜にあり、実用の道具から離れた小さな人の姿として、家のなかに置かれるためにつくられています。
本作のヨハンナは、腰を落として足を組み、まぶたを閉じた姿に造形されています。顔は閉じた目の線と小さな口だけに簡略化され、満ち足りた表情がごく少ない線で成り立っています。頭の後ろでまとめられた金色のポニーテールには青いリボンが結ばれ、上半身には白地に青の縦縞が入ったセーターが着せられました。縞は首元から裾へ向かって縦に下りています。
色が置かれているのは上半身だけで、顔と腕、脚は褐色の素地のまま残されています。衣服と髪が色をまとい、肌は土の質感で応える——この対比はリサの人物像に共通する組み立てで、ABCの少女たち(ABC-flickor)のドラ(Dora)が青と白の縞のワンピースをまとい、素肌を素地のまま見せていたのと同じ考え方です。縞という単純な模様が、二つの世代の少女像をつないでいます。
1955年のリッラ・ズー(Lilla Zoo、小さな動物園)で動物から出発したリサは、1958年のABCの少女たち(ABC-flickor)で人の姿へ進み、ラーソンの子どもたちで自らの家族へ、そして1974–75年の世界の子どもたち(Children of the World)で各国の民族衣装をまとう子どもたちへと視線を広げていきました。目を閉じて座るこのヨハンナは、その流れのちょうど中ほど、題材がもっとも手元に近づいた時期に置かれる一点です。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
リサ・ラーソン — 北欧の愛すべき陶芸家
師匠スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン。1年の試用期間が26年に。
リサ・ラーソン(1931-2024)。スウェーデン南部スモーランド地方エルムフルトに生まれ、ヨーテボリの工芸学校で陶芸を学ぶ。1954年、学生コンペの審査員を務めたグスタフスベリの巨匠スティグ・リンドベリに才能を見出され、「1年の試用期間」で工場に招かれました。その1年は、やがて26年間の創作活動へと続いていきます。
リンドベリが「レクストゥーガ(遊び小屋)」と呼んだ工房で、リサは「リッラ・ズー(小さな動物園)」「ABCガールズ」「アフリカ」など数々の名作を生み出しました。ある日、暗褐色のシャモット陶土でしっぽを立てた猫を作ったことが、生涯で約30種もの猫の陶器を生むきっかけとなります。
日本とリサ・ラーソン
ABCガールズの「ドーラ」に命を吹き込むリサ。1950年代の痩身美の風潮に対し、古代の豊穣の女神に着想を得たふくよかな女性像を創りました。
一つひとつ手描きで絵付けされるリサ・ラーソンの陶器。職人の手仕事ゆえの個体差が、ヴィンテージ品の魅力です。
1970年、リサは大阪万博を訪れ、益子焼の人間国宝濱田庄司と出会います。民藝運動に触れたこの体験が、彼女の手仕事への信念をさらに深めました。2010年には日本の絵本のために赤い縞模様の猫「マイキー」を描き、やがてこの猫は日本中で愛されるキャラクターに。2014-15年の日本巡回展には21万人以上が来場しました。
ヴィンテージと復刻版の見分け方
リサ・ラーソン作品の制作時期は、バックスタンプで判別できます。
- グスタフスベリ工場時代(1954-1980) — 錨マークに「GUSTAVSBERG」「LISA L.」「SWEDEN」の刻印。最もコレクター価値が高いヴィンテージ品。
- フリーランス時代(1980-1992) — ロールストランド、イエ・ガントフタなど各メーカーの刻印。
- Kスタジオ(Keramikstudion:Kスタジオ)時代(1992年〜) — 「K-Studion」の刻印。リサが共同設立した工房で、ヴィンテージの名作を手作りで復刻。高品質ですがオリジナルとは異なります。
当店で取り扱うリサ・ラーソン作品は、スウェーデンから直接買い付けたヴィンテージのオリジナル品です。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器(長石陶器)、ボーンチャイナ、フェルトスパット磁器(長石磁器)などで、復刻版のボーンチャイナとは質感が異なります。























