スウェーデンの名窯が生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンを代表する陶器メーカーのグスタフスベリ社が製作したフィリグランというシリーズのボウルです。和食器にも馴染む茶碗のようなデザインです。同シリーズには2種類のデザインがあり、線が全体を覆うように連続するパターンと、こちらの水玉模様が放射状に散らばるパターンがあります。水玉模様のバージョンは比較的珍しいものです。
シリーズ名のフィリグランとはフィリグリー細工のことで、金や銀などを細い糸上にして金彩や銀彩を施す手法のことです。一見して黒い模様に見えますが、水玉模様は光に透かす銀色に輝きます。バックスタンプも同様に銀で描かれています。
本作は1951年の1年間しか製造されませんでした。明確な理由はわかりませんが、当時のグスタフスベリでは優れた陶器でも数年で製造が中止したシリーズが数多くあります。本作はかなりの薄造りのため製作の過程での焼損や破損が多かったと思われ、銀細工を施す手間などがコスト面に見合わなかったことから生産が続かなかったのではないかと考えられます。本国スウェーデンでも見かける機会が極めて少ないコレクターズアイテムです。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- デザイナー:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
- シリーズ名:Filigran / フィリグラン
- 年代:1951年
- 生産国:スウェーデン
- サイズ:直径11.5cm 高さ4cm
■コンディション:★★★★☆(4:美品)
高台の刻印が一部薄くなっています。割れ欠け貫入等のない良好なコンディションですがバックスタンプの薄れにご留意ください。








