スウェーデンの名窯が生んだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンの名窯グスタフスベリの半世紀ほど前に作られたヴィンテージのティーカップです。グスタフスベリ社はフォルムと図案という二つの要素で食器のデザインをおこなっています。食器の形態を決めるフォルムデザインは20世紀のスウェーデンを代表するミッドセンチュリーの旗手スティグ・リンドベリ(Stig Lindberg)が担当しています。エマシリーズはプレートの基本的なフォルムをリンドベリが定めて、デコレーションはグスタフスベリに所属する各デザイナーが担当しました。
無地のカップをキャンバスに見立てて自由に装飾を描くという方式で、同じフォルムのカップでもシリーズによってデコレーションを担う作家の個性が現れています。
本作エマシリーズのデコレーションはポウル・ホフがおこないました。ポール・ホフはあざらしの陶器像や、写実的に動物を描いたプレートや日の丸をモチーフにしたJapan(ヤーパン)という作品で知られています。華美な装飾を用いず単色でデコレーションをする作風で、本作エマも落ち着いた配色の点描でりんごの花が描かれています。
グスタフスベリ — 200年の歴史を持つスウェーデン陶磁器の聖地

1825年、ストックホルム群島のヴェルムド島に創設されたグスタフスベリ磁器工場。当初はイギリス式の製法を導入し、1839年に現在も知られる錨(アンカー)のマークを採用しました。1863年にはコーンウォールから粘土を輸入し、ボーンチャイナの生産を開始。やがてスウェーデンを代表する磁器ブランドへと成長しました。

黄金時代を築いた巨匠たち
1917年に初代アートディレクターに就任したヴィルヘルム・コーゲ(1889–1960)は、「美しい日用品をすべての人に」という理念のもと、労働者向けの食器「リリエブロー」を発表。さらにアルジェンタ、ファルスタなどの名シリーズを生み出しました。
1949年にコーゲの後任となったスティグ・リンドベリ(1916–1982)は、ベルサ、スピサリブ、プルーヌス、アダムなど数々の名作を手がけ、グスタフスベリの黄金時代を築きました。「千の芸術家(Tusenkonstnären)」と呼ばれた彼は、陶磁器だけでなくテキスタイル、ガラス、グラフィックデザインなど多岐にわたる分野で活躍しました。

このほか、ベルント・フリーベリ(1899–1981)は中国宋代の青磁に影響を受けた独自の釉薬技法で世界的な評価を得、リサ・ラーソン(1931–2024)はシャモット粘土を用いた愛らしい動物フィギュアで日本でも絶大な人気を誇りました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

グスタフスベリの食器には裏面にバックスタンプ(刻印)が施されています。このスタンプのデザインは時代とともに変化しており、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。1839年に採用された錨(アンカー)マークは現在まで同社のシンボルとして受け継がれています。1993年にオリジナルの食器生産が終了し、現在はHPF社が復刻版を製造しています。ヴィンテージ品はフリント陶器やフェルトスパット磁器で、復刻版のボーンチャイナとは素材が異なります。
■詳細スペック
- メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
- フォルムデザイン:Stig Lindberg / スティグ・リンドベリ
- パターンデザイン:Paul Hoff / ポウル・ホフ
- シリーズ名:Emma / エマ
- 年代:1961年〜1973年
- 製造国:スウェーデン
■コンディション:★★★★☆(4:美品)
ソーサー表面には光に透かすと写真に映らない程度のカトラリー跡が見られます。カップは転写紙の色味が少し薄く感じられます。カップ、ソーサーともに美品のコンディションですが、それぞれの色味の違いにご留意ください。








