ARABIA社の代名詞的なハンドペイント食器バレンシアの特大プレートです。バレンシアシリーズには17cm、19.5cm、26cm、33cm、36cmサイズのプレートがあります。こちらは最大サイズの36cmプレートとなります。かなり大きなもので重さは1.8kgあります。サービングプレートとして大人数用に役立ちますが、床の間の飾りのような存在感があります。
シリーズ名のバレンシアとはスペイン南東部の港町の名前で、濃いコバルトブルーの青色が地中海の鈍色の海と強い太陽の日差しを表現しています。デザイナーのウラ・プロコッペは1961年にバレンシアをデザインし、ARABIA製品のなかで最もアンティークファンが多い不朽の名作となりました。プロコッペはロングラン製品のルスカ（Ruska）や希少性の高いフローラ（Flora）のデザインも担当しています。彼女は1968年に47歳の若さで病気で亡くなりますが、療養先はスペインのカナリア諸島であり、プロコッペが終生にわたりスペインの海辺を愛していたことが伝わります。バレンシアは彼女の死後、他のシリーズと同様にロングラン生産がされ、2002年まで40年以上に渡ってフィンランド国内で製造されました。その後は復刻がされておらず、現在はヴィンテージでしか入手できません。
なお、こちらは背面のハンドサインが手書きのため1960〜70年代頃に制作されたものです。バレンシアは80年代以降に一時生産が中止し復活していますが、復活後は活字のスタンプで”ARABIA”と刻印がされており、手書きのサインが描かれているものがヴィンテージの中で最も古いものとなります。UPとはウラ・プロコッペのイニシャルサインであり、隣にはハンドペイントをおこなった絵付師のイニシャルがサインされています。
■詳細スペック
メーカー：ARABIA / アラビア
デザイナー：Ulla Procope / ウラ・プロコッペ
年代：1961年〜1970年代（推定）
生産国：フィンランド
コンディション：★★★★☆（4.5：極美品）
ARABIAのシールが残っており、食器としての使用歴はないデッドストック品です。中央部に保存上ついたわずかなスレが一箇所見られ、裏の高台部と縁にペイント飛びが薄く見られます。ヴィンテージで入手可能なバレンシアプレートのなかではトップコンディションとなります。
■サイズ
ウラ・プロコッペ（Ulla Procope）
ウラ・プロコッペ（Ulla Procope，1921〜1968年）
ヘルシンキ生まれ。1948年にヘルシンキのアールト大学芸術デザイン学部を卒業してアラビア社に入社する。以後20年に渡って制作部門でデザインを担当し、1960年にルスカ（Ruska）シリーズ、1961年にバレンシア（Valencia）シリーズを生み出す。ルスカはアラビア社製品の中で最もロングランかつ販売数が多い看板商品となり、ルスカのフォルムはSモデルと呼ばれ、その後のARABIAの食器の原型モデルとなる。バレンシアはARABIA製品では最後のハンドペイント商品となっている。プロコッペはガンを患い現役を退いてからはスペインのカナリア諸島に移住し47歳のとき現地で死去している。