リサ・ラーソンがユニセフの募金のために制作した世界の子どもたちシリーズのフィギュアです。こちらは初年度の1974年製造のオリジナル品となります。底面にGustavsberg Lisa L. SWEDENという刻印が施されています。世界の子どもたちシリーズは、イースト（東・女の子）、ウェスト（西・白人の男の子）、ノース（北・イヌイット）、サウス（南・黒人の男の子）がありますが、こちらはノースのイヌイットの男の子になります。
本作には復刻版もありますが、オリジナルの特徴はフードと服の縁の色が濃い点で、シャモット陶器の土色の濃さが現れている点です。本作が生み出された当時、リサ・ラーソンは陶器像の材料研究を熱心におこなっており、こちらはシャモットと呼ばれるより土のむき出しの感じがありつつ高い耐久性も確保した新しい製造方法で作られています。小さな陶像ですが、表情に生命力が宿っており眼には力が感じられます。小さな陶器像にも生命力をもたせるのはさすがリサ・ラーソンらしい造形力です。
■詳細スペック
メーカー：Gustavsberg / グスタフスベリ
デザイナー：Lisa Larson / リサ・ラーソン
シリーズ名：All World Children / 世界の子どもたち
年代：1974年
コンディション：★★★★★（5：完品）
特筆すべきダメージのない完品のコンディションです。オリジナルのシールの残っており、割れや欠けや貫入がなく製造時の姿をとどめた大変良好なコンディションです。
■サイズ
高さ12cm 幅8cm 奥行き5cm
リサ・ラーソン（Lisa Larson）
リサ・ラーソン（Lisa Larson，1931〜2024年）
スウェーデンを代表する世界的な陶芸家。スウェーデン南部スモーランド地方にあるクロノベリ（Kronoberg）郡のエルムフルト（Älmhult）地区にある人口500人ほどのハールンダ（Härlunda）という村の生まれ。
幼い頃は服飾デザイナーを志すが、ヨーテボリ芸術大学に入学した後は陶芸を学ぶ。ある時コンペでスティグ・リンドベリに見い出されたことがきっかけとなり、1年間の試用期間を経て、グスタフスベリ（Gustavsberg）社のデザイナーとして正式に入社する。直後の1955年にはLilla zooシリーズを発表し、1964年にはライオン像で有名なAfrikaシリーズを考案している。
リサ・ラーソンはグスタフスベリに留まらず、ホガネス（Höganäs）社や国内小売大手のオーリエンス（Åhléns）社、ドイツの陶器メーカーのローゼンタール（Rosenthal）社にもデザインを提供している。1979年にグスタフスベリを退社した後は、専属ではなく企業と随意契約をするフリーランス芸術家という立ち位置で、自由に創作活動を続けながら各方面で活躍していく。1979年と1981年には東京の西武百貨店で個展を開催しており、81年の個展には述べ7万人が来場したと言われる。